労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全一般 問18

個人用保護具




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問18 難易度 個人用保護具に関するごく初歩的な問題である。これが正答できないようでは合格は覚束ない。
個人用保護具

問18 保護具に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)墜落時保護用の保護帽と飛来・落下物用の保護帽の構造上の大きな違いは、衝撃吸収ライナーの有無である。

(2)飛来・落下物用の保護帽は、帽体及び着装体の一部が変形又は損傷することによって衝撃エネルギーを吸収するように製造されている。

(3)目の保護具には、グラインダー作業時などにおける飛来物に対して目を防護するための保護めがねや、溶接作業などにおける有害な光線から目を保護する遮光保護具などがある。

(4)保護帽の耐用年数は、熱硬化性樹脂(FRPなど)のものに比較して、熱可塑性樹脂(ABS、PC、PEなど)のものの方が長い。

(5)レーザー用の保護めがねは、フィルタの吸収波長バンド幅が比較的狭いので、保護しようとするレーザーの波長に合ったものを使う必要がある。

正答(4)

【解説】

(1)適切である。墜落時保護用の保護帽は帽体の内側に発泡スチロール製などの衝撃吸収ライナー(KP)が取り付けられている。本肢は正しい。

なお、コンサルタント試験に合格した後の実務で知っておくべきこととして、以下のことがある。

① 墜落時保護用の保護帽は、現実には飛来・落下用を兼ねる。

② 現場では墜落時保護用と飛来・落下用の区別がされておらず、高所作業においても飛来・落下用が用いられていることが多い。

③ 現場では保護帽の区別がついていないケースが多く、梱包材と間違えられて衝撃吸収ライナーが取り外されることさえある。

(2)適切である。保護帽は、帽体が硬いから頭部を守れるのではない。帽体が固ければ衝撃がそのまま頭部に伝わってしまう。ハンモックの伸び、衝撃吸収ライナーのつぶれ、帽体のゆがみや割れによって頭部を守るのである。

なお、帽体が歪んだ後で破壊されないと、ゆがみが復元するときに頸椎に損傷を与えることになる。そのためFRPの保護帽などは、衝撃を受けると帽体が割れるように設計されている。

(3)適切である。これは解説するまでもないだろう。

(4)適切でない。(一社)日本ヘルメット工業会(JHMA)は、保護帽の廃棄・交換規準について、ABS、PC、PE製(熱可塑性樹脂)については「異常が認められなくても3年以内」、FRP製(熱硬化性樹脂)については「異常が認められなくても5年以内」としている。

(5)適切である。レーザー保護めがねに使用されるレンズは、発振波長ごとに吸収性能(OD値)が定められている。そのため、例えば、アルゴンレーザー用保護めがねをYAGレーザー保護用に使用してはならない。

なお、溶接用の遮光レンズ・フィルタプレートは、紫外放射、可視光線及び赤外放射の透過率が遮光度番号毎に定められているが、レーザー光に使用することはできない。

2018年10月27日執筆 2020年02月11日修正