第1種衛生管理者試験 2019年10月公表 問13

有機溶剤による健康障害等




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合格

 このページは、試験協会が2019年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年10月公表問題 問13 難易度 有機溶剤の物性、健康障害等に関する知識問題である。やや高度な内容。
有機溶剤

問13 有機溶剤に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)有機溶剤の多くは、揮発性が高く、その蒸気は空気より軽い。

(2)有機溶剤は、脂溶性が低いため、脂肪の多い脳などには入りにくい。

(3)メタノールによる障害として顕著なものには、網膜の微細動脈瘤を伴う脳血管障害がある。

(4)二硫化炭素は、精神障害や意識障害を起こすことがある。

(5)N,N-ジメチルホルムアミドによる障害として顕著なものには、視力低下を伴う視神経障害がある。

正答(4)

【解説】

(1)誤り。有機溶剤の多くは、揮発性が高いことは正しい。しかし、その蒸気は空気より重い。

(2)誤り。一般に有機溶剤は脂溶性を有する。そのため脂質が多い神経、脳に結合蓄積されやすい。

(3)誤り。メタノールによる健康障害として顕著なものは、眼に対する重篤な損傷、中枢神経系への影響、麻酔作用などである。

網膜細動脈瘤は高血圧のある場合に生じるおそれがある疾病で、どちらかといえば生活習慣病である。

(4)正しい。二硫化炭素は、中枢神経系に対する影響があり、興奮、情緒不安定、せん妄、幻覚、妄想、自殺願望等がみられることがある。

(5)誤り。N,N-ジメチルホルムアミドは眼に対する刺激性があるが、視力低下を伴う視神経障害は確認されていない。なお、本物質は発がん性及び生殖毒性がある他、肝臓への障害、皮膚に対する刺激性などがあると考えられている。

2020年07月19日執筆