労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全一般 問15

各種検査に使用する物理量の検出手法




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 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問15 難易度 各種測定法に関するやや高度な知識問題である。確実に正答したい問題である。
各種物理量の検出手法

問15 各種検査に使用する物理量の検出手法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)抵抗線ひずみゲージは、引張りや圧縮による抵抗線の電気抵抗値の変化によりひずみを測定するものである。

(2)圧電素子は、ひずみ又は応力を加えると電荷が誘起され、逆に電圧を加えると、ひずみ又は応力が生じる性質を持つ素子で、力センサー、圧力センサーなどに用いられている。

(3)熱電対は、2種類の金属を一端で接合したとき、接合端と開端の間にある温度差によって生じる起電力を用いて、温度を測定するものである。

(4)放射温度計は、物体から放射される赤外線や可視光線の強度を測定して、物体の温度を測定するものである。

(5)測温抵抗体は、金属の電気抵抗率が温度に反比例して変わることを利用して温度を測定するものである。

正答(5)

【解説】

本問は、測定器についての知識がなくても、正答について見当を付けることができるだろう。(5)の文章についてだが、ある物理量が「温度」に反比例するとすれば、その「温度」は「絶対温度」でなければならない。ゼロ点を人為的に定めた「相対温度」に反比例する物理量があるわけがないからだ。ところが、(5)には「温度」としか書かれていない。もし(5)が正しいとすれば、欠陥問題となるだろう。出題者としてはそのような問題を出すはずがないので、(5)が誤りだとアタリをつけることができる。

(1)正しい。金属ひずみゲージは、薄い絶縁体に金属をジグザグ状に貼り付けたものである。これを被測定物に貼り付けておくと、被測定物が変形したとき、ゲージも同時に変形する。このときのわずかな電気抵抗の変化を測定して、これにより被測定物のひずみ量を測定するものである。

(2)正しい。圧電素子は、加えられた圧力を電圧に変換したり、逆に加えられた電圧を力に変換したりする素子である。その性質を利用して圧力センサーなどに用いられる。

(3)正しい。これは解説するまでもないだろう。2種類の金属線の両端をそれぞれ接続して、両端に温度差を加えると起電力が発生する。このゼーベック効果を利用した素子が熱電対である。温度の測定に用いられる。

(4)正しい。本肢のとおりである。

(5)誤り。金属の電気抵抗率は温度(絶対温度?)に反比例したりはしない。常温付近では、通常の金属の温度による抵抗の変化は、次のように表すことができる。

R=R0(1+α(T-T0))

ここで、Tは温度であり、T0及びR0は基準となる温度及びその温度における抵抗値である。すなわち温度が上昇すると抵抗値は増加する。

2018年10月27日執筆 2020年02月09日修正