労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全関係法令 問13

安衛法上の計画届、報告書等




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 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問13 難易度 安衛法上の計画届、報告書に関するやや詳細な知識問題。かなりの難問だが正答しておきたいところ。
計画届、報告書等

問13 計画届、報告書等に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)事業者は、高さ31mを超える建築物の建設の仕事を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

(2)事業者は、高さ10m以上の架設通路の設置の工事の計画を作成するときは、当該工事から生ずる労働災害の防止を図るため、足場の組立て等作業主任者等の資格を有する者を参画させなければならない。

(3)事業者は、高さが300m以上の塔の建設の仕事を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働大臣に届け出なければならない。

(4)事業者は、小型ボイラーの破裂の事故が発生した場合には、負傷者が生じていないときでも、遅滞なく、事故報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

(5)労働基準監督署長は、労働安全衛生法を施行するため必要があると認めるときは、労働安全コンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。安衛法第88条第3項(安衛則第90条第一号)により、高さ31mを超える建築物の建設の仕事を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

【労働安全衛生法】

(計画の届出等)

第88条 (第1項及び第2項 略)

 事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあつては、前項の厚生労働省令で定める仕事を除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の十四日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。

4~7 (略)

【労働安全衛生規則】

第90条 法第八十八条第三項の厚生労働省令で定める仕事は、次のとおりとする。

 高さ三十一メートルを超える建築物又は工作物(橋梁を除く。)の建設、改造、解体又は破壊(以下「建設等」という。)の仕事

二~七 (略)

(2)誤り。工事の計画を作成するときに有資格者を参画させなければならない工事は、安衛則第92条の2第1項に規定されているが、高さ10m以上の架設通路の設置工事(別表第7第11号)は規定されていない。

【労働安全衛生法】

(計画の届出等)

第88条 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第二十八条の二第一項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。

2及び3 (略)

 事業者は、第一項の規定による届出に係る工事のうち厚生労働省令で定める工事の計画、第二項の厚生労働省令で定める仕事の計画又は前項の規定による届出に係る仕事のうち厚生労働省令で定める仕事の計画を作成するときは、当該工事に係る建設物若しくは機械等又は当該仕事から生ずる労働災害の防止を図るため、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させなければならない

5~7 (略)

【労働安全衛生規則】

(計画の届出をすべき機械等)

第85条 法第八十八条第一項の厚生労働省令で定める機械等は、法に基づく他の省令に定めるもののほか、別表第七の上欄に掲げる機械等とする。ただし、別表第七の上欄に掲げる機械等で次の各号のいずれかに該当するものを除く。

一及び二 (略)

(資格を有する者の参画に係る工事又は仕事の範囲)

第92条の2 法第八十八条第四項の厚生労働省令で定める工事は、別表第七の上欄第十号及び第十二号に掲げる機械等を設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更する工事とする

 (略)

別表第7 (第八十五条、第八十六条関係)

機械等の種類 事項 図面等
(略) (略) (略)

十一 架設通路(高さ及び長さがそれぞれ十メートル以上のものに限る。)

一 設置箇所

二 構造、材質及び主要寸法

三 設置期間

平面図、側面図及び断面図
(略) (略) (略)

(3)正しい。安衛法第88条第2項(安衛則第89条(第一号))の規定により、高さが300m以上の塔の建設の仕事を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働大臣に届け出なければならない。

【労働安全衛生法】

(計画の届出等)

第88条 (第1項 略)

 事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出なければならない。

3~7 (略)

【労働安全衛生規則】

(仕事の範囲)

第89条 法第八十八条第二項の厚生労働省令で定める仕事は、次のとおりとする。

 高さが三百メートル以上の塔の建設の仕事

二~六 (略)

(4)正しい。小型ボイラーの破裂の事故が発生した場合には、安衛法第100条(安衛則第96条(第三号))の規定により、遅滞なく、事故報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

事故報告は、負傷者が生じていると否とにかかわらず提出しなければならない。どのようなときに事故報告を提出する必要があるかについては、各自、安衛則第96条第1項を参照して試験までに覚えておくこと。

【労働安全衛生法】

(報告等)

第100条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

2及び3 (略)

【労働安全衛生規則】

(事故報告)

第96条 事業者は、次の場合は、遅滞なく、様式第二十二号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

一及び二 (略)

 小型ボイラー、令第一条第五号の第一種圧力容器及び同条第七号の第二種圧力容器の破裂の事故が発生したとき

四~十 (略)

 (略)

(5)正しい。安衛法第100条により正しい。

【労働安全衛生法】

(報告等)

第100条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

2及び3 (略)

2020年06月07日執筆