労働安全コンサルタント試験 2012年 産業安全一般 問18

機械設備の安全装置

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合格

 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問18 難易度 安全装置についてのかなり高度な知識問題である。難問の部類であろう。
安全装置

問18 安全装置に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)立体自動倉庫のスタッカークレーンの可動範囲に通じる出入口に設けたインターロック付き扉は、人が扉を開けた際に自動的にスタッカークレーンの運転を停止させる機能を有する。

(2)イネーブル装置は、すべての操作スイッチに優先し、操作スイッチを押している間だけ機械の運転を許可する補足的な手動操作装置である。

(3)仕分けコンベヤーの起動警報装置は、仕分け分岐部などに異常が発生した場合に、インターロック回路が作動してコンベヤーを停止させると同時に、警報を発生する機能を有する。

(4)産業用マニピュレーティングロボットの安全防護領域への人の侵入を検知する存在検知装置には、ライトスクリーン、電磁フイールド、赤外線検知装置、圧力検知装置、超音波検知装置等がある。

(5)トラッククレーン、ホイールクレーン、クローラクレーン等の移動式クレーンの安全弁は、原動機の過負荷防止や油圧機器とその配管を保護するための装置である。

正答(3)

【解説】

(1)適切である。JIS B 8943:2012「立体自動倉庫システム−スタッカクレーン設計通則」の「12.2.2 稼動範囲への進入扉開閉検出」には「稼動範囲への進入扉開閉検出は,JIS B 8942の7.3.1(設備稼動範囲立入時の運転停止機能)に適合し,進入扉開時にはスタッカクレーンは非常停止しなければならない」とされている。

なお、JIS B 8942:2012「立体自動倉庫システム-システム設計通則」の「7.3.1 設備稼動範囲立入時の運転停止機能」は、「正規の進入経路として進入扉を設けなければならない」とし、「進入扉のインタロック機能は,進入扉が開いたことを検知し,自動的に設備(スタッカクレーンなど)を停止する」などとしている。

イネーブル装置

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(2)適切である。イネーブル装置とは、中災防止のガイドブック(※)によれば、「ボタンあるいはグリップ形状で、そのボタンを適切に押しているときだけ、その他の手動操作ボタン類が電気的に操作可能となり、機械を操作できるようにするものである」とされている。

※ 中央労働災害防止協会「機械安全規格を活用して災害防止を進めるためのガイドブック」(平成26年度 厚生労働省委託)。図も同じ。

また、JIS B 9960-1:2019「機械類の安全性−機械の電気装置−第1部:一般要求事項」は、「9.2.3.9 イネーブル制御」のb)において「イネーブル制御は,例えば,機械運転を再起動してもよいときまでイネーブル機器を作動しない状態(イネーブル機能が効かない状態)にしておくことによって,イネーブル機能が不正使用される可能性を最小にしなければならない」として、他の操作手段に優先することを求めている。

(3)適切ではない。JIS B 8825:1999「機械類の安全性−機械の電気装置−第1部:一般要求事項」の「8. 安全装置」によれば、起動警報装置とは「仕分けコンベヤの起動を予告する警報装置」である。

本肢の、仕分けコンベヤーの、仕分け分岐部などに異常が発生した場合に、インターロック回路が作動してコンベヤーを停止させると同時に、警報を発生する機能を有する装置は「異常検出器」とされている。

(4)適切である。JIS B 8433:1993「産業用マニピュレーティングロボット−安全性」の3.2.15は、存在検知装置の定義を「定められた平面又は空間への人の侵入を検知するための装置」としており、その備考によれば「存在検知装置には,ライトスクリーン,電磁フィールド,圧力検知装置及び超音波検知装置,赤外線検知装置並びに画像処理装置などがある」とされている。

安全弁

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(5)適切である。「移動式クレーン構造規格」(平成7年12月26日 労働省告示第135号)第28条によれば、安全弁とは「水圧、油圧又は蒸気圧を動力として用いるつり上げ装置、起伏装置及び伸縮装置は、水圧、油圧又は蒸気圧の過度の上昇を防止するための」ものであるとされている。

※ 図は、厚生労働省「技能講習補助教材(小型移動式クレーン運転技能講習)」より。

油圧装置内の圧力が異常上昇した場合に、作動油をタンクにリリーフすることによって、圧力を一定値以上に上昇しないようにして、油圧装置の破損や原動機の過負荷を防止するための装置である。

【移動式クレーン構造規格】

(安全弁等)

第28条  水圧、油圧又は蒸気圧を動力として用いるつり上げ装置、起伏装置及び伸縮装置は、水圧、油圧又は蒸気圧の過度の上昇を防止するための安全弁を備えるものでなければならない。

 (略)

2021年12月16日執筆