労働安全コンサルタント試験 2023年 産業安全関係法令 問05

掘削作業等における労働災害の防止




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2023年度(令和05年度) 問05 難易度 掘削作業に関するかなり詳細な知識問題である。知識だけで解くことは困難であろう。
掘削作業等

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問5 掘削作業等における労働災害を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、定められていないものはどれか。

(1)ずい道等の掘削の作業を行うときは、落盤、出水、ガス爆発等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該掘削に係る地山の形状、地質及び地層の状態をボーリングその他適当な方法により調査し、その結果を保存してかなければならない。

(2)明り掘削を行う場合において、地山の崩壊又は土石の落下により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、あらかじめ、土止め支保工を設け、又は防護網を張るとともに、監視人を置き、当該掘削場所及びその周囲の状況を監視させなければならない。

(3)明り掘削を行う場合において、掘削機械、積込機械及び運搬機械の使用によるガス導管、地中電線路その他地下に存する工作物の損壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、これらの機械を使用してはならない。

(4)土石流危険河川において建設工事の作業を行うときは、土石流が発生したときに備えるため、関係労働者に対し、工事開始後遅滞なく1回、及びその後6か月以内ごとに1回、避難の訓続を行わなければならない。

(5)土石流危険河川において建設工事の作業を行うときは、作業開始時にあっては当該作業開始前24時間における降雨量を、作業開始後にあっては1時間ごとの降雨量を、それぞれ雨量計による測定その他の方法により把握し、かつ、記録しておかなければならない。

正答(2)

【解説】

問5試験結果

試験解答状況
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(1)定められている。安衛則第379条はずい道等の掘削の作業を行うときは、落盤、出水、ガス爆発等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該掘削に係る地山の形状、地質及び地層の状態をボーリングその他適当な方法により調査し、その結果を保存してかなければならないとしている。

【労働安全衛生規則】

(調査及び記録)

第379条 事業者は、ずい道等の掘削の作業を行うときは、落盤、出水、ガス爆発等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該掘削に係る地山の形状、地質及び地層の状態をボーリングその他適当な方法により調査し、その結果を記録しておかなければならない。

(2)定められていない。安衛則第361条は、事業者は、明り掘削の作業を行なう場合において、地山の崩壊又は土石の落下により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、あらかじめ、土止め支保工を設け、防護網を張り、労働者の立入りを禁止する等当該危険を防止するための措置を講じなければならないとしている。

監視人を置き、当該掘削場所及びその周囲の状況を監視させたとしても、地山の崩壊又は土石の落下が起きたときに、災害防止の役に立つことなどあり得ない。

【労働安全衛生規則】

(地山の崩壊等による危険の防止)

第361条 事業者は、明り掘削の作業を行なう場合において、地山の崩壊又は土石の落下により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、あらかじめ、土止め支保工を設け、防護網を張り、労働者の立入りを禁止する等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。

(3)定められている。安衛則第363条は、明り掘削を行う場合において、掘削機械、積込機械及び運搬機械の使用によるガス導管、地中電線路その他地下に存する工作物の損壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、これらの機械を使用してはならないとしている。

【労働安全衛生規則】

(掘削機械等の使用禁止)

第363条 事業者は、明り掘削の作業を行なう場合において、掘削機械、積込機械及び運搬機械の使用によるガス導管、地中電線路その他地下に存する工作物の損壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、これらの機械を使用してはならない。

(4)定められている。安衛則第575条の16は、土石流危険河川において建設工事の作業を行うときは、土石流が発生したときに備えるため、関係労働者に対し、工事開始後遅滞なく1回、及びその後6か月以内ごとに1回、避難の訓続を行わなければならないとしている。

【労働安全衛生規則】

(避難の訓練)

第575条の16 事業者は、土石流危険河川において建設工事の作業を行うときは、土石流が発生したときに備えるため、関係労働者に対し、工事開始後遅滞なく一回、及びその後六月以内ごとに一回、避難の訓練を行わなければならない。

 (略)

(5)定められている。安衛則第575条の11は、土石流危険河川において建設工事の作業を行うときは、作業開始時にあっては当該作業開始前24時間における降雨量を、作業開始後にあっては1時間ごとの降雨量を、それぞれ雨量計による測定その他の方法により把握し、かつ、記録しておかなければならないとしている。

【労働安全衛生規則】

(把握及び記録)

第575条の11 事業者は、土石流危険河川において建設工事の作業を行うときは、作業開始時にあつては当該作業開始前二十四時間における降雨量を、作業開始後にあつては一時間ごとの降雨量を、それぞれ雨量計による測定その他の方法により把握し、かつ、記録しておかなければならない。

2023年12月07日執筆