第1種衛生管理者試験 2018年10月公表 問18

作業環境測定の目的・方法




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合格

 このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年10月公表問題 問18 難易度 作業環境測定に関するごく基礎的な問題である。確実に正答しなければならない問題だろう。
化学物質管理

問18 厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果の評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)管理濃度は、有害物質に関する作業環境の状態を単位作業場所の作業環境測定結果から評価するための指標として設定されたものである。

(2)単位作業場所は、作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう。

(3)B測定は、有害物の発散源に近接する場所において作業が行われる場合に、有害物の濃度が最も高くなると思われる時間に、その作業が行われる位置において行う測定である。

(4)A測定の第二評価値及びB測定の測定値がいずれも管理濃度に満たない単位作業場所は、A測定の第一評価値に関係なく第一管理区分になる。

(5)B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えている単位作業場所の管理区分は、A測定の結果に関係なく第三管理区分となる。

正答(4)

【解説】

厚生労働省の作業環境測定に関する2つの告示「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に関する設問である。

(1)正しい。管理濃度は、労働安全衛生法第65条の2第2項に基づき作業環境評価基準の別表に定められており、作業環境の状態を評価するための指標である。

産業衛生学会が勧告している許容濃度との目的の違いを明確にしておくこと。許容濃度は「職場におけるこれらの環境要因による労働者の健康障害を予防するための手引きに用いられることを」目的としている。

(2)正しい。作業環境測定基準第2条第1項第一号に、単位作業場所とは「当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう」とされている。

(3)正しい。B測定とは、作業環境評価基準第2条第1項第二号により「作業環境測定基準第2条第1項第二号の二の規定により行う測定」とされている。そして、同号は「当該作業が行われる時間のうち、空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度が最も高くなると思われる時間に、当該作業が行われる位置において測定を行う」とされている。なお、B測定では有害物質の気中濃度が最も高くなると考えられる15分間の平均をとることになる。

(4)誤り。作業環境評価基準第2条第1項第二号の表は次のようになっている。これによれば、A測定の第二評価値が管理濃度以下であっても、第一評価値が管理濃度以上であれば第二管理区分となる。

管理区分 評価値又はB測定の測定値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果
第一管理区分 第一評価値及びB測定の測定値(二以上の測定点においてB測定を実施した場合には、そのうちの最大値。以下同じ。)が管理濃度に満たない場合
第二管理区分 第二評価値が管理濃度以下であり、かつ、B測定の測定値が管理濃度の一・五倍以下である場合(第一管理区分に該当する場合を除く。)
第三管理区分 第二評価値が管理濃度を超える場合又はB測定の測定値が管理濃度の一・五倍を超える場合

(5)正しい。(4)の解説で示した表を分かりやすく解すると次表のようになる。この表から明らかなように、B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えている場合の管理区分は、A測定の結果に関係なく第三管理区分となる。

  A測定結果
第一評価値 <
管理濃度
第二評価値 ≦
管理濃度 <
第一評価値
管理濃度 <
第二評価値
B測定結果 B測定結果 <
管理濃度
第一管理区分 第二管理区分 第三管理区分
管理濃度 <
B測定結果 ≦
管理濃度×1.5
第二管理区分 第二管理区分 第三管理区分
管理濃度×1.5 <
B測定結果
第三管理区分 第三管理区分 第三管理区分
2019年06月09日執筆