第2種衛生管理者試験 2022年10月公表 問21

呼吸の仕組み




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2022年10月公表問題 問21 難易度 呼吸器系に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
呼吸器系(一般)

問21 呼吸に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)呼吸は、胸膜が運動することで胸くう内の圧力を変化させ、肺を受動的に伸縮させることにより行われる。

(2)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、内呼吸である。

(3)成人の呼吸数は、通常、1分間に16~20回であるが、食事、入浴、発熱などによって増加する。

(4)チェーンストークス呼吸とは、肺機能の低下により呼吸数が増加した状態をいい、喫煙が原因となることが多い。

(5)身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。

正答(3)

【解説】

(1)誤り。呼吸運動は、呼吸筋が収縮と弛緩をすることによって、胸郭内容積を周期的に増減させて行われる。胸膜の運動によるものではない。

なお、古典的な考え方においては、呼吸筋は、①横隔膜、②肋間筋及び胸壁の筋、③腹筋、④呼吸補助筋、並びに⑤上気道の筋に分類される。

(2)誤り。肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、肺呼吸又は外呼吸と呼ばれる。

内呼吸とは、細胞や筋肉などの組織で行われるガス交換のことである。なお、浅野(※)によると、内呼吸とは「外呼吸で得られた酸素を細胞に送り、細胞で排出された二酸化炭素を運び出す機能」であるとされる。

※ 浅野浩一郎「呼吸の生理(系統看護学講座 呼吸器)」(第14版 医学書院 2016年)

(3)正しい。呼吸数は、文献によっても異なるが、通常、1分間に12~20回程度が正常値とされている。また、食事、入浴、発熱などによって増加する。

(4)誤り。日本救急医学会医学用語 解説集「チェーン・ストークス呼吸」によると、「小さい呼吸から一回換気量が漸増し大きな呼吸となった後、一回換気量が漸減し呼吸停止(10‐20秒程度の無呼吸)がおこり、その後再び同様の周期を繰り返す呼吸」とされている。中枢型睡眠呼吸障害のひとつの病態であり、喫煙が原因となるわけではない。

本肢は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)を念頭においた記述かもしれないが、はっきりしない。。

(5)誤り。運動時には、血液中の二酸化炭素の分圧が上昇すると呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加し、肺でのガス交換の量が多くなる。窒素の分圧ではない。

2022年10月10日執筆