第1種衛生管理者試験 2022年10月公表 問03

作業環境測定の測定頻度




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2022年10月公表問題 問03 難易度 作業環境測定の測定の頻度は基本中の基本である。本問は正答できなければならない。
作業環境測定

問3 法令に基づき定期に行う作業環境測定とその測定頻度との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

(1) 非密封の放射性物質を取り扱う作業室における空気中の放射性物質の濃度 ・・・ 1か月以内ごとに1回
(2) チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場における等価騒音レベルの測定 ・・・ 6か月以内ごとに1回
(3) 通気設備が設けられている坑内の作業場における通気量の測定 ・・・ 1か月以内ごとに1回
(4) 鉛蓄電池を製造する工程において鉛等を加工する業務を行う屋内作業場における空気中の鉛の濃度の測定 ・・・ 1年以内ごとに1回
(5) 第二種有機溶剤等を用いて洗浄の作業を行う屋内作業場における空気中の有機溶剤濃度の測定 ・・・ 6か月以内ごとに1回

正答(3)

【解説】

作業環境測定については、対象は安衛令第21条に定められており、頻度などの測定の基準などは、各省令に定められているのでそれらを参照することとなる。測定頻度は6か月以内に1回というものが多いので、試験対策としてはそれ以外のものを覚えるようにするとよい。実際の試験では、6月以内ごとに1回でないものが頻出する傾向にある。別途、作業環境測定の対象となる物、測定の頻度、記録の保存年限等の一覧表を示したので、併せて参照されたい。

(1)正しい。放射性物質取扱作業室における空気中の放射性物質の濃度の測定は、電離則第55条により1月以内ごとに1回とされている。従って本肢は正しい。電離放射線関係の測定頻度は1月以内ごとに1回と覚えておく(線量当量率等の測定等で例外はある)。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~五 (略)

 別表第2に掲げる放射線業務を行う作業場で、厚生労働省令で定めるもの

七~十 (略)

別表第2 放射線業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~四 (略)

 前号に規定する放射性物質又は当該放射性物質若しくは第二号に規定する装置から発生した電離放射線によつて汚染された物の取扱いの業務

六及び七 (略)

【電離放射線障害防止規則】

(放射性物質の濃度の測定)

第53条 令第21条第六号の厚生労働省令で定める作業場は、次のとおりとする。

 (略)

 放射性物質取扱作業室

二の二及び三 (略)

(放射性物質の濃度の測定)

第55条 事業者は、第53条第二号から第三号までに掲げる作業場について、その空気中の放射性物質の濃度を1月以内ごとに1回、定期に、放射線測定器を用いて測定し、その都度、前条第1項各号に掲げる事項を記録して、これを5年間保存しなければならない。

(2)正しい。著しい騒音を発する屋内作業場の等価騒音レベルの測定は、安衛則第590条により6月以内ごとに1回測定することとされている。従って本肢は正しい。なお、「チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場」は、安衛則第588条により等価騒音レベルを測定すべき「著しい騒音を発する屋内作業場」とされている。ただ、そのことは本問ではあまり重要ではない。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一及び二 (略)

 著しい騒音を発する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

四から十 (略)

【労働安全衛生規則】

第588条 令第21条第三号の厚生労働省令で定める著しい騒音を発する屋内作業場は、次のとおりとする。

一から六 (略)

 チッパーによりチップする業務を行なう屋内作業場

八及び九 (略)

(騒音の測定等)

第590条 事業者は、第588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。

 (略)

(3)誤り。通気設備が設けられている坑内の作業場における通気量の測定は、安衛則第603条の規定により、半月以内ごとに1回行うことが義務付けられている。坑内のような環境の良くない場所で運用する通気設備など、半月に1回は測定しないと危ないということであろう。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~三 (略)

 坑内の作業場で、厚生労働省令で定めるもの

五~十 (略)

【労働安全衛生規則】

第589条 令第二十一条第四号の厚生労働省令で定める坑内の作業場は、次のとおりとする。

一及び二 (略)

 通気設備が設けられている坑内の作業場

(坑内の通気量の測定)

第603条 事業者は、第589条第三号の坑内の作業場について、半月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における通気量を測定しなければならない。

 (略)

(4)正しい。鉛ライニングの業務を行う屋内作業場における空気中の鉛の濃度の測定を行う屋内作業場における空気中の鉛の測定は、鉛則第52条第1項により、1年以内ごとに1回行うことが義務付けられている。従って本肢は正しい。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一及び七 (略)

 別表第4第一号から第八号まで、第十号又は第十六号に掲げる鉛業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。)を行う屋内作業場

九及び十 (略)

別表第4 鉛業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一及び二 (略)

 鉛蓄電池又は鉛蓄電池の部品を製造し、修理し、又は解体する工程において鉛等の溶融、鋳造、粉砕、混合、ふるい分け、練粉、充てん、乾燥、加工、組立て、溶接、溶断、切断若しくは運搬をし、又は粉状の鉛等をホツパー、容器等に入れ、若しくはこれらから取り出す業務

四~十八 (略)

【鉛中毒予防規則】

(測定)

第52条 事業者は、令第21条第八号に掲げる屋内作業場について、1年以内ごとに1回、定期に、空気中における鉛の濃度を測定しなければならない。

 (略)

(5)正しい。第1種及び第2種有機溶剤を用いて行う有機溶剤業務を行う屋内作業場における濃度の測定は、有機則第28条第2項により、6月以内ごとに1回行うことが義務付けられている。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~九 (略)

 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場

【有機溶剤中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~五 (略)

 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。

イ~ト (略)

 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)又は払しよくの業務

リ~ヲ (略)

 (略)

(測定)

第28条 令第二十一条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。

 事業者は、前項の業務を行う屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。

 (略)

2022年10月04日執筆