第1種衛生管理者試験 2020年10月公表 問06

労働安全衛生規則の衛生基準




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合格

 このページは、試験協会が2020年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年10月公表問題 問06 難易度 過去問に類例のない問題である。細かい内容であり、やや難問だったかもしれない。
安衛則の衛生基準

問6 労働安全衛生規則の衛生基準について、定められていないものは次のうちどれか。

(1)炭酸ガス(二酸化炭素)濃度が0.15%を超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

(2)廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。

(3)屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。

(4)多量の低温物体を取り扱う場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

(5)著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。

正答(1)

【解説】

(1)定められていない。安衛則第585条は、炭酸ガス濃度が1.5%を超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならないとしている。0.15%ではない。

安衛則では、基本的に空気中の二酸化炭素濃度は1.5%以下とすることが求められていることを覚えておこう(安衛則第583条)。また、事務所則では、換気の要件として5,000ppm=0.5%(第3条)、空気調和設備又は機械換気設備によって室に供給される空気の要件として1,000ppm=0.1%(第5条)という数値が挙げられていることも覚えておこう。

なお、大気中の二酸化炭素濃度は、気象庁のサイトによれば0.04%程度とされている。また、呼気中の二酸化炭素濃度は作業量によって大きく異なるが、試験対策としては4%程度と覚えておけばよい。

【労働安全衛生規則】

(立入禁止等)

第585条 事業者は、次の場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

一~三 (略)

 炭酸ガス濃度が一・五パーセントを超える場所、酸素濃度が十八パーセントに満たない場所又は硫化水素濃度が百万分の十を超える場所

五~七 (略)

 (略)

(2)定められている。安衛則第592条の2により、廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。

ここで、設備の解体等に伴うものを除いているのは、作業環境測定は定常的に行われる作業において、その作業環境を改善するために行うものであることから、臨時的な作業を(改善につながらないので)除いているのである。

【労働安全衛生規則】

(特別教育を必要とする業務)

第36条 (柱書 略)

一~三十三 (略)

三十四 ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成十一年政令第四百三十三号)別表第一第五号に掲げる廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設(第九十条第五号の三を除き、以下「廃棄物の焼却施設」という。)においてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務(第三十六号に掲げる業務を除く。)

三十五 (略)

三十六 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の業務及びこれに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務

三十七~四十一 (略)

(ダイオキシン類の濃度及び含有率の測定)

第592条の2 事業者は、第三十六条第三十四号及び第三十五号に掲げる業務を行う作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第二条第一項に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)の濃度を測定しなければならない

 (略)

(3)定められている。安衛則第608条により、屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。

【労働安全衛生規則】

(ふく射熱からの保護)

第608条 事業者は、屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉等があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。

 (略)

(4)定められている。安衛則第585条により、多量の低温物体を取り扱う場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

【労働安全衛生規則】

(立入禁止等)

第585条 事業者は、次の場所に関係者以外の者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止するとともに、表示以外の方法により禁止したときは、当該場所が立入禁止である旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

 (略)

 多量の低温物体を取り扱う場所又は著しく寒冷な場所

三~七 (略)

 (略)

※ 本条の第1項柱書は、出題当時は下記のようになっていた。現在は上記のように改正されているが、本問の正誤には影響がない。なお、この改正に関心があれば「一人親方等の保護に関する安衛法令改正」を参照して頂きたい。

(立入禁止等)

第585条 事業者は、次の場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

一~七 (略)

 (略)

(5)定められている。安衛則第614条により、著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。

【労働安全衛生規則】

(有害作業場の休憩設備)

第614条 事業者は、著しく暑熱、寒冷又は多湿の作業場、有害なガス、蒸気又は粉じんを発散する作業場その他有害な作業場においては、作業場外に休憩の設備を設けなければならない。ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由があるときは、この限りでない。

2020年12月27日執筆