第1種衛生管理者試験 2018年4月公表 問34

細菌性食中毒の原因菌




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合格

 このページは、試験協会が2018年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年04月公表問題 問34 難易度 食中毒に関するかなり細かな問題である。正答するのはやや難しいかもしれない。
食中毒

問34 細菌性食中毒の原因菌のうち、病原性好塩菌ともいわれるものは、次のうちどれか。

(1)黄色ブドウ球菌

(2)ボツリヌス菌

(3)サルモネラ菌

(4)腸炎ビブリオ

(5)カンピロバクター

正答(4)

【解説】

最近は食塩に対する挙動から、好塩菌、非好塩菌、耐塩菌に分類できる。好塩菌は一定の食塩濃度のときに増殖できる細菌をいい、食塩が含まれない条件では増殖できない。腸炎ビブリオなどがある。

非好塩菌は、食塩濃度が高くなると増殖ができなくなる菌である。ほとんどの菌が該当するが、その例としてボツリヌス菌やウエルシュ菌などが挙げられる。

耐塩菌は食塩が含まれない条件でも増殖でき、かつ食塩濃度が7~10%程度まで増殖可能な菌である。黄色ブドウ状球菌やリステリア菌などがある。

(1)誤り。黄色ブドウ球菌は高濃度の食塩存在下でも発育できるが、耐塩菌であって好塩菌ではない。

(2)誤り。ボツリヌス菌は、非好塩菌である。

(3)誤り。サルモネラ菌は非好塩菌である。

(4)正しい。腸炎ビブリオは3%前後の食塩を含む食品中でよく増殖する。2007年9月に低塩分(4%前後)の「イカの塩辛」が原因となって腸炎ビブリオ(O3:K6)による広域食中毒が発生した。

この菌は主に海水中に生息し、鞭毛をもつグラム陰性の桿菌である。滝川巌博士が、1955年に発生した集団食中毒患者の便から分離して、病原性好塩菌と名付けたのが発見の端緒である。

(5)誤り。カンピロバクターは非好塩菌である。

2019年08月17日執筆