労働安全コンサルタント試験 2016年 産業安全一般 問13

作業手順書作成上の留意事項




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合格

 このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2016年度(平成28年度) 問13 難易度 作業手順書作成の留意事項に関する常識問題と言ってよい。正答できないわけがないようなレベル。
作業手順書の作成

問13 作業手順書に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)作業手順書は、熟達した作業者だけでなく、現場のすべての作業者が実行できるものとする。

(2)作業手順書は、写真やイラストなどを活用すると、見やすく、わかりやすくなる。

(3)作業手順書には、安全などに配慮した「急所」と、なぜそれを守らなければならないかの理由も記入する。

(4)作業手順書は、作業が正常に行われるときの順序に沿って書かれるものであることから、作業手順書に、発生が予想される異常事態に対処する手順を入れることは好ましくない。

(5)同種の作業の手順書であっても、各職場により安全条件の違いなどがあるので、他の職場のものをそのまま使用することは好ましくない。

正答(4)

【解説】

(1)適切である。本肢は当然のことを言っている。作業手順書は、作業者がそれをみて作業を行うものであるから、すべての作業者が実施できるように記する必要がある。

(2)適切である。本肢も当然のことであろう。文字だけで書かれた作業手順書では、正確に記されていたとしても、誤解されるおそれがあるばかりでなく、分かりにくいものである。写真やイラストを活用して、「見える化」することは望ましいことである。

(3)適切である。作業手順書には、作業の方法のみならず、その「理由」と「急所」を書くようにする。作業手順書作成の基本である。

(4)適切ではない。異常事態への対応は別に作成し、作業手順書には正常な状態のみを書くという方法はあり得るし、そのことが好ましくないということではない。

しかしながら、作業手順書は、作業が正常に行われるときの順序に沿って書くべきという法令や指導通達、公的なマニュアル類は存在しない。また、それが望ましくないという科学的な根拠も存在していない。異常事態が発生した場合に、連絡が取れる範囲に責任者や専門知識を有する者がいなければ、作業者のみで対応しなければならなくなることもあり得よう。本肢は「好ましくない」と断定しているところが不適切といえよう。

(5)適切である。実際の現場では、異なる職場で全く同じ作業を行うこともある。その際に作業手順書の作成に当たって他の職場のものを参考にしてはならないわけではない。しかしながら、その手順書の内容を確認して、その職場に固有のことが書かれていたり、条件が異なることが書かれていたりすれば修正する必要があることは当然である。従って「そのまま使用」することは好ましくはない。

2018年10月27日執筆 2020年04月28日修正