第1種衛生管理者試験 2021年4月公表 問07

有機溶剤中毒予防規則




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合格

 このページは、試験協会が2021年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年04月公表問題 問07 難易度 有機則に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
有機溶剤中毒予防規則

問7 屋内作業場において、第二種有機溶剤等を使用して常時洗浄作業を行う場合の措置として、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

 ただし、有機溶剤中毒予防規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。

(1)作業場所に設けた局所排気装置について、外付け式フードの場合は0.4m/sの制御風速を出し得る能力を有するものにする。

(2)有機溶剤等の区分の色分けによる表示を黄色で行う。

(3)作業場における空気中の有機溶剤の濃度を、6か月以内ごとに1回、定期に測定し、その測定結果等の記録を3年間保存する。

(4)作業に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、特別の項目について医師による健康診断を行い、その結果に基づき作成した有機溶剤等健康診断個人票を5年間保存する。

(5)作業場所に設けたプッシュプル型換気装置について、原則として、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行い、その検査の結果等の記録を3年間保存する。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。局所排気装置が満たすべき性能は同規則第16条第1項に定められており、外付け式フードの場合、制御風速は側方吸引型と下方吸引型で0.5m/s以上、上方吸引型で1.0m/s以上でなければならないとされている。

【有機溶剤中毒予防規則】

(局所排気装置の性能)

第16条 局所排気装置は、次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。

型式 制御風速(メートル/秒)
囲い式フード 0.4
外付け式フード 側方吸引型 0.5
下方吸引型 0.5
上方吸引型 1.0

備考

一 この表における制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいう。

二 この表における制御風速は、フードの型式に応じて、それぞれ次に掲げる風速をいう。

イ 囲い式フードにあつては、フードの開口面における最小風速

ロ 外付け式フードにあつては、当該フードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置の風速

 (略)

(2)正しい。有機則第25条の規定により、第二種有機溶剤の表示の色分けは「黄」でなければならないとされている。

【有機溶剤中毒予防規則】

(有機溶剤等の区分の表示)

第25条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。

 前項の色分けによる表示は、次の各号に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める色によらなければならない。

 第一種有機溶剤等 赤

 第二種有機溶剤等 黄

 第三種有機溶剤等 青

(3)正しい。作業場における空気中の有機溶剤の濃度は、有機則第28条の規定により6月以内ごとに1回、定期に測定し、その測定結果等の記録を3年間保存しなければならない。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一から九 (略)

 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場

【有機溶剤中毒予防規則】

(測定)

第28条 令第二十一条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。

 事業者は、前項の業務を行う屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。

 事業者は、前項の規定により測定を行なつたときは、そのつど次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。

一から七 (略)

(4)正しい。有機則第29条第2項の規定により、第二種有機溶剤を取り扱う作業に常時従事する労働者に対し、6月以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行わなければならない。また、同第30条の規定により、有機溶剤等健康診断個人票を5年間保存しなければなない。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 (略)

 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。

3から5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(健康診断を行うべき有害な業務)

第22条 法第六十六条第二項前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。

一から五 (略)

 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるもの

2及び3 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(健康診断)

第29条 令第二十二条第一項第六号の厚生労働省令で定める業務は、屋内作業場等(第三種有機溶剤等にあつては、タンク等の内部に限る。)における有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。

 事業者は、前項の業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

一から四 (略)

3から5 (略)

(健康診断の結果)

第30条 事業者は、前条第二項、第三項又は第五項の健康診断(法第六十六条第五項ただし書の場合における当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「有機溶剤等健康診断」という。)の結果に基づき、有機溶剤等健康診断個人票(様式第三号)を作成し、これを五年間保存しなければならない。

(5)正しい。第二種有機溶剤に係る作業場所に設けたプッシュプル型換気装置については、有機則第20条の2第2項が準用する同第20条第2項により、1年を超える期間使用しない場合を除き、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行わなければならない。

そして、同第21条の規定により、その検査の結果等の記録を3年間保存しなければならない。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるもの

十~十一 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの

 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)

第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(局所排気装置の定期自主検査)

第20条 (第1項 略)

 事業者は、前項の局所排気装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~七 (略)

 (略)

(プッシュプル型換気装置の定期自主検査)

第20条の2 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定めるプッシュプル型換気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第五条又は第六条の規定により設けるプッシュプル型換気装置とする。

 前条第二項及び第三項の規定は、前項のプッシュプル型換気装置に関して準用する。この場合において、同条第二項第三号中「排風機」とあるのは「送風機及び排風機」と、同項第六号中「吸気」とあるのは「送気、吸気」と読み替えるものとする。

(記録)

第21条 事業者は、前二条の自主検査を行なつたときは、次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。

一~六 (略)

2021年04月11日執筆