労働安全コンサルタント試験 2015年 産業安全一般 問16

様々な試験方法




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問16 難易度 様々な試験方法に関するやや高度な知識問題。難問ではあるが、確実に正答しておきたいところ。
様々な試験方法

問16 試験方法に関する次のア~オの記述について、適切でないものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

ア 第一種圧力容器の突合せ溶接継手に対する機械試験には、引張試験、曲げ試験などがある。

イ 地盤の支持力の指標として用いられるN値は、ハンマーで貫入試験器のサンプラーを地中に打ち込む標準貫入試験によって得られる。

ウ 移動式クレーンの性能検査の荷重試験は定格荷重の荷をつって、つり上げ、旋回、走行などの作動を最大速度で行う。

エ 活線作業で使用する電気用ゴム手袋の耐電圧試験は、ゴム手袋を、その内面と外面に接触させた二つの棒状電極で挟んで行う。

オ 圧力容器の耐圧試験では、水が気体に比べて圧縮性が小さく、試験の安全性が高いため、原則として、水圧試験が行われる。

(1)ア  ウ

(2)イ  エ

(3)ア  オ

(4)ウ  エ

(5)イ  オ

正答(4)

【解説】

以下により、本問の正答は(4)となる。

ア 適切である。圧力容器構造規格には、次のように溶接部の機械試験についての定めがある。

【圧力容器構造規格】

(溶接部の機械試験)

第45条 溶接部は、次の各号に掲げるところにより作成した試験板について、第47条から第53条までに規定する機械試験を行い、これに合格したものでなければならない。

一及び二 (略)

 (略)

(引張試験)

第48条 引張試験の方法並びに引張試験片の形状及び寸法は、日本工業規格Z3121(突合せ溶接継手の引張試験方法)又はこれと同等と認められる規格に定めるところによらなければならない。

 前項の規定にかかわらず、試験片の厚さが厚いため引張試験ができない場合には、薄のこぎりでこれを試験可能な厚さに切り分けたものによって引張試験を行うことができる。この場合においては、切り分けた試験片の全部が引張試験に合格しなければならない。

(曲げ試験)

第50条 表曲げ試験片、裏曲げ試験片、側曲げ試験片及び縦曲げ試験片の形状及び寸法並びに表曲げ試験、裏曲げ試験、側曲げ試験及び縦曲げ試験の試験方法及び試験用ジグは、日本工業規格Z3122(突合せ溶接継手の曲げ試験方法)又はこれと同等と認められる規格に定めるところによらなければならない。

 第48条第2項の規定は、曲げ試験について準用する。

イ 適切である。N値とは、標準貫入試験(JIS A 1219)により求められる地盤の硬さを表す指標である。具体的には、「質量63.5kgの錘を76cmの高さから自由落下させて、標準貫入試験用サンプラーが30cm地面に貫入するのに必要な打撃回数」のことである。

ウ 適切ではない。クレーン等安全規則第81条は、移動式クレーンの性能検査の荷重試験の方法について、第76条第4項の規定を準用する。同項は「4 前項の荷重試験は、移動式クレーンに定格荷重に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、旋回、走行等の作動を定格速度により行なうものとする」とされている。

エ 適切ではない。電気用ゴム手袋の耐電圧試験は、JIS T 8010(絶縁用保護具・防具類の耐電圧試験方法)に規定されている。具体的には、電気用ゴム手袋のような袋状の物の試験方法は、試験するものの内部に水を入れて水槽に浸し、その内外の水位を同一になるようにし、内外の水中に電極を設けて、その電極に試験電圧を加える水中試験法で行う。

通常、内側には棒状の電極を入れるが、外側の電極は水槽そのものを用いる。従って、本肢は本肢は適切ではない。

オ 適切である。圧力試験の規格としては、JIS B 8265(圧力容器の構造-一般事項)及びJIS B 8266(圧力容器の構造-特定規格)がある。耐圧試験は双方とも水圧試験で行うことを原則としている。これは、耐圧試験中に圧力容器が破壊すると、同じ圧力でも気体は液体よりも大きな被害をもたらすためである。

2018年10月27日執筆 2020年05月10日修正