問1 事業場の衛生管理体制に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、衛生管理者の選任の特例はないものとする。
(1)常時 200 人以上の労働者を使用する各種商品小売業の事業場では、総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
(2)常時 1,000 人を超え 2,000 人以下の労働者を使用する事業場では、4人以上の衛生管理者を選任しなければならない。
(3)常時 50 人以上の労働者を使用する燃料小売業の事業場では、第二種衛生管理者免許を受けた者のうちから衛生管理者を選任することができる。
(4)2人以上の衛生管理者を選任する場合、そのうち1人についてはその事業場に専属でない労働衛生コンサルタントのうちから選任することができる。
(5)衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、法定の様式による報告書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2022年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2022年10月公表問題 | 問01 | 難易度 | 衛生管理体制に関する基本的な問題である。一部、初出の肢があるが、確実に正答できるようにしたい。 |
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衛生管理体制 | 3 |
問1 事業場の衛生管理体制に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、衛生管理者の選任の特例はないものとする。
(1)常時 200 人以上の労働者を使用する各種商品小売業の事業場では、総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
(2)常時 1,000 人を超え 2,000 人以下の労働者を使用する事業場では、4人以上の衛生管理者を選任しなければならない。
(3)常時 50 人以上の労働者を使用する燃料小売業の事業場では、第二種衛生管理者免許を受けた者のうちから衛生管理者を選任することができる。
(4)2人以上の衛生管理者を選任する場合、そのうち1人についてはその事業場に専属でない労働衛生コンサルタントのうちから選任することができる。
(5)衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、法定の様式による報告書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
正答(1)
【解説】
衛生管理者の選任は安衛法第 12 条で義務付けられ、安衛令第4条で常時使用(雇用)する労働者が 50 人以上の場合に選任しなければならないとされている。また、衛生管理者の人数、種類等は安衛則第7条から 12 条に定められている。
(1)誤り。安衛令第2条により、総括安全衛生管理者の選任が義務付けられるのは、各種商品小売業においては、常時 300 人以上の労働者を使用する場合である。従って、常時 200 人以上の労働者を使用する各種商品小売業の事業場で、総括安全衛生管理者を選任しなければならないわけではない。
なお、衛生管理体制については「表で見る労働安全衛生管理体制」を参照されたい。
【労働安全衛生法】
(総括安全衛生管理者)
第10条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一~五 (略)
2及び3 (略)
【労働安全衛生法施行令】
第2条 労働安全衛生法(以下「法」という。)第10条第1項の政令で定める規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。
一 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 100人
二 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 300人
三1,000人
(2)正しい。安衛則第7条第1項(第四号)の規定により、常時 1,000 人を超え 2,000 人以下の労働者を使用する事業場では、4人の衛生管理者を選任しなければならない。
なお、これは業種や有害業務の有無によって異なることはない。
【労働安全衛生法】
(衛生管理者)
第12条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生規則】
(衛生管理者の選任)
第7条 法第12条第1項の規定による衛生管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。
一~三 (略)
四 次の表の上欄に掲げる事業場の規模に応じて、同表の下欄に掲げる数以上の衛生管理者を選任すること。
事業場の規模 (常時使用する労働者数) |
衛生管理者数 |
---|---|
50人以上200以下 | 1人 |
200人を超え500人以下 | 2人 |
500人を超え1,000人以下 | 3人 |
1,000人を超え2,000人以下 | 4人 |
2,000人を超え3,000人以下 | 5人 |
3,000人を超える場合 | 6人 |
五及び六 (略)
2 (略)
(3)正しい。安衛則第7条第1項(第3号ロ)により、常時50人以上の労働者を使用する燃料小売業の事業場では、第二種衛生管理者免許を有する者のうちから衛生管理者を選任することができる。
【労働安全衛生法】
(衛生管理者)
第12条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し(中略)なければならない。
2 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(衛生管理者を選任すべき事業場)
第4条 法第12条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。
【労働安全衛生規則】
(衛生管理者の選任)
第7条 法第12条第1項の規定による衛生管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。
一及び二 (略)
三 次に掲げる業種の区分に応じ、それぞれに掲げる者のうちから選任すること。
イ 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第10条各号に掲げる者
ロ その他の業種 第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は第十条各号に掲げる者
四~六 (略)
2 (略)
(4)正しい。安衛則第7条第1項(第二号)及び第 10 条の規定により、2人以上の衛生管理者を選任する場合、そのうち1人についてはその事業場に専属でない労働衛生コンサルタントのうちから選任することができる。
【労働安全衛生法】
(衛生管理者)
第12条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し(中略)なければならない。
2 (略)
【労働安全衛生規則】
(衛生管理者の選任)
第7条 法第12条第1項の規定による衛生管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 (略)
二 その事業場に専属の者を選任すること。ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に第10条第3号に掲げる者がいるときは、当該者のうち1人については、この限りでない。
三~六 (略)
2 (略)
(衛生管理者の資格)
第10条 法第十二条第一項の厚生労働省令で定める資格を有する者は、次のとおりとする。
一及び二 (略)
三 労働衛生コンサルタント
四 (略)
(5)正しい。安衛則第7条第2項が準用する同規則第2条第2項の規定により、衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、所定の様式による報告書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
【労働安全衛生規則】
(総括安全衛生管理者の選任)
第2条 (第1項 略)
2 事業者は、総括安全衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、様式第三号による報告書を、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。
(衛生管理者の選任)
第7条 (第1項 略)
2 第2条第2項及び第3条の規定は、衛生管理者について準用する。
※ 安衛法令によって事業者に義務付けられている届出・報告のうち主要なものは2024年1月1日より原則として電子申請が義務付けられる。そのためこれらの条文も改正されるが、本問の正誤に影響を与えるものではない。なお、届出・報告の電子申請については、「労働者死傷病報告等の電子申請の義務化」を参照されたい。