第1種衛生管理者試験 2020年10月公表 問03

作業主任者の選任の対象となる作業




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合格

 このページは、試験協会が2020年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年10月公表問題 問03 難易度 作業主任者を選任すべき義務は頻出事項である。本問は確実に正答したい。
作業主任者選任の対象

問3 次の作業を行うとき、法令上、作業主任者の選任が義務付けられているものはどれか。

(1)屋内作業場におけるアーク溶接の作業

(2)製造工程において硝酸を用いて行う洗浄の作業

(3)レーザー光線による金属加工の作業

(4)試験研究業務として塩素を取り扱う作業

(5)潜水器を用いボンベからの給気を受けて行う潜水作業

※ 本問出題後の安衛令改正により、本問の正答は2つあることに留意すること。

正答(2)及び(1)

【解説】

作業主任者の選任は安衛法第14条によって義務付けられ、安衛令第6条に選任すべき作業が定められている。従って同条を調べてみれば正答は分かる。

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し(中略)なければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

一から十七 (略)

十八 別表第三に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業(中略)を除く。

十九から二十三 (略)

別表第3 特定化学物質(第六条、第九条の三、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 (略)

 第二類物質

1から6 (略)

 塩素

8から34 (略)

34の2 溶接ヒューム(※)

※ 34の2は、本問出題後の改正によって追加された。

34の3から34 (略)

 第三類物質

1から3 (略)

 硝酸

5から9 (略)

(1)本問の出題当時は義務付けられていなかった。しかし、安衛令別表第3の改正により、2022年(令和4年)4月1日より「溶接ヒュームを製造し又は取り扱う業務」について作業主任者の選任を要することとされた。従って、現在はアーク溶接の作業についても作業主任者の選任が必要となる(※)

※ 詳細は厚労省のパンフレット「金属アーク溶接等作業について健康障害防止措置が義務付けられます」を参照されたい。

なお、アーク溶接作業は特別教育の対象であることに留意すること。

(2)義務付けられている。安衛令第6条(第十八号)に、特定化学物質を取り扱う業務が定められており、硝酸は同別表第3第三号4に定められた第三類の特定化学物質である。従って、製造工程において硝酸を用いて行う洗浄の作業は作業主任者を選任しなければならない作業である。

(3)義務付けられていない。レーザー光線による金属加工の作業、安衛令第6条に定められていない。

(4)義務付けられていない。安衛令第6条(第十八号)に、特定化学物質を取り扱う業務が定められており、硝酸は同別表第3第二号7に定められた第二類の特定化学物質である。しかし、試験研究業務は、安衛令第6条(第十八号)のカッコ書きで除かれている。

(5)義務付けられていない。潜水器を用いボンベからの給気を受けて行う潜水作業、安衛令第6条に定められていない。

2020年12月19日執筆 2022年06月12日修正