労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全関係法令 問04

車両系荷役運搬機械等及び荷役作業




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問04 難易度 やや高度な知識問題のように見えるが、カンとコツで正答できる。落としてはならない問題である。
労働安全衛生管理体制

問4 両系荷役運搬機械等及び荷役作業による労働災害を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、フォーク、ショベル等の荷役装置(テールゲートリフターを除く。)を最低降下位置に置かせるとともに、原則として、原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講じさせなければならない。

(2)最大積載量が2トン以上の貨物自動車に荷を積む作業を行うときは、当該作業に従事する労働者が床面と荷台との間及び床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない。

(3)揚貨装置を用いた作業を行うときは、荷及びその周囲を監視する者を置いたときを除き、揚貨装置の運転者を荷をつったまま作業位置から離れさせてはならない。

(4)一つの荷でその重量が100キログラム以上のものを積んだ貨物自動車のロープ解きの作業及びシート外しの作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に、荷台上の荷の落下の危険がないことを確認した後に当該作業の着手を指示するようにさせなければならない。

(5)はいの上で作業を行う場合において、作業箇所の高さが床面から1.5メートルをこえるときは、当該はいを構成する荷によって安全に昇降できる場合を除き、当該作業に従事する労働者が床面と当該作業箇所との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない。

※ 本問は、その後の省令改正に合わせて一部修正した。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。安衛則第 151 条の 11 第1項の規定により正しい。

※ 本肢は出題当時は「(1)車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、フォーク、ショベル等の荷役装置を最低降下位置に置かせるとともに、原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講じさせなければならない」となっており正しい肢であった。その後、安衛則が改正されたため、問題文を一部修正している。

【労働安全衛生規則】

(運転位置から離れる場合の措置)

第151条の11 事業者は、車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に次の措置を講じさせなければならない。ただし、走行のための運転位置と作業装置の運転のための運転位置が異なる貨物自動車を運転する場合であつて、労働者が作業装置の運転のための運転位置において作業装置を運転し、又は運転しようとしている場合は、この限りでない。

 フォーク、ショベル等の荷役装置(テールゲートリフターを除く。)を最低降下位置に置くこと。

 原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講ずること。

2~4 (略)

※ 安衛則第 151 条の 11 は、本問出題当時は以下のようになっていた。2023年10月1日施行の荷役作業関連の改正により現在は上記のようになっている。

(運転位置から離れる場合の措置)

第151条の11 事業者は、車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に次の措置を講じさせなければならない。

 フオーク、シヨベル等の荷役装置を最低降下位置に置くこと。

 原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講ずること。

 (略)

(2)正しい。安衛則第 151 条の 67 は、次のように定める。なお、同旨の規定は、最大積載量が5トン以上の不整地運搬車についても定められている。

本肢は、出題当時は「(2)最大積載量が5トン以上の貨物自動車に荷を積む作業又は最大積載量が5トン以上の貨物自動車から荷を卸す作業を行うときは、当該作業に従事する労働者が床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない」とされていた。

そして、これは当時の安衛則第 151 条の 67 に適合していた。

【労働安全衛生規則】

(昇降設備)

第151条の67 事業者は、最大積載量が2トン以上の貨物自動車に荷を積む作業(ロープ掛けの作業及びシート掛けの作業を含む。)又は最大積載量が2トン以上の貨物自動車から荷を卸す作業(ロープ解きの作業及びシート外しの作業を含む。)を行うときは、墜落による労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者が床面と荷台との間及び床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない。

 (略)

安衛則第 151 条の 67 は、本問出題当時は以下のようになっていた。2023年10月1日施行の荷役作業関連の改正により現在は上記のようになっている。

(昇降設備)

第151条の67 事業者は、最大積載量が5トン以上の貨物自動車に荷を積む作業(ロープ掛けの作業及びシート掛けの作業を含む。)又は最大積載量が5トン以上の貨物自動車から荷を卸す作業(ロープ解きの作業及びシート外しの作業を含む。)を行うときは、墜落による労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者が床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない。

 (略)

(3)誤り。安衛則第 468 条第1項の規定により、荷及びその周囲を監視する者を置いたときを含めて、本肢の行為は安衛法違反となる。作業位置からの離脱の禁止に例外規定はない。

そもそも、荷をつっているときに離脱する必要が出たとしても、荷を降ろせば済むことであり、わざわざ監視する者を置かせてまで例外規定を設ける必要性はないだろう。

【労働安全衛生規則】

(作業位置からの離脱の禁止)

第468条 事業者は、揚貨装置の運転者を荷をつったまま作業位置から離れさせてはならない。

 (略)

(4)正しい。安衛則第 151 条の 70 の規定により正しい。

【労働安全衛生規則】

(積卸し)

第151条の70 事業者は、一の荷でその重量が100キログラム以上のものを貨物自動車に積む作業(ロープ掛けの作業及びシート掛けの作業を含む。)又は貨物自動車から卸す作業(ロープ解きの作業及びシート外しの作業を含む。)を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に次の事項を行わせなければならない。

一~三 (略)

 ロープ解きの作業及びシート外しの作業を行うときは、荷台上の荷の落下の危険がないことを確認した後に当該作業の着手を指示すること。

 (略)

(5)正しい。安衛則第 427 条第1項の規定により正しい。

【労働安全衛生規則】

(はいの昇降設備)

第427条 事業者は、はい(倉庫、上屋又は土場に積み重ねられた荷(小麦、大豆、鉱石等のばら物の荷を除く。)の集団をいう。以下同じ。)の上で作業を行なう場合において、作業箇所の高さが床面から1.5メートルをこえるときは、当該作業に従事する労働者が床面と当該作業箇所との間を安全に昇降するための設備を設けなければならない。ただし、当該はいを構成する荷によって安全に昇降できる場合は、この限りでない。

 (略)

2018年10月28日執筆 2024年11月20日法令改正への対応のため改訂