労働安全コンサルタント試験 2019年 産業安全関係法令 問09

ボイラと労働安全衛生法




問題文
トップ
合格

 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2019年度(令和元年度) 問09 難易度 かなり専門的な内容についての問いである。かなりの難問と言える。
ボイラ災害の防止

問9 特定機械等であるボイラーに関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)ボイラーを製造しようとする者は、製造しようとするボイラーについて、あらかじめ、所轄都道府県労働局長の許可を受けなければならない。ただし、既に当該許可を受けているボイラーと型式が同一であるボイラーについては、この限りでない。

(2)事業者は、ボイラー室には、2以上の出入口を設けなければならない。ただし、ボイラーを取り扱う労働者が緊急の場合に避難するのに支障がないボイラー室については、この限りでない。

(3)ボイラーについて附属設備に変更を加えた者は、当該ボイラーについて所轄労働基準監督署長の変更検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長が当該検査の必要がないと認めたボイラーについては、この限りでない。

(4)事業者は、煙突からの排ガスの排出状況を観測するための窓をボイラー室に設置する等ボイラー取扱作業主任者が燃焼が正常に行われていることを容易に監視することができる措置を講じなければならない。

(5)事業者は、ボイラーの点火を行うときは、ダンパーの調子を点検し、燃焼室及び煙道の内部を十分に換気した後でなければ、点火を行ってはならない。ただし、ボイラーの運転の状態に係る異常があった場合に当該ボイラーを安全に停止させることができる機能その他の機能を有する自動制御装置であって厚生労働大臣の定める技術上の指針に適合していると所轄労働基準監督署長が認定したものを備えたボイラーについては、この限りでない。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。ボイラー則第3条第1項の通りである。

【労働安全衛生法】

(製造の許可)

第37条 特に危険な作業を必要とする機械等として別表第一に掲げるもので、政令で定めるもの(以下「特定機械等」という。)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。

 (略)

 別表第1 (第三十七条関係)

 ボイラー

二~八 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(特定機械等)

第12条 法第三十七条第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

 ボイラー(小型ボイラー並びに船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)の適用を受けるものを除く。)

二~八 (略)

 (略)

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(製造許可)

第3条 ボイラーを製造しようとする者は、製造しようとするボイラーについて、あらかじめ、その事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)の許可を受けなければならない。ただし、既に当該許可を受けているボイラーと型式が同一であるボイラー(以下「許可型式ボイラー」という。)については、この限りでない。

 (略)

(2)正しい。ボイラー則第19条の通りである。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(ボイラー室の出入口)

第19条 事業者は、ボイラー室には、二以上の出入口を設けなければならない。ただし、ボイラーを取り扱う労働者が緊急の場合に避難するのに支障がないボイラー室については、この限りでない。

(3)正しい。ボイラー則第42条の通りである。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(変更届)

第41条 事業者は、ボイラーについて、次の各号のいずれかに掲げる部分又は設備を変更しようとするときは、法第八十八条第一項の規定により、ボイラー変更届(様式第二十号)にボイラー検査証及びその変更の内容を示す書面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 (略)

 附属設備

三及び四 (略)

(変更検査)

第42条 ボイラーについて前条各号のいずれかに掲げる部分又は設備に変更を加えた者は、法第三十八条第三項の規定により、当該ボイラーについて所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長が当該検査の必要がないと認めたボイラーについては、この限りでない。

2及び3 (略)

(4)正しい。ボイラー則第22条の通りである。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(ボイラーの排ガスの監視措置)

第22条 事業者は、煙突からの排ガスの排出状況を観測するための窓をボイラー室に設置する等ボイラー取扱作業主任者が燃焼が正常に行なわれていることを容易に監視することができる措置を講じなければならない。

(5)誤り。ボイラー則第30条には、本肢の但し書きのような規定は設けられていない。

燃焼室、煙道、煙突の内部に燃料ガス(未燃ガス)が残っていると爆発するおそれがあるので、点火の前に必ず内部を換気する。爆発すればそれで終わりであるから換気はしなければならない。

換気はそれほど手間がかかるわけではない。「ボイラーの運転の状態に係る異常があった場合に当該ボイラーを安全に停止させることができる機能その他の機能を有する自動制御装置」を備える方がよほど費用がかかるであろう。また、爆発してしまえばそれで終わりである。爆発してから運転を止めてどうするというのだ。

なお、ダンパとは煙道(ボイラ本体の燃焼室と煙突をつなぐダクト)内にある、煙道を開閉する装置である。運転開始前に全開にする必要がある。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(点火)

第30条 事業者は、ボイラーの点火を行なうときは、ダンパーの調子を点検し、燃焼室及び煙道の内部を十分に換気した後でなければ、点火を行なつてはならない。

 (略)

2019年12月15日執筆