問25 厚生労働省の労働災害統計(平成31年/令和元年)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)製造業、建設業、陸上貨物運送事業及び商業のうち、休業4日以上の死傷者数が最も多い業種は建設業である。
(2)労働災害発生状況の指標である強度率の算出において、死亡の延べ労働損失日数は7,500日として計算する。
(3)全産業の休業4日以上の死傷者数を事業場規模別にみると、労働者数300人以上の事業場の占める割合は全体の2割を超えていない。
(4)全産業の休業4日以上の死傷者数を事故の型別でみると、転倒が最も多く、次いで墜落・転落である。
(5)全産業の休業4日以上の死傷者数を年齢階層別(19歳以下、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上)にみると、60歳以上が最も多い。
このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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2021年度(令和03年度) | 問25 | 難易度 | 労働災害統計は毎年出題され、本年はごく初歩的な問題である。正答できなければならない。 |
---|---|---|---|
労働災害統計 | 2 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問25 厚生労働省の労働災害統計(平成31年/令和元年)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)製造業、建設業、陸上貨物運送事業及び商業のうち、休業4日以上の死傷者数が最も多い業種は建設業である。
(2)労働災害発生状況の指標である強度率の算出において、死亡の延べ労働損失日数は7,500日として計算する。
(3)全産業の休業4日以上の死傷者数を事業場規模別にみると、労働者数300人以上の事業場の占める割合は全体の2割を超えていない。
(4)全産業の休業4日以上の死傷者数を事故の型別でみると、転倒が最も多く、次いで墜落・転落である。
(5)全産業の休業4日以上の死傷者数を年齢階層別(19歳以下、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上)にみると、60歳以上が最も多い。
正答(1)
【解説】
労働災害統計に関しては、本サイトの「労働災害の発生状況の推移」で基本的なところは押さえておいて欲しい。この「労働災害の発生状況の推移」は、一般の事業場の安全衛生活動に役立つことはもちろんであるが、労働安全衛生コンサルタント試験の災害統計の問題に対応するという観点からまとめてある。
なお、本年は死亡者数については問われていないが、死亡災害についても押さえておくことが必要である。
(1)誤り。厚生労働省の労働災害統計は、業種分類が2種類公表されている。「陸上貨物運送業」という業種区分はそのうちの一方にしか存在していない。
右図は「陸上貨物運送事業」の業種分類がある方の統計をグラフ化したものである。これをみれば分かるように、本肢の4業種のうち、休業4日以上の死傷災害が最も多いのは製造業である。
(2)正しい。労働災害発生状況の指標である強度率の計算式は以下による。
強度率= | 延べ労働損失日数 | ×1,000 |
延べ実労働時間数 |
そして、労働損失日数は労働災害により労働不能となった日数をいうが、次の基準により算出する。
状況 | 算定基準 | |
---|---|---|
ア | 死亡 | 7,500日 |
イ | 永久全労働不能 | 表2の身体障害等級第1級~第3級の日数(7,500日) |
ウ | 永久一部労働不能 | 表2の身体障害等級第4級~第14級の日数(級に応じて50~5,500日) |
エ | 一時労働不能 | 所定休日も含めた暦日数の延べ休業日数に 300/365(うるう年は 300/366 )を乗じた日数 |
身体障害等級(級) | 1~3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|
労働損失日数(日) | 7,500 | 5,500 | 4,000 | 3,000 | 2,200 | 1,500 |
身体障害等級(級) | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
---|---|---|---|---|---|---|
労働損失日数(日) | 1,000 | 600 | 400 | 200 | 100 | 50 |
労働損失日数の算出において、死亡災害の延べ労働損失日数は7,500日として計算する。これは、週休1日制で、定年が50歳だったときに作られた基準である。1年を300日として計算し、25歳のときに事故に遭ったと考えている訳だが、統計の連続性の必要性から、週休2日制が普通になり定年が70歳になった今もそのままにしている。
(3)正しい。右図に示すように、全産業の休業4日以上の死傷者数を事業場規模別にみると、労働者数300人以上の事業場の占める割合は全体の2割を超えていない。
(4)正しい。全産業の休業4日以上の死傷者数を事故の型別でみると、転倒が最も多く、次いで墜落・転落である。
かつては、労働災害の型別で多いものは「はさまれ・巻き込まれ」、「墜落・転落」、「飛来・落下」、「切れ・こすれ」であったが、これらの災害は対策が進んだこともあり、大きく減少した。
最近では、高齢化の影響もあり、「転倒」、「動作の反動・無理な動作」が増加し、「墜落・転落」もやや増加傾向に転じている。
(5)正しい。全産業の休業4日以上の死傷者数を年齢階層別(19歳以下、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上)にみると、60歳以上が最も多い。