移動式クレーンと玉掛けに関する規定

問６　クレーン等に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

（１）積載形トラッククレーンの安定度は荷台の積荷によって変化し、積荷がないときに最も小さくなる。

（２）移動式クレーンの油圧回路では、配管連結部の外れや油圧ホースの破損による油圧低下により、つり荷やジブが落下したり、機体が傾いたりしないように、逆止め弁が回路に設けられている。

（３）移動式クレーンの油圧回路では、設定圧以上になると安全弁が開いて作動油をタンクに戻し、過圧を防止する。

（４）巻過防正装置は、巻上げ用ワイヤロープを巻き過ぎると自動停止する装置で、ワイヤロープの巻過ぎによるワイヤロープの切断を防止する。

（５）玉掛け作業において、玉掛用ワイヤロープ２本で４点つりを行う場合、つり角度は、隣接するワイヤロープのなす角のうち、大きい方をいう。

正答（５）

【解説】

（１）適切である。荷が荷台にあった方が、倒れにくくなることは当然であろう。なお、空車時定格総荷重は、トラックの荷台に積み荷がない状態に基づいて決められている。

（２）適切である。逆止弁（チェック弁）は、作動油を一方向には自由に通過させるが、逆方向には通過させない弁である。

シリンダに圧力をかけて作動させているとき、配管連結部の外れや油圧ホースが破損していきなり圧力がゼロになったとしても、シリンダと破損部の間に逆止め弁があれば作動油は逆方向に抜けないので、シリンダが停止するだけである。

（３）適切である。安全弁（リリーフ弁）の役割である。クレーン等安全規則等でいう安全弁はこれを指す。

図の入り口側が油圧回路に接続されており、圧力がバネの力よりも増加すると、スプールが図の右側に移動して作動油がタンクへ排出される。これによって圧力が下がるとバネの力でスプールが左側へ戻って、それ以上の作動油のタンクへの戻りを停止する。

安全弁の作動する圧力は、調整ネジによってバネの力を調節することによって行う。

※１　厚生労働省「小型移動式クレーン運転技能講習＝補助テキスト」（技能講習補助教材）

（４）適切である。巻上げ用ワイヤロープを巻き上げたり、ジブを伸ばしたりすると、フックブロックが上昇する。フックが上端に達してジブ上端のトップシーブに激突すると、フックブロックやトップシーブなどが破損するおそれがある。さらに巻上げると、巻上用ワイヤロープが切断してフックブロックややつり荷の落下事故を起こすおそれがある。

このような事故を防止するために、フックブロックがジブ上端に近づくと、リミットスイッチを作動させて巻き上げを停止する仕組みが「巻過防止装置」である。

※２　厚生労働省「小型移動式クレーン運転技能講習＝補助テキスト」（技能講習補助教材）

（５）適切ではない。玉掛け作業において、玉掛用ワイヤロープ２本で４点つりを行う場合、つり角度は、対角するワイヤロープのなす角のうち、大きい方をいう。

図は、厚生労働省の外国人労働者用補助テキスト^（※３）からの引用であるが、図中のａが吊り角度に該当する。

※３　厚生労働省「小型移動式クレーン運転技能講習＝補助テキスト」（技能講習補助教材）

2023年12月23日執筆