第1種衛生管理者試験 2026年04月公表 問04

第一類特定化学物質に関する規則

問題文

学習する女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2026年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2026年04月公表問題 問04 難易度 2017 年4月公表問題以降では初出の問題。特化則は本問はやや複雑であり難問である。
特定化学物質

問4 特定化学物質の第一類物質に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

ただし、特定化学物質障害予防規則に定める適用除外はないものとする。

(1)第一類物質は、「クロム酸及びその塩」を始めとする7種の発がん性の認められた化学物質並びにそれらを一定量以上含有する混合物である。

(2)第一類物質を製造しようとする者は、あらかじめ、物質ごとに、かつ、当該物質を製造するプラントごとに厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

(3)第一類物質を容器に入れ、容器から取り出し、又は反応槽等へ投入する作業を行うときは、発散源を密閉する設備、外付け式フードの局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(4)第一類物質を取り扱う屋内作業場についての作業環境測定結果及びその評価の記録を保存すべき期間は、3年である。

(5)第一類物質を取り扱う業務に常時従事する労働者に係る特定化学物質健康診断個人票を保存すべき期間は、全ての第一類物質について 30 年である。

正答(2)

【解説】

(1)誤り。「クロム酸及びその塩」は、安衛令別表第三に第二号に定められており、特化則第2条第二号の定義により第2類物質である。これは覚えておく必要がある。

なお、第一類物質は、7種の発がん性の認められた化学物質並びにそれらを一定量以上含有する混合物であることは正しい(※)

※ 特化則中には規定されていないが、特別管理物質は発がん性がある物質のことであり、第一類物質(塩素化ビフェニル等を除く。)は特別管理物質であるとされている。

なお、塩素化ビフェニルも政府のモデルSDSによれば、発がん性は区分 1B とされている。

【労働安全衛生法施行令】

別表第三 特定化学物質(第六条、第十五条、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 第1類物質

 ジクロルベンジジン及びその塩

 アルフア―ナフチルアミン及びその塩

 塩素化ビフエニル(別名PCB)

 オルト―トリジン及びその塩

 ジアニシジン及びその塩

 ベリリウム及びその化合物

 ベンゾトリクロリド

 1から6までに掲げる物をその重量の一パーセントを超えて含有し、又は7に掲げる物をその重量の〇・五パーセントを超えて含有する製剤その他の物(合金にあつては、ベリリウムをその重量の三パーセントを超えて含有するものに限る。)

 第1類物質

1~10 (略)

11 クロム酸及びその塩

11の2~37 (略)

 第1類物質

1~9 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(定義等)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 第一類物質 労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)別表第三第一号に掲げる物をいう。

 第二類物質 令別表第三第二号に掲げる物をいう。

三~七 (略)

2及び3 (略)

(2)正しい。安衛法第 56 条(並びに安衛令第 17 条及び安衛則第 48 条)により、第一類物質を製造しようとする者は、あらかじめ、物質ごとに、かつ、当該物質を製造するプラントごとに厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

【労働安全衛生法】

(製造の許可)

第56条 ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

2~6 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(製造の許可を受けるべき有害物)

第17条 法第56条第1項の政令で定める物は、別表第三第一号に掲げる第一類物質及び石綿分析用試料等とする。

別表第三 特定化学物質(第六条、第十五条、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 第1類物質

1~8 (略)

二及び三 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(製造の許可)

第48条 法第56条第1項の許可は、令別表第三第一号に掲げる物ごとに、かつ、当該物を製造するプラントごとに行なうものとする。

(3)誤り。第一類物質を容器に入れ、容器から取り出し、又は反応槽等へ投入する作業を行うときは、発散源を密閉する設備、囲い式フードの局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

局所排気装置は、外付け式フードのものよりも囲い式のものの方が、より効果的である。第一類物質は有害性が高いため、外付け式では足りないのである。

【特定化学物質障害予防規則】

(第一類物質の取扱いに係る設備)

第3条 事業者は、第一類物質を容器に入れ、容器から取り出し、又は反応槽等へ投入する作業(第一類物質を製造する事業場において当該第一類物質を容器に入れ、容器から取り出し、又は反応槽等へ投入する作業を除く。)を行うときは、当該作業場所に、第一類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、囲い式フードの局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。ただし、令別表第三第一号3に掲げる物又は同号8に掲げる物で同号3に係るもの(以下「塩素化ビフエニル等」という。)を容器に入れ、又は容器から取り出す作業を行う場合で、当該作業場所に局所排気装置を設けたときは、この限りでない。

 (略)

(4)誤り。第一類物質のうち一定の者については、作業環境測定結果及びその評価の記録を保存すべき期間は、30年である。

【労働安全衛生法施行令】

別表第三 特定化学物質(第六条、第十五条、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 第1類物質

 ジクロルベンジジン及びその塩

 アルフア―ナフチルアミン及びその塩

 塩素化ビフエニル(別名PCB)

 オルト―トリジン及びその塩

 ジアニシジン及びその塩

 ベリリウム及びその化合物

 ベンゾトリクロリド

 1から6までに掲げる物をその重量の一パーセントを超えて含有し、又は7に掲げる物をその重量の〇・五パーセントを超えて含有する製剤その他の物(合金にあつては、ベリリウムをその重量の三パーセントを超えて含有するものに限る。)

 第1類物質

1~10 (略)

11 クロム酸及びその塩

11の2~37 (略)

 第1類物質

1~9 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(測定及びその記録)

第36条 事業者は、令第21条第七号の作業場(石綿等(石綿障害予防規則(平成十七年厚生労働省令第二十一号。以下「石綿則」という。)第2条第一項に規定する石綿等をいう。以下同じ。)に係るもの及び別表第一第三十七号に掲げる物を製造し、又は取り扱うものを除く。)について、六月以内ごとに一回、定期に、第一類物質(令別表第三第一号8に掲げる物を除く。)又は第二類物質(別表第一に掲げる物を除く。)の空気中における濃度を測定しなければならない。

 事業者は、前項の規定による測定を行つたときは、その都度次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。

一~三 (略)

 測定結果

六及び七 (略)

 事業者は、前項の測定の記録のうち、令別表第三第一号1、2若しくは4から7までに掲げる物又は同表第二号3の2から6まで、8、8の2、11の2、12、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物に係る測定の記録並びに同号11若しくは21に掲げる物又は別表第一第十一号若しくは第二十一号に掲げる物(以下「クロム酸等」という。)を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行つた令別表第三第二号11又は21に掲げる物に係る測定の記録については、30年間保存するものとする

 (略)

(測定結果の評価)

第36条の2 事業者は、令別表第三第一号3、6若しくは7に掲げる物又は同表第二号1から3まで、3の3から7まで、8の2から11の2まで、13から25まで、27から31の2まで若しくは33から36までに掲げる物に係る屋内作業場について、前条第一項又は法第六十五条第五項の規定による測定を行つたときは、その都度、速やかに、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従つて、作業環境の管理の状態に応じ、第一管理区分、第二管理区分又は第三管理区分に区分することにより当該測定の結果の評価を行わなければならない。

 事業者は、前項の規定による評価を行つたときは、その都度次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。

一~四 (略)

 事業者は、前項の評価の記録のうち、令別表第三第一号6若しくは7に掲げる物又は同表第二号3の3から6まで、8の2、11の2、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、22の2から22の5まで、23の2から24まで、27の2、29、30、31の2、33の2若しくは34の3に掲げる物に係る評価の記録並びにクロム酸等を製造する作業場及びクロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場について行つた令別表第三第二号11又は21に掲げる物に係る評価の記録については、30年間保存するものとする

(5)誤り。特定化学物質健康診断個人票を 30 年保存すべきなのは、特化則第 40 条第2項により、特別管理物質についてである。特別管理物質の定義は、特化則第 38 条の2に示されているが、第一類物質のうち塩素化ビフェニル等は特別管理物質には含まれていない。

従って、塩素化ビフェニル等に関する特定化学物質健康診断個人票は、特化則第 40 条第1項により5年間である。

【特定化学物質障害予防規則】

(作業の記録)

第38条の2 事業者は、第一類物質(塩素化ビフェニル等を除く。)又は令別表第三第二号3の2から6まで、8、8の2、11から12まで、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、21、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物若しくは別表第一第三号の二から第六号まで、第八号、第八号の二、第十一号から第十二号まで、第十三号の二から第十五号の二まで、第十八号の二から第十九号の五まで、第二十一号、第二十二号の二から第二十二号の五まで、第二十三号の二から第二十四号まで、第二十六号、第二十七号の二、第二十九号、第三十号、第三十一号の二、第三十二号、第三十三号の二若しくは第三十四号の三に掲げる物(以下「特別管理物質」と総称する。)を製造し、又は取り扱う作業場(クロム酸等を取り扱う作業場にあつては、クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場に限る。)において常時作業に従事する労働者について、一月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを三十年間保存するものとする。

一~三 (略)

(健康診断の結果の記録)

第40条 事業者は、前条第1項から第3項までの健康診断(法第66条第5項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「特定化学物質健康診断」という。)の結果に基づき、特定化学物質健康診断個人票(様式第二号)を作成し、これを五年間保存しなければならない。

 事業者は、特定化学物質健康診断個人票のうち、特別管理物質を製造し、又は取り扱う業務(クロム酸等を取り扱う業務にあつては、クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う業務に限る。)に常時従事し、又は従事した労働者に係る特定化学物質健康診断個人票については、これを三十年間保存するものとする。

2026年07月16日執筆