労働安全コンサルタント試験 2016年 産業安全一般 問11

安全点検




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合格

 このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2016年度(平成28年度) 問11 難易度 安全点検に関するごく初歩的な知識問題。常識で正答できるレベル。
安全点検

問11 安全点検に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)機械設備について、法定の点検と事業場独自の自主的な点検を行った。

(2)月次点検において1年間以上異常が見られなかった検査項目があったが、年次点検においてその検査項目の検査を省略しなかった。

(3)安全点検において、自らの事業場では気づかない問題点を把握するため、外部の労働安全コンサルタントに依頼した。

(4)保守点検作業時にガードを取り外す必要がある機械については、当該機械を設計する際、機械を停止させた状態で作業を行えるようにした。

(5)安全点検としてチェックすべき要因は、機械設備の要因と管理的要因の二つである。

正答(5)

【解説】

本問、厳密に考えると(4)と(5)で迷うかもしれないが、一般的に考えればそれほど難しい話ではない。

(1)適切である。本肢は当然のことを言っている。法定点検の代わりに自主点検を行ったというなら問題であろうが、法定点検の他に自主的な点検を行うことが「適切でない」わけがない。つまり不適切となり得る要素がないのである。

(2)適切である。本肢も当然のことである。検査項目を省略しないことが「適切でない」わけがないだろう。

(3)適切である。本肢も同様である。労働安全コンサルタント試験で「外部の労働安全コンサルタントに依頼」することが「適切でない」かと問われても困ってしまう。「適切でない」わけがなかろう。

(4)適切である。保守点検の作業時にガードを外す必要があることはあり得る。本肢で迷うことがあるとすれば、「電源を切らずに(機械を停止しただけで)ガードを外してよいのか」という疑問かもしれない。しかし、包括安全指針の別表第2(3)のイに次のような記述があることからも分かるように、必ずしも電源を切らなければならないわけではない。

【機械の包括的な安全基準に関する指針】

14 誤操作による危害を防止するため、操作装置等については、次に定める措置を講じること。

(3)機械の運転制御モードについては、次に定めるところによるものとすること。

 (略)

 設定、教示、工程の切替え、そうじ、保守点検等のために、ガードを取り外し、又は保護装置を解除して機械を運転するときに使用するモードには、次のすべての機能を備えていること。

(ア)選択したモード以外の運転モードが作動しないこと。

(イ)危険性又は有害性となる運動部分は、イネーブル装置、ホールド・ツゥ・ラン制御装置又は両手操作制御装置の操作を続けることによってのみ動作できること。

(ウ)動作を連続して行う必要がある場合、危険性又は有害性となる運動部分の動作は、低速度動作、低駆動力動作、寸動動作又は段階的操作による動作とされていること。

(5)適切ではない。やや趣旨の分かりにくい肢である。安全点検には、それぞれに目的があり、チェックすべき項目は目的にもよるだろう。ただ、広義の安全点検について、一般論としては、本肢にいう「機械設備の要因」と「管理的要因」のほか、「人的要因」や「作業方法」も対象に含めるものとされている。従ってこれが適切でないことになるのであろう。

2018年10月27日執筆 2020年04月27日修正