問7 化学設備に関する次のイ~ホの記述について、労働安全衛生法令上、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ 事業者は、化学設備を使用して作業を行うときは、爆発又は火災を防止するため必要な規程を定め、これにより作業を行わせなければならない。
ロ 特殊化学設備とは、化学設備のうち、取り扱う危険物の量が厚生労働省令で定める量を超えるものをいう。
ハ 事業者は、化学設備(配管を除く。)を内部に設ける建築物の壁、柱、床、はり、屋根、階段等のうち当該化学設備に近接する部分については、腐食しにくい材料で造り、防食塗料を塗布する等の措置を講じなければならない。
ニ 事業者は、特殊化学設備については、異常な事態の発生による爆発又は火災を防止するため、原材料の送給をしゃ断し、又は製品等を放出するための装置、不活性ガス、冷却用水等を送給するための装置等当該事態に対処するための装置を設けなければならない。
ホ 事業者は、特殊化学設備に使用する動力源については、動力源の異常による爆発又は火災を防止するための直ちに使用することができる予備動力源を備えなければならない。
(1)イ ニ
(2)イ ホ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ホ
このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2020年度(令和02年度) | 問07 | 難易度 | 化学設備に関する詳細な内容の出題である。組合せ問であることから、正答は可能なレベルである。 |
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化学設備に関する規制 | 5 |
問7 化学設備に関する次のイ~ホの記述について、労働安全衛生法令上、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ 事業者は、化学設備を使用して作業を行うときは、爆発又は火災を防止するため必要な規程を定め、これにより作業を行わせなければならない。
ロ 特殊化学設備とは、化学設備のうち、取り扱う危険物の量が厚生労働省令で定める量を超えるものをいう。
ハ 事業者は、化学設備(配管を除く。)を内部に設ける建築物の壁、柱、床、はり、屋根、階段等のうち当該化学設備に近接する部分については、腐食しにくい材料で造り、防食塗料を塗布する等の措置を講じなければならない。
ニ 事業者は、特殊化学設備については、異常な事態の発生による爆発又は火災を防止するため、原材料の送給をしゃ断し、又は製品等を放出するための装置、不活性ガス、冷却用水等を送給するための装置等当該事態に対処するための装置を設けなければならない。
ホ 事業者は、特殊化学設備に使用する動力源については、動力源の異常による爆発又は火災を防止するための直ちに使用することができる予備動力源を備えなければならない。
(1)イ ニ
(2)イ ホ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ホ
正答(3)
【解説】
イ 正しい。安衛則第 274 条により、事業者は、化学設備を使用して作業を行うときは、爆発又は火災を防止するため必要な規程を定め、これにより作業を行わせなければならない。
本肢の内容は労働災害防止に役立つものである。仮に本肢のような規定が法令に定めてなかったとした場合、本肢のような問題を厚労省の関連資格試験で出題するわけがないだろう。
【労働安全衛生規則】
(作業規程)
第274条 事業者は、化学設備又はその附属設備を使用して作業を行うときは、これらの設備に関し、次の事項について、爆発又は火災を防止するため必要な規程を定め、これにより作業を行わせなければならない。
一~九 (略)
ロ 誤り。特殊化学設備の定義は、安衛則第4条第1項(第三号)に示されているが、化学設備のうち、発熱反応が行われる反応器等異常化学反応又はこれに類する異常な事態により爆発、火災等を生ずるおそれのあるもの(配管を除く)をいうとされている。
この規定を知らなかった場合、「取り扱う危険物の量が厚生労働省令で定める量を超えるもの」なら、それより小さなものに「小型」と付けるのが自然だろう。取扱量が多いからと言って「特殊」という名称を付けるのは不自然であろう。
【労働安全衛生規則】
(安全管理者の選任)
第4条 (柱書略)
一及び二 (略)
三 化学設備(労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)第九条の三第一号に掲げる化学設備をいう。以下同じ。)のうち、発熱反応が行われる反応器等異常化学反応又はこれに類する異常な事態により爆発、火災等を生ずるおそれのあるもの(配管を除く。以下「特殊化学設備」という。)を設置する事業場であつて、当該事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)が指定するもの(以下「指定事業場」という。)にあつては、当該都道府県労働局長が指定する生産施設の単位について、操業中、常時、法第十条第一項各号の業務のうち安全に係る技術的事項を管理するのに必要な数の安全管理者を選任すること。
四 (略)
2 (略)
ハ 誤り。安衛則第268条によれば、化学設備(配管を除く。)を内部に設ける建築物の壁、柱、床、はり、屋根、階段等のうち当該化学設備に近接する部分については、不燃性の材料で造らなければならないとされている。腐食しにくい材料で造り、防食塗料を塗布する等の措置を講じなければならないとまではされていない。
なお、化学設備(バルブ又はコックを除く。)のうち危険物又は引火点が65℃以上の物(以下「危険物等」という。)が接触する部分については、腐食しにくい材料で造り、内張りを施す等の措置を講じなければならないとされている。
【労働安全衛生規則】
(化学設備を設ける建築物)
第268条 事業者は、化学設備(配管を除く。)を内部に設ける建築物については、当該建築物の壁、柱、床、はり、屋根、階段等(当該化学設備に近接する部分に限る。)を不燃性の材料で造らなければならない。
(腐食防止)
第269条 事業者は、化学設備(バルブ又はコックを除く。)のうち危険物又は引火点が六十五度以上の物(以下「危険物等」という。)が接触する部分については、当該危険物等による当該部分の著しい腐食による爆発又は火災を防止するため、当該危険物等の種類、温度、濃度等に応じ、腐食しにくい材料で造り、内張りを施す等の措置を講じなければならない。
ニ 正しい。事業者は、特殊化学設備については、異常な事態の発生による爆発又は火災を防止するため、原材料の送給をしゃ断し、又は製品等を放出するための装置、不活性ガス、冷却用水等を送給するための装置等当該事態に対処するための装置を設けなければならない。
【労働安全衛生規則】
(緊急しや断装置の設置等)
第273条の4 事業者は、特殊化学設備については、異常な事態の発生による爆発又は火災を防止するため、原材料の送給をしや断し、又は製品等を放出するための装置、不活性ガス、冷却用水等を送給するための装置等当該事態に対処するための装置を設けなければならない。
2 (略)
ホ 正しい。安衛則第273条の5第1項(第一号)により、特殊化学設備に使用する動力源については、動力源の異常による爆発又は火災を防止するための直ちに使用することができる予備動力源を備えなければならない。
【労働安全衛生規則】
(予備動力源等)
第273条の5 事業者は、特殊化学設備、特殊化学設備の配管又は特殊化学設備の附属設備に使用する動力源については、次に定めるところによらなければならない。
一 動力源の異常による爆発又は火災を防止するための直ちに使用することができる予備動力源を備えること。
二 (略)
2 (略)