第2種衛生管理者試験 2019年10月公表 問19

食中毒




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合格

 このページは、試験協会が2019年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年10月公表問題 問19 難易度 食中毒に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
食中毒

問19 食中毒に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、代表的なものとしてサルモネラ菌によるものがある。

(2)感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、代表的なものとして黄色ブドウ球菌によるものがある。

(3)ボツリヌス菌は、缶詰、真空パック食品など、酸素のない食品中で増殖し、毒性の強い神経毒を産生する

(4)カンピロバクターは、カビの産生する毒素で、腹痛や下痢を起こす。

(5)エンテロトキシンは、フグ毒の主成分で、手足のしびれや呼吸麻痺を起こす。

正答(3)

【解説】

(1)誤り。毒素型食中毒が、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒であることは正しいが、代表的なものは黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などである。サルモネラ菌によるものは感染型に分類される。

(2)誤り。感染型食中毒が、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒であることは正しいが、代表的なものはサルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどである。黄色ブドウ球菌によるものは毒素型に分類される。

(3)正しい。ボツリヌス菌は、酸素のない状態の食品が原因となりやすい。ビン詰、缶詰、容器包装詰め食品、保存食品が原因となって食中毒が発生する。毒性の強い神経毒を産生し、筋肉の麻痺症状を起こす。重症になると呼吸筋も麻痺して呼吸が困難となって死亡する例もある。

なお、直接の原因であるボツリヌス毒素は比較的低い熱でも失活し、また、ボツリヌス菌そのものは体内に入っても大腸菌によって死滅する。このため、食べる前に80℃で30分程度、100℃なら10分程度、加熱すれば食中毒のリスクは低くなる。

(4)誤り。カンピロバクターは、ニワトリ、ウシ等の家きんや家畜の他、ペット、野鳥、野生動物など多くの動物がもつ菌である。カンピロバクター食中毒は、日本の細菌性食中毒では発生件数が最も多く、年間300件、患者数2,000人程度で推移している。

(5)誤り。エンテロトキシンは、黄色ブドウ球菌が食品中で増殖して産生する毒素である。ブドウ球菌食中毒の原因となる。

なお、ふぐ毒には、テトロドトキシンという猛毒が含まれている。

2020年08月21日執筆