第1種衛生管理者試験 2017年10月公表 問21

衛生管理者に管理させるべき業務




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合格

 このページは、試験協会が2017年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年10月公表問題 問21 難易度 衛生管理者の業務に関するごく初歩的な問題である。正答できなければならない問題である。
衛生管理者の業務

問21 事業者が衛生管理者に行わせるべき業務として、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

(1)安全衛生に関する方針の表明に関する業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理すること。

(2)健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関する業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理すること。

(3)労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関する業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理すること。

(4)労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関する業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理すること。

(5)労働者の健康を確保するため必要があると認めるとき、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすること。

正答(5)

【解説】

衛生管理者の業務は、安衛法第12条第1項の規定により、同第10条第1項各号の業務(総括安全衛生管理者の業務)のうち、衛生に係る技術的事項とされている。なお、同第10条第1項第五号の業務は、安衛則第3条の2に定められている。

【労働安全衛生法】

(総括安全衛生管理者)

第10条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。

 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。

 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。

 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。

 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの

2及び3 (略)

(衛生管理者)

第12条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第10条第1項各号の業務(第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第1項各号の措置に該当するものを除く。)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(総括安全衛生管理者が統括管理する業務)

第3条の2 法第10条第1項第五号の厚生労働省令で定める業務は、次のとおりとする。

 安全衛生に関する方針の表明に関すること

 法第28八条の2第1項又は第57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。

 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。

(1)正しい。安衛則第3条の2第1号に定めらている。ただし、安全衛生に関する方針の表明そのものは総括安全衛生管理者の職務であることに留意すること。

(2)正しい。安衛法第10条第1項第3号に定められている。

(3)正しい。安衛法第10条第1項第2号に定められている。

(4)正しい。安衛法第10条第1項第4号に定められている。

(5)誤り。衛生管理者は、事業主の指示に基づいて業務を行う。事業者に対する勧告の権限はない。

なお、産業医は安衛法第13条第5項に基づき「労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告」をすることができるが、これは事業者が産業医に行わせるべき業務ではない。

2020年07月05日執筆