労働安全コンサルタント試験 2024年 産業安全関係法令 問10

クレーン、移動式クレーン、エレベータ等に関する規定



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問題文

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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2024年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2024年度(令和06年度) 問10 難易度 クレーン等に関する問題は例年のように出題される。しかし、本年度は、最近になく難問となっている。
クレーン等  5 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問10 特定機械等であるクレーン、ゴンドラ等に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)使用を廃止したゴンドラを再び設置しようとする者は、登録設計審査等機関の検査を受けなければならない。

(2)事業者は、運転者が選任され、かつ、その者のみが運転するエレベーターを除き、エレベーターの運転の方法及び故障した場合における処置を、当該エレベーターを使用する労働者に周知させなければならない。

(3)事業者は、建設用リフトを用いて作業を行うときは、建設用リフトの運転について一定の合図を定め、合図を行う者を指名して、その者に合図を行わせなければならない。

(4)事業者は、ワイヤロープ1よりの間において、素線(フィラ線を除く。)の数の 10 パーセント以上の素線(フィラ線を除く。)が切断しているものは、クレーンの玉掛用具として使用してはならない。

(5)クレーン、移動式クレーン又はデリックの傾斜角指示装置は、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

※ 本問は、出題後に関係法令が改正されたので、問題文を修正している。

正答(5)

【解説】

問10試験結果

試験解答状況
図をクリックすると拡大します

本問は、クレーンのメーカの担当者か行政出身者でもなければ正答は困難かもしれない。大多数の受験者が、誤答(正しい内容)である(1)を選択した。

なお、(1)の検査に関する規定は、本問出題後の 2026 年4月1日施行の安衛法改正により、すでに出題当時と状況が変わっている。本問出題当時は、製造時等検査は都道府県労働局長が行うこととされていた。しかし、現時点では民間機関の検査が認められるようになったのである。そのため、2026 年度の試験時には過去問のままでは誤った肢となるので、問題文を一部修正している(※)

※ 本肢は、出題当時は「使用を廃止したゴンドラを再び設置しようとする者は、都道府県労働局長の検査を受けなければならない」となっており、出題当時としては正しい肢であった。その後の法令改正により、製造時等検査に民間の検査機関による検査が認められたことから、本文のように修正したものである。

特定機械の製造時等検査については、直前チェックシートに「特定機械の製造時等検査と落成検査」を執筆しているので参考にして頂きたい。

各審査・検査・検定の対象機械と方法

※ 図1:各審査・検査・検定の対象機械と方法

図のクリックで拡大します

(1)正しい。ゴンドラ則第6条第1項第三号)。使用を廃止したゴンドラを再び設置しようとする者は、登録設計審査等機関の検査(使用検査)を受けなければならない(※)

※ なお、図は厚生労働省「労働安全衛生法第四十七条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める設計審査の方法(案)等について(報告)」(第181回安全衛生分科会資料)からの引用である。

特定機械の製造時等検査は、製造、輸入した場合だけでなく、いったん廃止したものを再び設置するときも必要になるのである。廃止したものは法律上は特定機械ではなく「クズ」と同じである。「クズ」を特定機械にするのだから、製造と同じだと考えればよい。

なお、特定機械であっても、特定の場所で組み立てて設置するもの(クレーン、デリック、エレベータ及び建設用リフト)は、その特定の場所で製造されると考えて製造検査と落成検査を同時に行うのだが、その2つの検査をまとめて落成検査と呼ぶのだと覚えておくとよい。

ゴンドラは、特定の場所で組み立てて設置するようなものではない。

【労働安全衛生法】

(製造時等検査等)

第38条 特定機械等(別表第一第一号、第二号、第四号及び第八号に掲げる機械等に係るものに限る。以下この項及び次項並びに次条第1項において同じ。)を製造し、若しくは輸入した者、特定機械等で厚生労働省令で定める期間設置されなかつたものを設置しようとする者又は特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、若しくは使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、登録設計審査等機関の検査を受けなければならない。ただし、輸入された特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項(次項において「輸入時等検査対象機械等」という。)について当該特定機械等を外国において製造した者が同項の規定による検査を受けた場合は、この限りでない。

2及び3 (略)

【ゴンドラ安全規則】

(使用検査)

第6条 次の者は、法第三十八条第一項の規定により、それぞれ当該ゴンドラについて、登録設計審査等機関の検査を受けなければならない。

一及び二 (略)

 使用を廃止したゴンドラを再び設置し、又は使用しようとする者

2~7 (略)

※ 本問の関係法令は、本問出題当時は下記のようであったが 2026 年4月1日施行の改正で、上記のように改正された。

【労働安全衛生法】

(製造時等検査等)

第38条 特定機械等を製造し、若しくは輸入した者、特定機械等で厚生労働省令で定める期間設置されなかつたものを設置しようとする者又は特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、若しくは使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、当該特定機械等が、特別特定機械等(特定機械等のうち厚生労働省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外のものであるときは都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録製造時等検査機関」という。)の検査を受けなければならない。ただし、輸入された特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項(次項において「輸入時等検査対象機械等」という。)について当該特定機械等を外国において製造した者が次項の規定による検査を受けた場合は、この限りでない。

2及び3 (略)

【ゴンドラ安全規則】

(使用検査)

第6条 次の者は、法第38条第1項の規定により、当該ゴンドラについて、都道府県労働局長の検査を受けなければならない。

一及び二 (略)

 使用を廃止したゴンドラを再び設置し、又は使用しようとする者

2~6 (略)

(2)正しい。クレーン則第 151 条のままの条文問題である。事業者は、運転者が選任され、かつ、その者のみが運転するエレベーターを除き、エレベーターの運転の方法及び故障した場合における処置を、当該エレベーターを使用する労働者に周知させなければならない。

【クレーン等安全規則】

(運転方法の周知)

第151条 事業者は、エレベーター(運転者が選任され、かつ、その者のみが運転するものを除く。)の運転の方法及び故障した場合における処置を、当該エレベーターを使用する労働者に周知させなければならない。

(3)正しい。クレーン則第 185 条。事業者は、建設用リフトを用いて作業を行うときは、建設用リフトの運転について一定の合図を定め、合図を行う者を指名して、その者に合図を行わせなければならない。

なお、同様な規定は、クレーン(同規則第 25 条)、移動式クレーン(同規則第 71 条)、デリック(同規則第 111 条)、簡易リフト(同規則第 206 条)にもあるので、覚えておく必要がある。

【クレーン等安全規則】

(運転の合図)

第25条 事業者は、クレーンを用いて作業を行なうときは、クレーンの運転について一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。ただし、クレーンの運転者に単独で作業を行なわせるときは、この限りでない。

2及び3 (略)

(運転の合図)

第71条 事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行なうときは、移動式クレーンの運転について一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。ただし、移動式クレーンの運転者に単独で作業を行なわせるときは、この限りでない。

2及び3 (略)

(運転の合図)

第111条 事業者は、デリツクを用いて作業を行なうときは、デリツクの運転について一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。ただし、デリツクの運転者に単独で作業を行なわせるときは、この限りでない。

2及び3 (略)

(運転の合図)

第185条 事業者は、建設用リフトを用いて作業を行なうときは、建設用リフトの運転について一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。

2及び3 (略)

(運転の合図)

第206条 事業者は、簡易リフトを用いて作業を行なうときは、簡易リフトの運転について一定の合図を定め、当該作業に従事する労働者に、当該合図を行なわせなければならない。

 (略)

(4)正しい。クレーン則第 215 条(第一号)は、ワイヤロープ1よりの間において、素線(フィラ線を除く。)の数の 10 パーセント以上の素線(フィラ線を除く。)が切断しているものは、クレーンの玉掛用具として使用してはならないとしている。

※ フィラ線とは、素線同士が擦れ合わないように、素線の隙間に入れる細い鋼線のことである。強度には影響を与えないので、切断してもワイヤロープの性能には影響を与えない。

ただし、これはあくまでも法令上のことであり、現実にはこの規定に遵うことは不可能である。というのは、現実には素線の多くは表面には現れないので、断線しているかどうかを確認することはできないからである。

日本クレーン協会の「ワイヤロープの簡易点検」を参照して、クラウン断線(山切れ)はロープ径(d)の6倍(約1ピッチ)及び30倍(約5ピッチ)の範囲内の断線数が基準数以下であることを確認し、ニップ断線(谷切れ)は、1本でもあれば廃棄する(※)

※ この基準は、線材製品協会鋼索部会(旧・日本鋼索工業会)監修「玉掛索の正しい取扱い方 =改訂第6判=」(2017年)によるものである。現実には、この基準が標準となっている。なお、公的な規格としては、JIS B 8836:2019 年「クレーン-ワイヤロープ-取扱い、保守、点検及び廃棄」の 「6.2 可視断線」があるが、クレーン則の規定と同様なものとなっている。

【クレーン等安全規則】

(不適格なワイヤロープの使用禁止)

第215条 事業者は、次の各号のいずれかに該当するワイヤロープをクレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛用具として使用してはならない。

 ワイヤロープ一よりの間において素線(フイラ線を除く。以下本号において同じ。)の数の10パーセント以上の素線が切断しているもの

二~四 (略)

(5)誤り。安衛令第 13 条第3項にクレーン、移動式クレーン又はデリックの傾斜角指示装置は、定められていない。従って、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならないものには該当しない。

【労働安全衛生法】

(譲渡等の制限等)

第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第6条 (第1項及び第2項 略)

 法第42条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~三十四 (各号は略すが、クレーン、移動式クレーン又はデリックの傾斜角指示装置は、定められていない)

4及び5 (略)