第2種衛生管理者試験 2018年4月公表 問07

安衛則に規定されている健康診断




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合格

 このページは、試験協会が2018年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年04月公表問題 問07 難易度 健康診断に関するかなり基本的な内容である。確実に正答できるようにしておきたい問題である。
一般の健康診断等

問7 労働安全衛生規則に規定されている医師による健康診断について、法令に違反しているものは次のうちどれか。

(1)雇入時の健康診断において、35歳未満の者については、医師の意見を聴いて、貧血検査及び心電図検査を省略している。

(2)深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、健康診断を行っているが、胸部エックス線検査については、1年以内ごとに1回、定期に、行っている。

(3)海外に6か月以上派遣して帰国した労働者について、国内の業務に就かせるとき、一時的な就業の場合を除いて、海外派遣労働者健康診断を行っている。

(4)事業場において実施した雇入時の健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者については、その結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、健康診断実施日から3か月以内に、医師の意見を聴いている。

(5)常時40人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。

正答(1)

【解説】

(1)違反となる。雇入時の健康診断については、定期健康診断についての安衛則第44条第2項のような、診断項目について医師の判断により省略できるとする規定はない。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第66条の10第1項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生規則】

(雇入時の健康診断)

第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

 既往歴及び業務歴の調査

 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(1,000Hz及び4,000Hzの音に係る聴力をいう。次条第1項第三号において同じ。)の検査

 胸部エックス線検査

 血圧の測定

 血色素量及び赤血球数の検査(次条第1項第六号において「貧血検査」という。)

 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(次条第一項第七号において「肝機能検査」という。)

 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第一項第八号において「血中脂質検査」という。)

 血糖検査

 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(次条第1項第十号において「尿検査」という。)

十一 心電図検査

(2)違反とはならない。安衛則第45条により「特定業務従事者」に対しては、6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行わなければならない。

ここに、特定業務従事者とは、「第十三条第一項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者」であり、本肢の「深夜業を含む業務に常時従事する労働者」を含む。

この健康診断の実施項目は、定期健康診断の項目と同じであるが、胸部エックス線検査については、1年以内ごとに1回、定期に行えば足りる。

なお、安衛則第45条の特定業務従事者に対する健康診断の、法律上の根拠は安衛法第66条第1項である。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第66条の10第1項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生規則】

(産業医の選任等)

第13条 (略)

一及び二 (略)

 常時千人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業務に常時五百人以上の労働者を従事させる事業場にあつては、その事業場に専属の者を選任すること。

イからリ (略)

 深夜業を含む業務

ルからカ (略)

 (略)

2から4 (略)

(定期健康診断)

第43条 (略)

 既往歴及び業務歴の調査

 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

 胸部エックス線検査及び喀痰検査

 血圧の測定

 貧血検査

 肝機能検査

 血中脂質検査

 血糖検査

 尿検査

十一 心電図検査

2から4 (略)

(特定業務従事者の健康診断)

第45条 事業者は、第十三条第一項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第四号の項目については、一年以内ごとに一回、定期に、行えば足りるものとする。

2から4 (略)

(3)違反とはならない。安衛則第45条の2第2項の条文の通りである。

【労働安全衛生規則】

(海外派遣労働者の健康診断)

第45条の2 (略)

 事業者は、本邦外の地域に6月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

3及び4 (略)

(4)違反とはならない。安衛則第43条の雇入れ時の健康診断は、安衛法第66条第1項が根拠であり、安衛法第66条の4の医師等からの意見聴取の対象となる。そして、安衛則第51条の2第1項第1号は、健康診断実施日から3か月以内に医師の意見を聴かなければならないとされている。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第66条の10第1項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

2から5 (略)

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)

第66条の4 事業者は、第66条第1項から第4項まで若しくは第5項ただし書又は第66条の2の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。

【労働安全衛生規則】

(雇入時の健康診断)

第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

一から十一 (略)

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)

第51条の2 第四十三条等の健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師又は歯科医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。

 第43条等の健康診断が行われた日(法第66条第5項ただし書の場合にあつては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から3月以内に行うこと。

 (略)

2及び3 (略)

(5)違反とはならない。常時50人未満の労働者を使用する事業場は、安衛則第52条による定期健康診断の結果を所轄労働基準監督署長に報告は義務付けられていない。

【労働安全衛生法】

(報告等)

第100条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

2及び3 (略)

【労働安全衛生規則】

(健康診断結果報告)

第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条、第45条又は第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行なつたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

※ 本条は、2022年10月1日より次のようになるが、本問の正誤とは関係がない。

(健康診断結果報告)

第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条又は第45条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 事業者は、第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(様式第六号の二)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

2020年08月30日執筆