労働安全コンサルタント試験 2017年 産業安全関係法令 問06

型枠支保工による労働災害の防止




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合格

 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問06 難易度 型枠支保工に関するかなり詳細な知識問題。建設工事業以外の受験生にはやや難問だっただろう。
型枠支保工

問6 型枠支保工による労働災害を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令に定められていないものはどれか。

(1)コンクリートの打設の作業を行うときは、作業中に型枠支保工に異常が認められた際における作業中止のための措置をあらかじめ講じておかなければならない。

(2)型枠支保工については、型枠の形状、コンクリートの打設の方法等に応じた堅固な構造のものでなければ、使用してはならない。

(3)型枠支保工を組み立てるときは、支柱、はり、つなぎ、筋かい等の部材の配置、接合の方法及び寸法が示されている組立図を作成し、かつ、当該組立図により組み立てなければならない。

(4)高さ2メートル以上の型枠支保工の組立て、解体又は変更の作業を行うときは、組立て、解体又は変更の時期、範囲及び順序を当該作業に従事する労働者に周知させなければならない。

(5)型枠支保工の組立て等作業主任者に、①作業の方法を決定し、作業を直接指揮すること、②材料の欠点の有無並びに器具及び工具を点検し、不良品を取り除くこと、③作業中、安全帯等及び保護帽の使用状況を監視することを行わせなければならない。

正答(4)

【解説】

(1)定められている。安衛則第401条第2号に、本肢の通りの条文がある。

【労働安全衛生規則】

(コンクリートの打設の作業)

第244条 事業者は、コンクリートの打設の作業を行なうときは、次に定めるところによらなければならない。

 (略)

 作業中に型わく支保工に異状が認められた際における作業中止のための措置をあらかじめ講じておくこと。

(2)定められている。安衛則第 239 条に、本肢の通りの条文がある。

【労働安全衛生規則】

(型わく支保工の構造)

第239条 事業者は、型わく支保工については、型わくの形状、コンクリートの打設の方法等に応じた堅固な構造のものでなければ、使用してはならない。

(3)定められている。安衛則第240条に、本肢の通りの条文がある。

【労働安全衛生規則】

(組立図)

第240条 事業者は、型わく支保工を組み立てるときは、組立図を作成し、かつ、当該組立図により組み立てなければならない。

 前項の組立図は、支柱、はり、つなぎ、筋かい等の部材の配置、接合の方法及び寸法が示されているものでなければならない。

 (略)

(4)定められていない。本肢の規定は、「つり足場、張出し足場又は高さが二メートル以上の構造の足場」や「作業構台」についてのものである。型枠支保工については、このような規定は定められていない。

なお、「受験テクニック」として、少なくとも以下のものは労働者に周知する必要があると覚えておくとよい。ただ、これ以外にも周知するべきものは多く、そのひとつが本文で示したものである。

① 法令等

② 法令で選任が義務付けられている各種の管理者や作業主任者の氏名

③ 法令で設置が義務付けられている委員会の議事の概要

④ リスクアセスメントの結果

⑤ 作業計画の内容

⑥ 作業主任者の選任や作業指揮者を定めることが義務づけられている場合の作業の内容

⑦ 信号装置の表示方法、合図、警報、標識など

(5)定められている。安衛則第247条に、この通りの条文がある。

【労働安全衛生規則】

(型枠支保工の組立て等作業主任者の職務)

第247条 事業者は、型枠支保工の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。

 作業の方法を決定し、作業を直接指揮すること。

 材料の欠点の有無並びに器具及び工具を点検し、不良品を取り除くこと。

 作業中、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること。

2018年10月28日執筆 2020年03月28日修正