労働安全コンサルタント試験 2023年 産業安全一般 問05

ディペンダビリティ(総合信頼性)用語




問題文
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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2023年度(令和05年度) 問05 難易度 総合信頼性に関する用語の問題。過去に類問がないせいか正当率は低いが、日本語として正答可能であろう。
信頼性理論

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問5 JIS Z 8115「ディペンダビリティ(総合信頼性)用語」における動作と保全との時間関係に関する次の文中の A  D に入る語句の組合せとして、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。

アップ時間とはアイテムが要求どおりに遂行できる状態(アップ状態)にある期間である。

アップ時間は A 時間と B 時間からなる。

 A 時間には動作時間と非動作時間がある。

 A 時間における非動作時間には、要求があつて待機している C 時間と要求がない D 時間に分けられる。

(1) アイドル 動作可能 待機 動作不能
(2) 待機 動作不能 動作可能 アイドル
(3) 待機 アイドル 動作可能 外的動作不能
(4) 動作可能 動作不能 待機 アイドル
(5) 動作可能 外的動作不能 アイドル 待機

正答(4)

【解説】

問5試験結果

試験解答状況
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JIS Z 8115 の中に「アップ時間の中にも動作可能時間と動作不能時間とがあり,動作可能時間にも動作していない非動作時間があり,その中にも要求があって待機している待機時間と要求がないアイドル時間とがある」との記述がある。

従って、A:動作可能、B:動作不能、C:待機、D:アイドル となる。

しかし、ほとんどの受験者は、JIS のこの規定を知らないだろう。それを前提として問題文を読むと、「アップ時間とはアイテムが要求どおりに遂行できる状態(アップ状態)にある期間である」とされているので、アップ状態とは動作可能な「動ける」状態であることが分かる。そして、文章から分かるように、問題文の全体がアップ時間の内訳に関するものなのである。

そうなると、選択肢の中に「動作不能時間」が含まれるというのはおかしいのではないかと感じるだろう(※)

※ 実際は、この動作不能時間は外的動作不能時間(外部的な要因で動作ができない時間)であって、アイテムそのものは動作可能なのである。ちなみにアップ時間の反対語はダウン時間であるが、ダウン時間は動作不能時間のみであり、予防保全時間、事後保全時間、フォールト検出時間及び管理遅延時間からなり、アイテムそのものが動作不能なのである。

しかし、すべての肢に「動作不能」又は「外的動作不能」が含まれるのである。そこで、このおかしな肢がどこに入らないかを考えてみよう。まず、Aに動作不能時間が含まれる肢はないので、B、C又はDのいずれかに入ることは間違いない。しかし、Cは「要求があつて待機している」というのであるから動作は可能なのであろう。また、Dは「要求がない」のであるから動けないわけではないだろう。そうなると、説明のないBに入りそうである。

そこまで検討した時点で、(2)(4)(5)のいずれかが正答となりそうである。一方、Cは問題文にあるように「待機」しているのであるから「待機」が入るのが自然であろう。また、Dは要求がないので動作していないのであるから、負荷がかかっていない「アイドル」が入りそうである。

そうなると、Aに動作可能、Bに動作不能が入る(4)が正答になるのではないかと予想することができる。なお、Bは外的動作不能であっても意味からは誤りではない。

2023年12月23日執筆