第2種衛生管理者試験 2017年10月公表 問26

腎臓・泌尿器系




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合格

 このページは、試験協会が2017年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年10月公表問題 問26 難易度 腎臓・泌尿器系に関する基本手な知識問題。確実に正答できなければならない。
腎臓・泌尿器系

問26 腎臓・泌尿器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)腎臓の腎小体では、糸球体から血液中の血球及び蛋白質以外の成分がボウマン嚢に濾し出され、原尿が生成される。

(2)腎臓の尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分及び身体に必要な成分が血液中に再吸収され、残りが尿として生成される。

(3)腎臓は、背骨の両側に左右一対あり、それぞれの腎臓から複数の尿管が出て、膀胱につながっている。

(4)尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱酸性である。

(5)尿の約95%は水分で、約5%が固形物であるが、その成分が全身の健康状態をよく反映するので、尿検査は健康診断などで広く行われている。

正答(3)

【解説】

何故か試験協会は、衛生管理者には腎臓の詳しい働きについての知識が必要だと思っているらしい。これがよく出題されるのである。

もともと腎臓という臓器は、太古の動物が海から川へ進出したときに手に入れたものである。彼らの皮膚は半透膜だったため、真水の川では塩分の多い体内に水が侵入してくるので、これを体外に排出する仕組みが必要になったのである。現在では、血液中の老廃物を尿として体外に排出する機能を有している。

老廃物をこしとる仕組みとして、腎臓内にはネフロンと呼ばれる多数の「装置」が備わっている。個々のネフロンは腎小体(「糸球体」と「ボウマン囊」)及び「尿細管」という組織から成り立っている。

血液は、「糸球体」「ボウマン囊」「尿細管」の順で流れる。最初の糸球体を血液が通過するとき、蛋白質や血球は通過できず、それ以外の糖質、アミノ酸、電解質、尿素などはボウマン囊へ濾し出される。ただ、糖質、アミノ酸、電解質などは有用なものなので、尿細管で大部分の水分と共に再吸収される。残りの尿素などが尿として排出されるのである。

(1)正しい。上記で述べた通り。

(2)正しい。上記で述べた通り。

(3)誤り。腎臓は、背骨の両側に左右一対あり、それぞれの腎臓から1本の尿管が出て、膀胱につながっている。

(4)正しい。尿が淡黄色の液体で、固有の臭気を有していることは、とくに問題はあるまい。また、尿は、平均するとpH6.0前後であり、弱酸性である。ただ、直前に食べた食物によって変動し、pH4.5~8.0であればとくに異常ではない。一般に動物性食品を摂取すると酸性側に、植物性食品を過剰摂取するとアルカリ性側に傾く。

(5)やや微妙ではあるが、(3)が明らかに誤っているので正しいとする。尿の約95%は水分だとするが、これはそのときの状況によって大きく変わる。ちなみにWikipediaの尿によれば尿の約98%は水分で、約2%が固形物とされるが、文献によってかなり異なる。

なお、その成分は全身の健康状態をよく反映するので、尿検査は健康診断などで広く行われていることは正しい。

2020年09月06日執筆