第1種衛生管理者試験 2021年4月公表 問02

構造規格の対象となるもの




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合格

 このページは、試験協会が2021年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年04月公表問題 問02 難易度 構造規格の対象となるものは頻出事項である。本問は確実に正答したい
構造規格の対象

問2 厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない機械等に該当しないものは、次のうちどれか。

(1)潜水器

(2)一酸化炭素用防毒マスク

(3)ろ過材及び面体を有する防じんマスク

(4)放射性物質による汚染を防止するための防護服

(5)特定エックス線装置

正答(4)

【解説】

厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等の範囲は、安衛法第42条により定められている。この条文はきわめて分かりにくいが、別表第2に掲げるもの(及び安衛令第13条第1項に定めるもの)とされているのである。

従って、安衛法別表第2第八号に掲げる「防じんマスク」及び第9号に掲げる「防毒マスク」は、すべて「厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等」になるはずだが、安衛令第13条第5項が、安衛法別表第2そのものを限定するという、非常に分かりにくい規定となっている。

そして、安衛令第13条第5項は、安衛法別表第2第8号に掲げる「防じんマスク」は「ろ過材及び面体を有する防じんマスク」に限定し、同第9号に掲げる「防毒マスク」は「ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクその他厚生労働省令で定めるもの」に限られるとしているのである。この規定を受けて、安衛則第26条は、「その他厚生労働省令で定めるもの」を一酸化炭素用防毒マスク、アンモニア用防毒マスク及び亜硫酸ガス用防毒マスクと定めている。

従って「厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき」「防じんマスク」は「ろ過材及び面体を有する防じんマスク」のみであり、防毒マスクは以下のものに限定されることとなる。

① ハロゲンガス用防毒マスク

② 有機ガス用防毒マスク

③ 一酸化炭素用防毒マスク

④ アンモニア用防毒マスク

⑤ 亜硫酸ガス用防毒マスク

すなわち(2)及び(3)は構造規格の対象となる。第1種衛生管理者の受験対策としては、深く考えずにこの結論を覚えておくこと。

一方、安衛法第42条を受けて、安衛令第13条第3項に「厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき」が定められている。そして、その第二十一号に「潜水器」が、同二十二号に「特定エックス線装置」が定められている。従って(1)及び(5)は構造規格の対象となる。

なお、「特定エックス線装置」の定義は電離則第10条にあり、安衛令第13条第3項の第二十二号のエックス線装置であるとされている。

【労働安全衛生法】

(譲渡等の制限等)

第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

別表第2 (第四十二条関係)

一~七 (略)

 防じんマスク

 防毒マスク

 (以下略)

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (第1項及び第2項 略)

 法第四十二条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~二十 (略)

二十一 潜水器

二十二 波高値による定格管電圧が十キロボルト以上のエツクス線装置(エツクス線又はエツクス線装置の研究又は教育のため、使用のつど組み立てるもの及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第四項に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)

二十三~三十四 (略)

 (略)

 次の表の上欄に掲げる機械等には、それぞれ同表の下欄に掲げる機械等を含まないものとする。

(略) (略)
法別表第二第八号に掲げる防じんマスク ろ過材又は面体を有していない防じんマスク
法別表第二第九号に掲げる防毒マスク ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクその他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒マスク
(略) (略)

【労働安全衛生規則】

(規格を具備すべき防毒マスク)

第26条 令第十三条第五号の厚生労働省令で定める防毒マスクは、次のとおりとする。

 一酸化炭素用防毒マスク

 アンモニア用防毒マスク

 亜硫酸ガス用防毒マスク

【電離放射線障害防止規則】

(照射筒等)

第10条 事業者は、エックス線装置(エックス線を発生させる装置で、令別表第二第二号の装置以外のものをいう。以下同じ。)のうち令第十三条第三項第二十二号に掲げるエックス線装置(以下「特定エックス線装置」という。)を使用するときは、利用線錐の放射角がその使用の目的を達するために必要な角度を超えないようにするための照射筒又はしぼりを用いなければならない。ただし、(以下略)

 (略)

2021年04月11日執筆