第2種衛生管理者試験 2022年10月公表 問19

労働衛生管理に用いられる統計




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2022年10月公表問題 問19 難易度 統計についての中学生レベルの知識を問う問題。過去問もあり、正答したい問題。
労働衛生関連統計

問19 労働衛生管理に用いられる統計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められたとしても、それらの間に因果関係があるとは限らない。

(2)集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

(3)健康管理統計において、ある時点での検査における有所見者の割合を有所見率といい、一定期間において有所見とされた人の割合を発生率という。

(4)生体から得られたある指標が正規分布である場合、そのばらつきの程度は、平均値や最頻値によって表される。

(5)静態データとは、ある時点の集団に関するデータであり、動態データとは、ある期間の集団に関するデータである。

正答(4)

【解説】

統計に関するこのタイプの知識問題は、最初は2018年4月公表問題で示されたが、その後、6回は示されていなかった。ところが、2021年10月公表問題以降は、毎回、示されている。この傾向は今後とも続く可能性があり、確実に正答できるようにしたい。なお、選択肢はすべて過去問と同じである。

(1)正しい。ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められても、たまたま(偶然)ということもあり得る。また、他に共通な原因があるだけで、その事象と健康事象との間には因果関係がないこともあり得る。

(2)正しい。平均値が正常値の場合、分散がゼロであればそのグループはすべてが正常値であるが、分散が大きければ異常なケースが存在している可能性がある。分散が異なれば、異なった特徴をもつ集団であると評価しなければならない。

(3)正しい。ある時点での検査における有所見者の出現割合を有所見率といい、一定期間に有所見とされた者の割合を発生率としている。

(4)誤り。平均値はそのグループ全体の傾向を表し、最頻値とは最もサンプル数の多い区分を表している。バラツキとは関係がない。バラツキを示す指標は、標準偏差や分散である。

(5)正しい。静態データ(ストックデータ)とは、ある時点の集団に関するデータであり、例えばある時点の日本の人口などである。一方、動態データ(フローデータ)とは、ある期間の集団に関するデータであり、たとえばある1年間における出生数や死亡数などである。

2022年10月10日執筆