第1種衛生管理者試験 2026年04月公表 問19

特殊健康診断

問題文

学習する女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2026年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2026年04月公表問題 問19 難易度 過去問にない肢やひねった肢が多いが、基本的に過去問の学習で正答可能な問題。
特殊健康診断

問19 特殊健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)有害業務への配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務による影響を調べるための基礎資料を得るという目的がある。

(2)特殊健康診断の実施に当たっては、現在の作業内容及び有害要因へのばく露状況を把握する必要がある。

(3)体内に取り込まれた多くの有機溶剤は、生物学的半減期が短いので、有機溶剤等健康診断における尿中の代謝物の量の検査のための採尿の時刻は、厳重にチェックする必要がある。

(4)眼底検査は、電離放射線健康診断で実施され、動脈硬化の進展の有無を検査する。

(5)振動工具取扱い作業者に対する特殊健康診断を1年に2回実施する場合、そのうち1回は冬季に行うとよい。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。有害業務への配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務の影響を調べるための基礎資料を得るという目的がある。

よく中小企業の事業主等で、健康診断の結果はプライバシーに関することなので事業主は、一切その内容を知ってはならないと誤解しているケースがあるが、その結果を全く事業主の側が知らなければ健康診断を行ったことにはならず、安衛法違反となる。

(2)正しい。これは当然であろう。作業内容と有害要因へのばく露状況は、問診で把握する必要がある。それをしておかないと、所見があっても、それとばく露との関係が明確にならないからである。

(3)正しい。有機溶剤は、生物学的半減期が短い。尿中の馬尿酸が 1.5 時間程度、メチル馬尿酸が3時間程度、マンデル酸が4時間程度である。そのため、採尿の時期が非常に重要となる。

理想的には、連続した作業日の最終日(休み前の日)の作業終了の2時間前に一度排尿し、作業終了時に採尿するのが望ましい。休日明けの初日の最初に採尿しても意味はない。

(4)誤り。電離則第 56 条第1項の特殊健康診断項目に眼底検査は定められていない。

眼底検査は、有機則による特殊健康診断で二硫化炭素を製造又は取扱う業務で実施される。二硫化炭素にばく露すると糖尿病に類似した症状が現れ、二硫化炭素の長期間高濃度曝露により眼底に微細動脈瘤が生じるので、その調査を行うのが目的である(※)

※ 日本産業衛生学会「二硫化炭素」(産衛誌 Vol.57 2015年)など

【電離放射線障害防止規則】

(健康診断)

第56条 事業者は、放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

 被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間、放射線障害の有無、自覚症状の有無その他放射線による被ばくに関する事項)の調査及びその評価

 白血球数及び白血球百分率の検査

 赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査

 白内障に関する眼の検査

 皮膚の検査

2~5 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(健康診断)

第29条 (第1項及び第2項 略)

事業者は、前項に規定するもののほか、第1項の業務で別表の上欄に掲げる有機溶剤等に係るものに常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、別表の上欄に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、同表の下欄に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない

4~6 (略)

別表 (第二十九条関係)

有機溶剤等 項目
(略) (略) (略)
(七)

一 二硫化炭素

二 前号に掲げる有機溶剤をその重量の五パーセントを超えて含有する物

眼底検査
(略) (略) (略)

(5)正しい。「振動工具(チエンソー等を除く。)の取扱い等の業務に係る特殊健康診断について」において、振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施時期は、少なくとも1回は冬季に行われることとされている。

日本産業衛生学会の「振動障害の診断ガイドライン 2013」でも「冷水浸漬検査の水温は 10℃± 0.5℃以内とし、恒温漕内の水温均一化のために検査中は攪拌する。検査は原則として寒冷期(秋から冬)に、午前 9 時から午後 6 時の間に実施する」とされている。

2026年07月18日執筆