労働安全コンサルタント試験 2017年 産業安全一般 問30

交通労働災害防止のためのガイドライン




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合格

 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問30 難易度 リスクアセスメントに関する実務に関する基本的な問題である。確実に正答できなければならない。
交通労働災害防止指針

問30 厚生労働省の「交通労働災害防止のためのガイドライン」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)深夜業を含む業務に従事する運転者に対しては、雇入れ時及び6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行う。

(2)道路上における自動車及び原動機付き自転車による交通労働災害の防止のみを対象としている。

(3)新規雇入れ運転者に対する雇入時教育においては、必要に応じて、安全運転の知識及び経験が豊富な運転者等が添乗することにより、実地に指導を行う。

(4)運転業務従事者に乗務を開始させる前の点呼については、運行上対面でできない場合には電話で行っても差し支えない。

(5)荷主及び運送業の元請事業者は、荷積み・荷卸し作業の遅延により到着時間の遅延が見込まれる場合には、実際に荷を運搬する事業者と協働して、到着時間の再設定などを行う。

正答(2)

【解説】

「交通労働災害防止のためのガイドライン」は、本問が出題された後の平成30年に改正されているが、本問の趣旨には影響はない。下記のリンク先は平成30年版である。

(1)適切である。安衛則第45条は「第13条第1項第3号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、第44条第1項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第4号の項目については、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りるものとする」とされている。そして、安衛則第13条第1項第3号に掲げる業務には「深夜業を含む業務」が含まれている。

本肢に「常時性」についての言及がないため、迷った受験生もいたようだが(2)が誤っているので、こちらは正しいということのようだ。

(2)適切ではない。「交通労働災害防止のためのガイドライン」は、道路上及び事業場構内における自動車及び原動機付き自転車の交通事故による労働災害を対象としている。道路上に限っているとしているところが誤りである。

「自動車及び原動機付き自転車」にとらわれて、道路上とされているところに気付かないと正答できない。

(3)同ガイドライン「第4 教育の実施等」の1の「(1)雇入れ時等の教育」には「雇入時教育及び作業内容変更時教育において、次に掲げる事項を含む教育を行うとともに、必要に応じて、安全運転の知 識及び経験が豊富な運転者等が添乗することにより、実地に指導を行うこと」とされている。

(4)適切である。同ガイドラインの「第3 適正な労働時間等の管理及び走行管理等」の3の「(1)点呼等の実施」には、「点呼は対面によるものとするが、運行上やむを得ない場合は電話その他の 方法で実施して差し支えないこと」とされている。

そもそも、運転業務従事者が事業場内にいないことはあり得ることであり、電話等で行わなければ点呼などできないであろう。

(5)適切である。同ガイドライン「第6 荷主・元請事業者による配慮等」の4には「到着時間の遅延が見込まれる場合、荷主・元請事業者は改善基準告示等を遵守した安全運行が確保されるよう到着時間の再設定、ルート変更等を行うこと」とされている。

2018年10月27日執筆 2020年04月11日修正

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