労働安全コンサルタント試験 2013年 産業安全一般 問25

第12次労働災害防止計画




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合格

 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問25 難易度 現在は第13次計画の期間中であり、すでに意味のない問題ではあるが、第13次計画として考えて欲しい。
第12次労働災害防止計画

問25 厚生労働大臣が策定した第12次労働災害防止計画(平成25年度~平成29年度)における重点業種についての労働災害発生状況及び目標に関する次の記述のうち.適切でないものはどれか。

ただし、記述中の「災害増減率」とは、死傷者数(東日本大震災関連を除いた数)についての平成14年と比較した平成23年の増減率であり、「目標」とは、平成24年と比較して、平成29年度までに達成を目指す目標である。また、平成23年の死亡者数は東日本大震災関連を除いた数である。

(1)第三次産業のうち小売業については、災害増減率が4.1%増で、転倒災害が約3割を占めており、目標は、労働災害による休業4日以上の死傷者の数を20%以上減少させることである。

(2)第三次産業のうち飲食店については、災害増減率が11.4%増で、転倒災害と切れ・こすれ災害で全体の半数を占めており、目標は、労働災害による休業4日以上の死傷者の数を20%以上減少させることである。

(3)陸上貨物運送事業については、災害増減率が9.8%減で、交通労働災害が約7割を占めており、目標は、労働災害による休業4日以上の死傷者の数を10%以上減少させることである。

(4)建設業については、平成23年の死亡災害全体の33.4%を占め、また、墜落・転落災害に係る死亡災害全体の半数以上が建設業で、発生しており、目標は、労働災害による死亡者の数を20%以上減少させることである。

(5)製造業については、平成23年の死亡災害全体の17.8%を占め、また、はさまれ・巻き込まれ災害に係る死亡災害全体の4割近くが製造業で発生しており、目標は、労働災害による死亡者の数を5%以上減少させることである。

正答(3)

【解説】

第12次労働災害防止計画は、全文パンフレット目標のまとめなどを参照すればよい。

ただ、現時点での学習としては第13次労働災害防止計画を学習するべきである。全文パンフレット目標のまとめなどを参照するべきである。

もっとも、次にこの種の問題が出題されるのは、第14次労働災害防止計画が策定された直後になるような気もする。今更、第13次労働災害防止計画の目標でもないだろう。

(1)適切である。かなり細かいことを聴いている。上記リンクの第12次労働災害防止計画全文の8ページに各種の業種ごとの災害増減率の表がある。これによると小売業の災害増減率が4.1%増であることは正しい。次の9ページに「小売業の労働災害のうち、事敀の型別で全体の約 3 割と最も多く発生している転倒災害」という表現があり「転倒災害が約3割を占め」ていることも正しい。目標は、9ページの枠内に書かれており労働災害による休業4日以上の死傷者の数を20%以上減少させることで、これも正しい。

(2)適切である。これは、もっと細かいが、飲食店については、災害増減率が11.4%増であることは(1)の解説に示した表に書かれている。また、10ページに「飲食店では、転倒災害と切れ・こすれ災害で全体の半数を占めている」という表現がある。目標は、これも(1)と同じ枠内に書かれており労働災害による休業4日以上の死傷者の数を20%以上減少させることである。

陸上貨物運送事業の労働災害発生状況

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(3)適切ではない。これも(1)の解説で示した表に、陸上貨物運送事業については、災害増減率が9.8%減であるとされており増減率は正しい。しかし、休業4日以上の死傷災害では右表に示すように交通労働災害の割合は約7割を占めてはいない。なお、目標が、労働災害による休業4日以上の死傷者の数を10%以上減少させることは正しい。

本問は、第12次労働災害防止計画の目標を問うているが、実質的には労働災害統計の問題である。なお、他の業種別の型別労働災害発生件数については、業種ごとの型別労働災害発生件数の推移のグラフを参照して欲しい。

業種別の労働災害発生状況

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(4)適切である。第12次労働災害防止計画全文の3ページの表で、建設業は平成23年の死亡災害全体の33.4%を占めているとされている。また、11ページに「墜落・転落災害は、半数以上が建設業」と書かれている。12ページに目標が書かれているが、労働災害による死亡者の数を20%以上減少させることとされている。

墜落・転落死亡労働災害発生状況

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墜落・転落災害(死亡災害)の建設業における発生件数は減少傾向にあり、2019年の建設業の墜落・転落による死亡災害は110件であった。しかし、全業種の墜落・転落による死亡災害は216件であり、2019年においても全体の半数以上を占めている。

なお、墜落・転落災害(休業4日以上死傷災害)については、2019年に全業種で21,346件発生しているが建設業は5,171件と全体の4分の1以下となっている。

(5)適切である。第12次労働災害防止計画全文の3ページの表で、製造業は平成23年の死亡災害全体の17.8%を占めているとされている。また、11ページに「はさまれ・巻き込まれ災害は 4 割近くが製造業」と書かれている。12ページに目標が書かれているが、目標は、労働災害による死亡者の数を5%以上減少させることとされている。

はさまれ・巻き込まれ災害死亡労働災害発生状況

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はさまれ・巻き込まれ災害(死亡災害)の製造業における発生件数は減少向にあり、2019年の製造業のはさまれ巻き込まれによる死亡災害は49件であった。しかし、全業種のはさまれ・巻き込まれによる死亡災害は104件であり、全体の47.1%を占めている。

なお、はさまれ・巻き込まれ災害(休業4日以上死傷災害)については、2019年に全業種で14,592件発生しているが製造業は6,959件とこれも全体の47.7%と半数近くを占めている。

2021年02月03日執筆