第1種衛生管理者試験 2019年10月公表 問14

電離放射線による健康影響




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合格

 このページは、試験協会が2019年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年10月公表問題 問14 難易度 電離放射線による健康影響に関する基本的な知識問題である。正答できなければならない問題。
電離放射線

問14 電離放射線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。

(2)電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。

(3)電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確定的影響に分類され、その発生には、しきい値があり、しきい値を超えると発生率及び症状の程度は線量に依存する。

(4)電離放射線に被ばく後、数週間程度までに現れる造血器系障害は、急性障害に分類される。

(5)造血器、消化管粘膜など細胞分裂の頻度の高い細胞が多い組織・臓器は、一般に、電離放射線の影響を受けやすい。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。これは解説するまでもないであろう。身体的影響は、組織維持の要である細胞集団が傷つくことによって生じる。嘔吐、脱毛、造血機能の低下、白内障などがある。

遺伝的影響については、動物実験によって突然変異が現れることが科学的に確認されている。

(2)正しい。電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。

(3)誤り。発がんと遺伝的影響は確率的影響である。確率的影響では、発生率は線量に依存するが、症状の程度は線量に依存しない。

なお、電離放射線による健康影響には、確定的影響と確率的影響がある。そして、確定的影響では症状の程度が線量に依存し、確率的影響では線量に依存する。

(4)正しい。被爆から発症までが数週間までのものを急性影響と呼び、数か月以上のものを挽発性影響と呼ぶ。

(5)正しい。ベルゴニー・トリボンドの法則によれば、細胞分裂頻度が高く、細胞分裂の回数が大きく、形態及び機能的に未分化である組織は、放射線感受性が高いとされる。すなわち造血器、生殖腺、腸粘膜、皮膚など頻繁に細胞分裂している組織・臓器は、電離放射線の影響を受けやすい。

2020年07月19日執筆