WEBで収集する化学物質情報

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計算する人

化学物質の有害性や規制、管理のあり方などに関する情報は、現時点ではWEBを活用することでかなりのものが得られます。

そこで、内外の化学物質に関する有用な情報のサイトについて、それらの解説をしているサイトと共にとりまとめ、ごく簡単な解説を付してみました。




1 WEBを活用した情報収集

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インターネット

化学物質の有害性や規制、管理のあり方などに関する情報は、現時点ではWEBを活用することでかなりのものが得られる。専門機関の機関紙や書籍などの情報もないわけではないが、このような雑誌は一般の事業者にはそれほど簡単には入手できず、書籍の情報でまとまっているものは概して新しい情報が含まれていない。

一方、化学物質に関する専門機関のWEBサイトの情報は専門家が読むことを前提にしたものが多く、それほど親切ではない。基本用語などの意味・解説などは書かれてはいないことがあるし、仮に書かれていても、定義だけということがほとんどである。たとえば発がん性が「区分1」と言われても、少なくない事業者にはなんのことだか分からない。

また、「人に対する発癌性が明らかな物質」と書かれていても、どのように注意すればよいのかということまでは分からない。さらに言えば、沸点や蒸気圧が記載されていても、それをどのように理解すべきかまでは分からないのが普通である。すなわち、沸点が低ければ揮発しやすく作業環境中に危険を及ぼしやすい、逆に高ければ皮膚に着いた時に蒸発しにくく皮膚から体内に侵入しやすいなどということが分からないし、どの程度の沸点の場合どのような注意が必要かということを理解するためには、かなりの経験が必要であろう。

また、海外の化学物質関連の規制に関する情報は錯そうしており、日本文のサイトは公的な機関のそれであっても、しばしば相互に矛盾していたり、意味が判り難かったり、ときには誤りさえある。海外の情報に関しては、日本文で概要を調べることはできるにしても、それだけでは心もとない。基本的に、元の海外の機関のサイトを確認する必要が出てくるだろう。

さらに海外の規制に関しては、日本から化学物質を輸出する場合に関係する規制のような情報は、比較的かんたんに見つかるが、職業ばく露に関する各国の規制に関する情報を見つけるのは至難の業といってよい。

そこで、内外の化学物質に関する有用な情報のサイトについて、それらの解説をしているサイトと共にとりまとめ、ごく簡単な解説を付してみた。それぞれの項目にハイパーリンクを設けたので、関係するサイトを参照することができる。なお、リンク先からソフトウエアやデータのダウンロードをするには、登録が必要なケースもあるが、無償で公開されているもののみを挙げている。

なお、これらのサイトの内容について保証をするものではない。


2 国内の関連ポータルサイト(政府/公的機関)

(1)独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)

ア 「化学物質管理」のページ

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の「化学物質管理」のページは、化学物質に関する総合的なサイトである。化学物質に関し、わが国における最も充実したサイトと言ってよい。この中で、最も有効なのは、下記イのCHRIPであるが、他にも有用な情報が多い。

イ 化学物質総合情報提供システム(CHRIP)

化学物質総合情報提供システム(CHRIP)では、個別の化学物質について検索すると総合的な情報が得られる。日本国内のいくつかの法令の適用関係のほか、製造使用量、用途、有害性情報などの情報がある。

CAS番号のある物質は、ほぼ網羅されているといってよい。現時点における我国の最も情報の豊富なサイトといえるだろう。


(2)職場のあんぜんサイト(化学物質)

ア 化学物質関連情報

職場のあんぜんサイトの右側のカラムにある「化学物質関連情報」は、化学物質に関する厚生労働省が管理するサイト。職業ばく露の観点からの各種の情報を集めている。モデルSDSなどの有害性情報のみならず、災害事例が物質ごとに掲載されており、事業場の化学物質管理にきわめて有用なサイトである。

イ GHS対応モデルラベル・モデルSDS情報

GHS対応モデルラベル・モデルSDS情報では、GHS対応のモデルラベル・モデルSDSが掲載されている。現行の安全衛生法施行令別表第9に掲載されているものは原則として掲載されていることとされている。

ただし、同別表第9で化学物質の群(「○○の化合物」などの形)で定められているものなどでは、すべてが掲載されているわけではない。従って、ここにモデルSDSが掲載されていないからと言って、ただちに通知対象物質ではないと判断することはできない。この点について、十分な留意が必要である。


(3)化学物質データベース(国立環境研究所)

国立環境研究所の「化学物質データベース」は、化学物質検索、農薬製剤検索及び環境分析法検索などいくつかのタブからなる総合検索サイトである。

ただし、すべてのタブで同一のデータベースを使用しているようである。化学物質安全情報提供システム(KIS-NET、神奈川県)などの化学物質データベースにいくつかのファイルを追加して作成した化学物質データベースである。このサイトのメリットは次の2点であろう。

  • ① リンクが充実しており、個別の化学物質についての内外の公的機関のリスク評価結果や有害性評価結果の資料を容易に見つけることができる。
  • ② 農薬出荷量に関する情報がある。なお、これは他のサイトでは見つけにくい情報である。

ただし、リンクを除けば、サイトそのものの情報量は必ずしも豊富とはいえない。NITEのCHRIPで得られる情報がほとんどである。


(4)NIMS物質・材料データベース

NIMS物質・材料データベースは、独立行政法人物質・材料研究機構のデータベースサイトである。利用するには登録(無料)が必要。実際に使ったことはないので内容や価値等は不明。


(5)国際化学物質安全性カード(ICSC)日本語版

国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)は、「国際化学物質安全性カード(ICSC)日本語版」を公開している。英文のオリジナル資料の公表から、数か月で日本語化されてアップされているようだ。

このサイトでは、個別の化学物質の危険・有害性情報の概括的な情報が得られる。また、漏洩物処理や貯蔵に関する注意事項なども記載されているので、多くの事業者にとって有用であろう。


(6)既存化学物質毒性データベース(JECDB)

国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部が運営する「既存化学物質毒性データベース(JECDB)」では、IUCLIDデータを順次提供している。物質名またはCAS番号で検索すると、各種の試験結果が得られる。

ただし、一般の事業者向けというより、大手企業や研究所の研究者が対象のようである。


(7)日本化学物質辞書データベース(J‐GLOBAL)

国立研究開発法人科学技術振興機構の運営する「日本化学物質辞書データベース(J‐GLOBAL)」では、化学物質の名称で検索すると、内外の研究所の概要がヒットする。

こちらも一般の事業者向けというより、大手企業や研究所の研究者が対象のようである。


(8)有機化合物のスペクトルデータベース SDBS

国立研究開発法人産業技術総合研究所の運営する「有機化合物のスペクトルデータベース SDBS 」は、無償で閲覧できるが、商業利用を防ぐために、1日に入手してよいスペクトル又は化合物ファイルの数は50件までと制限されている。


(9)高分子データベース(PoLyInfo)

高分子データベース(PoLyInfo)」は、国立研究開発法人物質・材料研究機構の運営するサイトである。


3 国内のポータルサイト(大学、自治体、民間機関等)

(1)事業者の化学物質リスク自主管理の情報基盤

横浜国立大学の運営するサイト「事業者の化学物質リスク自主管理の情報基盤」では、情報プラットホームタブから様々な情報を得ることができる。内外の有害性情報、各種リスク評価書、リスクアセスメントツールに関するサイトへのリンクや、有害性情報に関する考え方等が豊富である。

海外のリスクアセスメントツールの日本語による簡単な解説が多く含まれている。このような情報は当サイト「実務家のための産業保健」を別とすれば、国内ではあまり見られない。ただし、残念なことに更新がほとんどされておらず、情報がかなり古い。


4 日本政府による各種リスク評価書

日本政府は各種のリスク評価書を様々なサイトに公開している。以下に、それらのリスク評価書が掲示されているサイトをまとめた。

これらのリスク評価書の対象物質数はそれほど多いわけではなく、専門的な知識がないと活用は難しい面があるが、有害性に関する情報がよくまとまっており、ある程度の専門知識のある職員がいる企業では活用することができよう。


(1)厚生労働省(化学物質対策課)

厚生労働省のサイトのリスク評価書を物質ごとにまとめたページとして、(リスク評価実施物質)のページがある。厚労省が職業ばく露の観点からリスク評価を行った物質のリスク評価書を閲覧することができる。物質数は多くはないが、職業ばく露の観点からの貴重な情報源といってよい。なお、厚労省の労働基準局が実施する検討会等のページから各年度の「化学物質リスク評価検討会」を探してクリックし、各年度の委員会の「報告書」をクリックしても、物質ごとの報告書へリンクするページが表示される。


(2)製品評価技術基盤機構(NITE)

製品評価技術基盤機構(NITE)のリスク評価書は、現在は化学物質総合情報提供システム(CHRIP)から「有害性評価書」「初期リスク評価書」「初期リスク評価書概要版」がダウンロードできるようになっている。


(3)環境省化学物質の環境リスク評価結果

環境省が公開している環境省化学物質の環境リスク評価結果は、基本的に環境影響のリスク評価書ではあるが、化学物質の基本情報が豊富である。なお、化学物質の生態影響試験結果について同じサイトからダウンロードできる。


(4)産業技術総合研究所(AIST)の詳細リスク評価書

産業技術総合研究所(AIST)の詳細リスク評価書は、物質数は多くはない(2021年5月1日時点で27物質)が、物質の一覧が公開されており、各物質の環境影響に関するリスク評価書の要約(といってもかなりの量だが)のほか参考資料等をダウンロードできる。


(5)食品安全委員会の食品安全総合情報システム

食品安全委員会の食品安全総合情報システムは、職業ばく露とは関連は低いが、物質の一覧が公開されており、各物質の名称に張られたリンクから簡単なリスク評価結果の一覧を参照することができる。ただ、一覧表にCAS番号が記載されていないため、検索がしにくいといううらみはある。

なお、同様なものとして、毒劇物指定のための有害性情報の収集・評価が国立医薬品食品衛生研究所のサイトに公開されている。こちらも物質数は少ないが、急性毒性を中心に様々な毒性の評価が参照できる。


(6)EUリスク評価書

国立医薬品食品衛生研究所の「EUリスク評価書(日本語)」は、同研究所が翻訳したEUリスク評価書である。物質名の一覧表からEUのリスク評価書の日本語訳を参照できる。


5 有用なメールマガジン

(1)みずほ情報総研ケミマガ

みずほ情報総研ケミマガは、内外の政府機関や公的機関の公表する化学物質関連の最新の情報がまとまっている。コンセプトはNITEのものや日化協のものと似ているが、内容的にはもっとも充実しているという印象を受ける。

当初、みずほ総研ではNITEからの委託を受けてNITEのケミマガを作成していたが、ある年にNITEの入札に漏れたためその後、独自にはじめたものである。1か月に2回配信している。


(2)NITEのケミマガ

NITEのケミマガは、内外の政府機関や公的機関の公表する化学物質関連の最新の情報がまとまっている。その意味ではみずほ総研や日化協のものと同じだが、毎週、1回、水曜日に配信されるので情報が早いという利点がある。


(3)日本化学工業協会(BIG Dr)のケミマガアーカイブス

日本化学工業協会(BIG Dr)のケミマガアーカイブスは、みずほ情報総研(MHIR)が配信しているメールマガジン「ケミマガ」と、(独)製品評価技術基盤機構が発行している「NITEケミマガ」について、過去の配信情報も含めて国別、ジャンル別にリストに整理したものである。


6 リスクアセスメントのツール等

(1)ボックスモデルツール

当サイトでは、ボックスモデルを使用したリスクアセスメントツールを公開している。このツールの解説は「ボックスモデルを用いたリスクアセスメント」を参考にして頂きたい。なお、このツールはVECTORからもダウンロードできるようにしてある。

作業環境中の濃度の推定方法としてのボックスモデルは、従来から存在しているが、このツールではばく露濃度の8時間平均値を推定して、これを職業ばく露限界(OEL)と比較することによるリスクを判定している。なお、ばく露時間が8時間よりも長い場合はBrief & Scalaモデルによって修正するようになっている。

なお、このツールは筑波大学が学内向けに開発したリスクアセスメントツールにおいても利用されている。


(2)厚生労働省リスクアセスメント実施支援ツール

厚生労働省が「厚生労働省リスクアセスメント実施支援ツール」のページで職業ばく露に関する簡易なリスクアセスメントツールをいくつか公開している。厚生労働省版コントロール・バンディングは、英国のCOSHH Essenstialsの日本版である。出力される対策シートは日本の法令に適合するように修正されている。オリジナルでは研磨作業などには使用できなかったが、新たにこれらの作業にも使用できるものが新たに作成されている。

また、CREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)は、吸入による有害性リスクだけではなく、経皮吸収による有害性リスクや危険性についてもリスクの見積もりが可能なシステムである。


(3)ECETOC TRA(EU)

ECETOC TRA」は、欧州化学物質生態毒性および毒性センター(ECETOC)が開発した化学物質のリスクアセスメントツールである。消費者ばく露に特化したものと、汎用のものがある。現在のバージョンは3.1である。

ECETOCのサイトからEXCELファイルをダウンロードして使用するようになっている。従って、Windowsのバージョンによらずに使用できるという利点がある。なお、ダウンロードには登録が必要である。

これについて当サイトで日本語による解説「 ECETOC TRAの使用方法」を公開している。また、厚生労働省横浜国立大学が簡単な日本語マニュアルを公表している。ただし、横浜国立大学の解説は、TRAの旧バージョンを対象にしている。


(4)EMKG(BAuA)

ドイツ連邦安全衛生研究所(BAuA)」では、化学物質の職業ばく露に関するリスクアセスメントツールであるEMKG Expo Toolを開発・公表している。簡単な情報から職場の作業環境中の機中濃度を推定するものであるが、出力は一定の数値ではなく範囲で得られる。

BAuAの「EMKG-Expo-Tool 2.0」のページからファイルをダウンロードして使用する。現在はVer2.0が公開されている。

なお、これについて当サイトでは、現時点ではVer1について日本語による解説「BAuAのEMKG EXPO TOOLを使ってみよう」を公開している。


(5)ChemSTEER(EPA(USA))

ChemSTEER」は、米国環境保護庁(EPA)が開発したリスクアセスメントツールである。職業ばく露に関する吸入及び経皮リスク、及び環境への排出量を推定するためのツールである。

EPAのサイトからプログラム(160MB)をダウンロードしてパソコンにインストールする必要がある。EPAの該当サイトにはWindows XP以上で動作するとされている。実際にWindows10(64bit版)で試してみたが、問題なく動作している。これについて、横浜国立大学が簡単な日本語マニュアルを公表している。


(6)COSHH Essenstials(HSE)

COSHH Essenstials」は、英国の安全衛生庁(HSE)が開発した職業ばく露に関するリスクアセスメントツールである。厚生労働省のコントロールバンディング方式の元となったものである。HSEのサイトでブラウザを用いてリスクアセスメントを行うことは厚労省の旧版と同じである。

海外に工場を進出している場合を除き、通常では、国内の事業者がこのサイトを利用するメリットはないと思う。


(7)MEASE(EBRC)

MEASE」は、EBRCが開発した化学物質のリスクアセスメントツールである。EXCELデータをダウンロードして使用する。吸入ばく露と経皮ばく露が推定できる。

日本ではあまり知られていないため和文情報が得にくく、一般の事業者には使いにくいかもしれない。


(8)MuSEM(国立環境研究所)

MuSEM(Multimedia Simplebox-systems Environmental Model)」は、1994年にオランダの国立公衆衛生・環境保護研究所(RIVM)の化学物質評価グループが開発したUSES(Uniform System for the Evaluation of Substances)を基にして、我が国の国立環境研究所が開発した環境リスクの統合アセスメントプログラムである。日本語で使用できるが、化学物質に関する知識がないと使いづらいかもしれない。

国立環境研究所のサイトから申請してダウンロードする。基本的にEXCELがあれば動作するが、データベースファイルはAccessがないと操作できない。ただ、通常の事業者はデータベースファイルを操作する必要はないので、EXCELがあれば十分活用できるだろう。


(9)WPEM(EPA)

WPEM」は、家庭及び作業環境におけるロール塗り、ブラシ塗りによる壁塗装時に排出される化学物質のばく露を推定するツールである。EPAのWEBサイトからダウンロードして使用する。ただし、Windows10 HOME(64bit版)では動作しなかった。そのため私には評価できない。

横浜国立大学のサイトに日本語の簡単な解説書がある。


(10)その他

筑波大学環境安全管理室が、筑波大学の関係者用として、リスクアセスメントプログラムたなごを公開している。先述したように、このプログラムの作成には、当サイトも協力させて頂いており、当サイトの「ボックスモデルツール」が組み込まれている。

福井大学が、中災防の「実測値が無い場合のリスクレベル評価手順」に基づき、簡便に化学物質使用のリスクレベルを算出するためのHPを公開している。2015年11月にはBAuAのEMKGも利用できるようになっている。ただ、同時に利用できる数が20に制限されているため、業務で利用するにはやや困難という面がある。


7 各種国際機関等によるOEL

内外の公的な機関において、各種の職業ばく露限界(OEL)が公表されている。なお、我が国において、作業場の化学物質の気中濃度を管理するために最も重要な指標は管理濃度であるが、厳密には OEL ではなく、またよく知られているものなので省略した。

管理濃度がない物質について、作業環境管理を行う場合は、必要に応じ、下記に示すTLVと許容濃度を用い、これらがない物質についてMAK、WEL、SCOEL等を使用するとよいだろう(※)

※ 厚生労働省の「検知管を用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブック」にはばく露限界値の調査方法として「SDSにて、日本産業衛生学会の許容濃度または最大許容濃度、ACGIHのTLV-TWA、TLV-STEL、TLV-Cなどのばく露限界値の情報を確認します。ばく露限界値の記載がない場合であって も、他の国際的に認知されている英国の職場ばく露限界値(Workplace Exposure Limits、WELs)やドイツの最大職場濃度(Maximale Arbeitsplatzkonzebtration、MAK)などが設定されている可能性があります」とされている。


(1)TLV:米国産業衛生専門家会議(ACGIH)

ACGIHのTLVについては、中央労働災害防止協会の各国情報・国際関係のサイトに各年のリストがPDFで掲示される。2023年のものは、2022年12月公表ACGIHのTLV一覧(英文)が公開されている。基本的に報告書等は有償ではあるが、一般の事業者には必要はないだろう。なお、最新の変更に関する情報が物質名だけ公表されている。


(2)許容濃度:日本産業衛生学会

日本産業衛生学会の許容濃度は、同学会のWEBサイトに、PDFの形で公開される。最新版のものは2020年許容濃度等一覧表が公表されている。この表には、いつその許容濃度が定められたかも記載されているので、最新の変更についても知ることができる。

また、提案理由書が物質ごとに公開されている。


(3)SCOEL:欧州委員会(職業暴露限界に関する科学委員会)

欧州委員会のSCOELは一覧表「SCOEL Recommendations」が公開されている。WEBに接続されたパソコンでPDFファイルを表示し、化学物質の名称の左欄の番号をクリックすると、SCOEL値を知ることができる。


(4)WEL:英国安全衛生庁(HSE)

英国安全衛生庁(HSE)のWEL値の報告書は有償であるが、無償の WEL値一覧表がpdfファイルで公開されている。現時点では2020年1月版が最新である。WELは有害物質管理規則(COSHH)において使用する職場ばく露限界であり、法的な規制力を有するものである。


(5)MAK:ドイツ研究振興協会(DFG)

ドイツ研究振興協会のMAK値は、毎年一覧表がpdfファイルの形で公表されている。

なお、ここに示したリンク先のファイルは報告書の第2章一部であるが、他の部分もDFGのサイトからDLは可能である。サイトの上部にある検索ボックスで、「List of MAK and BAT Values」と入力して検索すると、報告書の各章がヒットする。


(6)PEL/REL

米国労働安全衛生局(OSHA)のPEL値、及び米国労働安全衛生研究所(NIOSH)のREL値は、NIOSHのNIOSH POCKET GUIDE TO CHEMICAL HAZARDSによって、調べることが可能である。

また、OSHAのWEBサイトからは、上記2つのOELの他、カリフォルニア労働安全衛生局(Cal・OSHA)のPEL値も調べることが可能である。一覧表へのリンクが黒文字で下線がないので、リンクだと分かりにくいのがマウスを乗せると青文字になる。

  • PEL:permissible exposure limit
  • REL:Recommended Exposure Limit

8 その他の有害性情報

(1)国際がん研究機関(IARC)によるモノグラム

「国際がん研究機関(IARC)によるモノグラム」は、国連のIARCによる、さまざまな「もの」の発がん性に関する評価である。対象は化学物質に限られない。最近では一部の評価結果に批判もあるが、現時点では最も信頼されている情報と言ってよい。


(2)欧州化学物質庁(ECHA)のInformation on Chemicals

欧州化学物質庁(ECHA)の「Information on Chemicals」は、ECHAの化学物質の情報サイトであり、CAS番号で検索すると「RISK MANAGEMENT OPTION ANALYSIS CONCLUSION DOCUMENT」がヒットする。

また、ECHAの最新の Candidate Listが一覧にまとめられて公表されている。


(3)CLP規則によるGHS分類に関する情報

CLP規則により、主に1000トン以上生産・輸入されている物質であって、十分な情報がある物質について、GHS分類について登録された情報が公開されている。ただ、複数の届出がある場合、統一されずに登録されているので、どれが正しいのかは自己責任で判断するしかない。


(4)米国衛生研究所(NIH)のHaz-Map

米国NIHの化学物質の有害性に関する検索サイトである。職業病に関する情報も充実している。


(5)WHOの国際化学物質簡潔評価文書(CICAD)

WHOの評価文書の一覧表が公開されているサイトから、個々の物質の評価書を参照することができる。なお、国立医薬品食品衛生研究所のサイトから日本文を参照することができる。


(6)経済協力開発機構(OECD)の初期評価プロファイル(ITAP)

OECDの初期評価プロファイル(ITAP)は、日本化学物質安全・情報センター(JETOC)が会員向け情報誌に掲載した日本語訳をそのサイトから参照することができる。


(7)全米AEGL開発諮問委員会のAEGLs

全米AEGL開発諮問委員会によって策定される急性ばく露ガイドラインレベルである。この大きな特徴は、一つの化学物質に対して想定する健康被害によって3つのレベル(AEGL-1、AEGL-2、AEGL-3)と、それぞれ5つの曝露時間(10、30min、1、4、8hr)についてレベルが定められていることである。

物質リスト等は、EPAのサイトで公開されている。

また、国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)のWEBサイトに日本語で一覧表が公開されており、そこから各物質の情報を参照できる。なお、AEGLの意味等については、国立医薬品食品衛生研究所のWEBサイトと、横浜国大のWEBサイトに詳しい解説がある。


(8)NIOSH/OSHAの各種データ

ア IDLH/PEL/REL

NIOSHのIDLH(Immediately Dangerous to Life or Health)は急性毒性に関するばく露限界値である。一覧表としては、「NIOSH POCKET GUIDE TO CHEMICAL HAZARDS」が公開されていて、IDLHの他PELやRELが参照できる。ただしPDFファイルは2007年版が最新である。


(9)米国国家毒性プログラム(NTP)の各種データ

ア Report on Carcinogens(RoC)

米国国家毒性プログラム(NTP)のReport on Carcinogens(RoC)は第14報(zipファイル24.3MB)が最新版である。なお、第14報はhtmlファイルの他、かなりのpdfファイルをダウンロードする方法によって公開されている。ダウンロードにはかなり時間がかかるので注意していただきたい。

物質数はそれほど多くはないが、重要な情報である。

イ その他

このほかNTPの情報としては、 Study Reportsが利用できる。


(10)米国カリフォルニア州:Proposition 65

Proposition 65」は、米国カリフォルニア州の情報で、化学物質を生殖毒性物質リスト/生殖発達毒性リスト、発がん性物質リストとして公表している。リストは同州のサイトからダウンロードできる。


(11)CASのサイト

CASの一般のサイトでは、CAS番号から物質名を検索することができる。





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