問7 屋内作業場において、第二種有機溶剤等を使用して常時洗浄作業を行う場合の措置として、有機溶剤中毒予防規則上、正しいものは次のうちどれか。
ただし、同規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。
(1)作業場所に設ける局所排気装置について、外付け式フードの場合は最大で 0.4 m/sの制御風速を出し得る能力を有するものにする。
(2)作業中の労働者が有機溶剤等の区分を容易に知ることができるよう、容器に青色の表示をする。
(3)有機溶剤作業主任者に、有機溶剤業務を行う屋内作業場について、作業環境測定を実施させる。
(4)作業場所に設けたプッシュプル型換気装置について、1年を超える期間使用しない場合を除き、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行う。
(5)作業に常時従事する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行う。
このページは、試験協会が2021年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年10月公表問題 | 問07 | 難易度 | 有機則に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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有機溶剤中毒予防規則 | 4 |
問7 屋内作業場において、第二種有機溶剤等を使用して常時洗浄作業を行う場合の措置として、有機溶剤中毒予防規則上、正しいものは次のうちどれか。
ただし、同規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。
(1)作業場所に設ける局所排気装置について、外付け式フードの場合は最大で 0.4 m/sの制御風速を出し得る能力を有するものにする。
(2)作業中の労働者が有機溶剤等の区分を容易に知ることができるよう、容器に青色の表示をする。
(3)有機溶剤作業主任者に、有機溶剤業務を行う屋内作業場について、作業環境測定を実施させる。
(4)作業場所に設けたプッシュプル型換気装置について、1年を超える期間使用しない場合を除き、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行う。
(5)作業に常時従事する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行う。
正答(4)
【解説】
(1)誤り。局所排気装置が満たすべき性能は同規則第16条第1項に定められており、外付け式フードの場合、制御風速は側方吸引型と下方吸引型で0.5m/s以上、上方吸引型で1.0m/s以上でなければならないとされている。
【有機溶剤中毒予防規則】
(局所排気装置の性能)
第16条 局所排気装置は、次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。
型式 | 制御風速(メートル/秒) | |
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囲い式フード | 0.4 | |
外付け式フード | 側方吸引型 | 0.5 |
下方吸引型 | 0.5 | |
上方吸引型 | 1.0 | |
備考 一 この表における制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいう。 二 この表における制御風速は、フードの型式に応じて、それぞれ次に掲げる風速をいう。 イ 囲い式フードにあつては、フードの開口面における最小風速 ロ 外付け式フードにあつては、当該フードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置の風速 |
2 (略)
(2)誤り。有機則第25条の規定により、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、有機溶剤等の区分を色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならないとされているが、これは容器に青色の表示をするという趣旨ではない。
また、第二種有機溶剤の表示の色分けは「黄」でなければならないとしている。
【有機溶剤中毒予防規則】
(有機溶剤等の区分の表示)
第25条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。
2 前項の色分けによる表示は、次の各号に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める色によらなければならない。
一 第一種有機溶剤等 赤
二 第二種有機溶剤等 黄
三 第三種有機溶剤等 青
※ 有機則第25条第1項は、出題当時は下記のようになっていた。その後の省令改正により現在は上記のようになっているが、本問の正誤に影響はない。この改正の趣旨については「一人親方等の保護に関する安衛法令改正」を参照されたい。
(有機溶剤等の区分の表示)
第25条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。
2 (変更なし)
(3)誤り。法令上、違反となる。作業環境測定令第1条第一号の規定により、第二種有機溶剤業務を行う屋内作業場は「指定作業場」(※)となる。そして、作業環境測定法第3条により、指定作業場の作業環境測定は原則として作業環境測定士に行わせるか作業環境測定機関に委託して行わなければならない。
※ 指定作業場については、コンサルタント試験の解説のページ「作業環境測定法の指定作業場とは」を参照されたい。
【作業環境測定法】
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一及び二 (略)
三 指定作業場 労働安全衛生法第65条第1項の作業場のうち政令で定める作業場をいう。
四~七 (略)
(作業環境測定の実施)
第3条 事業者は、労働安全衛生法第65条第1項の規定により、指定作業場について作業環境測定を行うときは、厚生労働省令で定めるところにより、その使用する作業環境測定士にこれを実施させなければならない。
2 事業者は、前項の規定による作業環境測定を行うことができないときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業環境測定を作業環境測定機関に委託しなければならない。ただし、国又は地方公共団体の機関その他の機関で、厚生労働大臣が指定するものに委託するときは、この限りでない。
【作業環境測定法施行令】
(指定作業場)
第1条 作業環境測定法(以下「法」という。)第2条第三号の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第21条第一号、第七号、第八号及び第十号に掲げる作業場
二 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一から九 (略)
十 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場
(4)正しい。第二種有機溶剤に係る作業場所に設けたプッシュプル型換気装置については、有機則第20条の2第2項が準用する同第20条第2項により、1年を超える期間使用しない場合を除き、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行わなければならない。
そして、同第21条の規定により、その検査の結果等の記録を3年間保存しなければならない。
【労働安全衛生法】
(定期自主検査)
第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(定期に自主検査を行うべき機械等)
第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。
一~八 (略)
九 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの
十及び十一 (略)
2 (略)
【有機溶剤中毒予防規則】
(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)
第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(局所排気装置の定期自主検査)
第20条 (第1項 略)
2 事業者は、前項の局所排気装置については、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一~七 (略)
3 (略)
(プッシュプル型換気装置の定期自主検査)
第20条の2 令第15条第1項第九号の厚生労働省令で定めるプッシュプル型換気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第5条又は第6条の規定により設けるプッシュプル型換気装置とする。
2 前条第2項及び第3項の規定は、前項のプッシュプル型換気装置に関して準用する。この場合において、同条第2項第三号中「排風機」とあるのは「送風機及び排風機」と、同項第六号中「吸気」とあるのは「送気、吸気」と読み替えるものとする。
(記録)
第21条 事業者は、前2条の自主検査を行なつたときは、次の事項を記録して、これを3年間保存しなければならない。
一~六 (略)
(5)誤り。有機則第29条第2項の規定により、第二種有機溶剤を取り扱う作業に常時従事する労働者に対し、6月以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行わなければならない。
【労働安全衛生法】
(健康診断)
第66条 (略)
2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
3~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(健康診断を行うべき有害な業務)
第22条 法第66条第2項前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。
一~五 (略)
六 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるもの
2及び3 (略)
【有機溶剤中毒予防規則】
(健康診断)
第29条 令第22条第1項第六号の厚生労働省令で定める業務は、屋内作業場等(第三種有機溶剤等にあつては、タンク等の内部に限る。)における有機溶剤業務のうち、第3条第1項の場合における同項の業務以外の業務とする。
2 事業者は、前項の業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一~四 (略)
3~6 (略)