第1種衛生管理者試験 2017年4月公表 問19

特殊健康診断




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合格

 このページは、試験協会が2017年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年04月公表問題 問19 難易度 特殊健康診断に関する知識問題である。過去問は少ないが確実に正答できなければならない。
特殊健康診断

問19 特殊健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)有害業務への配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務の影響を調べるための基礎資料を得るという目的がある。

(2)有害物質による健康障害は、多くの場合、諸検査の異常などの他覚的所見より自覚症状が先に出現するため、特殊健康診断では問診の重要性が高い。

(3)特殊健康診断では、対象とする特定の健康障害と類似の他の疾患との判別が、一般健康診断よりも一層強く求められる。

(4)特殊健康診断において適切な健診デザインを行うためには、作業内容と有害要因へのばく露状況を把握する必要がある。

(5)有機溶剤は、生物学的半減期が短いので、有機溶剤等健康診断における尿中の代謝物の量の検査のための採尿の時刻は、厳重にチェックする必要がある。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。有害業務への配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務の影響を調べるための基礎資料を得るという目的がある。

よく中小企業の事業主等で、健康診断の結果はプライバシーに関することなので事業主は、一切その内容を知ってはならないと誤解しているケースがあるが、その結果を全く事業主の側が知らなければ健康診断を行ったことにはならず、安衛法違反となる。

(2)誤り。有害物質による健康診断では、問診が重要であることは言うまでもない。それは、問診における自覚症状やばく露状況の把握が重要だからである。

そもそも、有害物質による健康障害で、諸検査の異常などの他覚的所見より自覚症状が先に出現するとは限らない。また、問診では重要な所見を見落とすリスクもある。

(3)正しい。特殊健康診断は、有害因子による健康障害の早期発見などを目的とするものであるから、対象とする特定の健康障害と類似の他の疾患との判別が、一般健康診断よりも一層強く求められることは当然であろう。

(4)正しい。これは当然であろう。作業内容と有害要因へのばく露状況は、問診で把握する必要がある。それをしておかないと、所見があっても、それとばく露との関係が明確にならないからである。

(5)正しい。有機溶剤は、生物学的半減期が短い。尿中の馬尿酸が1.5時間程度、メチル馬尿酸が3時間程度、マンデル酸が4時間程度である。

理想的には、連続した作業日の最終日(休み前の日)の作業終了の2時間前に一度排尿し、作業終了時に採尿するのが望ましい。休日明けの初日の最初に採尿しても意味はない。

2020年08月09日執筆