労働安全コンサルタント試験 2015年 産業安全一般 問21

安全データシート(SDS)




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問21 難易度 安全データシートに関するごく基本的な知識問題である。実際には難問だったようだ。
安全データシート

問21 安全データシート(SDS)に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)SDS は、化学物質を譲渡・提供する相手方に危険有害性情報などを提供する文書である。

(2)SDS による情報提供は、純物質に限られている。

(3)日本工業規格では、SDS の標準化された記載内容が定められている。

(4)リスクアセスメントでは、SDS の危険有害性情報を有効に活用することが必要である。

(5)可燃性固体は、次の絵表示で表わされている。

GHSシンボル

正答(2)

【解説】

(1)適切である。安衛法第57条の2に、「労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第56条第1項の物(略)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(略)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない」と定めているが、本条の「文書」がSDSに該当する。

そして、通知しなければならない事項のひとつとして、安衛則第34条の2の3は「危険性又は有害性の要約」を挙げる。下張って本肢は適切でないとはいえない。

【労働安全衛生法】

(文書の交付等)

第57条の2 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第五十六条第一項の物(以下この条及び次条第一項において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第二項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。

一及び二 (略)

 物理的及び化学的性質

 人体に及ぼす作用

五~七 (略)

 (以下略)

(2)適切ではない。SDSの対象物質(安衛法第57条の2の対象物質)は、安衛令第18条の2に定められているが、第1号の「別表第九に掲げる物」の中には混合物も定められているし、第2号及び第3号は混合物である。

なお、安衛令別表第9の通知対象物が、一定の割合以上に含まれている混合物は、安衛法上のSDSの対象物となるが、このとき相手側に伝えなければならないのは、本来は、その混合物の危険・有害性等であって、成分である安衛令別表第9の通知対象物の危険・有害性等ではない。しかし、我が国の場合、安衛令別表第9の通知対象物の危険・有害性等でも違反としない取り扱いとなっている。

【労働安全衛生法施行令】

(名称等を通知すべき危険物及び有害物)

第18条の2 法第五十七条の二第一項の政令で定める物は、次のとおりとする。

 別表第九に掲げる物

 別表第九に掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令で定めるもの

 別表第三第一号1から7までに掲げる物を含有する製剤その他の物(同号8に掲げる物を除く。)で、厚生労働省令で定めるもの

(3)適切である。「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法−ラベル、作業場内の表示及び安全データシート」について、JIS Z 7253(最新版は2019年)に定められている。

(4)適切である。化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針通達)では、リスクアセスメント等の対象となる化学物質等に係る危険性又は有害性に関する情報をSDS等によって集めることとされている。

(5)適切である。GHSでは、可燃性固体は、炎のマークによってあらわされる。

2018年10月27日執筆 2020年05月12日修正