労働安全コンサルタント試験 2020年 産業安全一般 問13

非定常作業における安全確保




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合格

 このページは、2020年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和02年度) 問13 難易度 非定常作業における安全についてのごく基本的な考え方を問う問題。正答できなければならない。
非定常作業の安全確保

問13 修理・点検などの非定常作業における安全確保に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)トラブル処理の作業は、十分な時間的な余裕がなく行われることが多いため、設備及び管理面の事前の検討を十分に行う。

(2)非定常作業には、操業トラブル、突発的な保全整備、定期的な保全整備等の類型があるため、それぞれに応じた作業手順書等を作成する。

(3)化学設備の定期修理の非定常作業で設備内部に請負人を立ち入らせる場合には、作業開始前に作業に伴う危険性や注意事項等の情報を請負人に提供する。

(4)非定常作業は、事業場の複数の部門(製造部門、保全部門等)にわたって、輻輳して行われることが多く、事前の連絡調整が不十分で作業分担や作業指示が不明確になりやすい。

(5)異常処置作業を実施していく中で、当初定めた作業手順と異なる状況が発生した場合には、作業者の判断で作業手順を見直し、周囲の作業者に周知した上で、作業を続ける。

正答(5)

【解説】

非定常作業に関する厚生労働省が定めたガイドラインは、平成8年6月10日付け基発第364号「化学設備の非定常作業における労働災害防止のためのガイドライン(以下、本問の解説中において「化学設備ガイドライン」という。)」、平成9年3月24日基発第190号「鉄鋼生産設備の非定常作業における安全衛生対策のためのガイドライン」及び平成9年12月22日基発第765号「自動生産システムの非定常作業における安全対策のためのガイドライン(以下、本問の解説中において「自動生産システムガイドライン」という。)」の3つがある。

本問は、これらのガイドラインとはあまり関係はなく、常識的で解答すれば正答できる。ただ、これらのガイドラインは試験までに、(あまり時間をかける必要はないが)ざっと目を通しておいた方が良いかもしれない。

(1)適切である。自動生産システムガイドラインによれば「非定常作業については(中略)十分な時間的余裕なく行われることが多いため、設備及び管理面の事前の検討が十分行われないこと(中略)等により災害につながることが多いことによるものと考えられる」とされている。

ガイドラインに記されていることを逆に表現しているだけである。「事前の」という表現が、「トラブル発生後に処理作業の前に」というのか、「トラブル発生の前に」というのかによって、ややニュアンスは異なるが、事前の十分な検討を行うことが不適切なわけがないだろう。

(2)適切である。上記ガイドラインには本肢のような表現はないが、自動生産システムガイドラインには、作業手順書の作成に当たっては「あらかじめ想定される故障、作業の実態、災害事例等をもとに、対象となる異常処理作業の調査及び選定を行う」とされている。

本肢は、「操業トラブル、突発的な保全整備、定期的な保全整備等の類型がある」と例示してはいるが、「それぞれに応じた作業手順書等を作成する」としているのであり、不適切なわけがない。

(3)適切である。化学設備ガイドラインにはこのような表現はないが、本肢には不適切とする余地がない。

(4)適切である。上記ガイドラインには本肢のような表現はないが、非定常作業において、事業場の複数の部門にわたって、輻輳して行われることがあり、事前の連絡調整が不十分で作業分担や作業指示が不明確になりやすいことは、しばしばみられることである。

(5)適切ではない。予想外の異常事態が発生した場合には、安全のためにやむを得ない場合を除き、作業者の判断で作業手順を見直してはならない。安全上の問題がなければ、いったん、作業を中止するべきである。

2020年11月21日執筆