労働安全コンサルタント試験 2012年 産業安全一般 問17

食品機械の安全確保のための構造




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合格

 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問17 難易度 食品機械についてのやや高度な知識問題である。試験会場で考えて正答できるようにする必要がある。
食品機械の安全確保

問17 食品機械の安全確保のための構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)パンの生地を作る立形ミキサにおいて、ミキサの停止装置が作動したとき、遅延装置によってアジテータの動きが止まるまで保護ガードが開かない構造とした。

(2)魚肉の細断・混合・かく拌に用いるサイレントカッタは、ナイフカバーの開閉を、開閉スイッチを押し続けている間だけ動作するホールド・トゥ・ラン制御装置によって操作できる構造とした。

(3)菓子の生地を複数の圧延ローラで延ばす機械のローラ部にはインターロック付きのガードを設け、ガードの先端が許容範囲以上に上がった場合、ローラが1秒以内に急停止する構造とした。

(4)ハムスライサの食材当て板及びスライササポートは、道具を使用しなくても、容易にスライサから取り外すことができる構造とした。

(5)もちつき機のきね部にはインターロック装置を備えた保護ガードを設け、きねの稼働中は手が入らない構造とした。

正答(4)

【解説】

(1)適切でないとは言えない。JIS B 9651:2005「製パン機械の安全及び衛生に関する設計基準」によれば、立形ミキサの「4.1.1安全要求事項」として、「停止装置が作動したとき,アジテータは 4 秒以内に停止する構造とする。不可能な場合は,遅延装置によってアジテータの動きが止まるまで保護ガードが開かない構造とする」とされている。

(2)適切である。JIS B 9654:2005「水産加工機械の安全及び衛生に関する設計基準」によれば「4.4 サイレントカッタ」の安全要求事項として「ナイフカバーの開閉は,開閉スイッチを押し続けている間だけ動作するホールド・トゥ・ラン制御装置によって操作する構造とする」とされている。

(3)適切である。JIS B 9652:2005「製菓機械の安全及び衛生に関する設計基準」によれば「4.7 リバースシータ」(※)の安全要求事項として「ローラ部には,インタロックガード(JIS B 9700-2 の 5.3 参照)を設け,インタロックガードの先端が許容範囲以上に上がった場合,ローラは,1 秒以内に停止するか又は逆転する構造とする」とされている。

※ リバースシータとは「菓子生地を複数の圧延ローラ及び往復移動可能なコンベアによって所定の厚さに伸ばす機械」のことである。

(4)適切ではない。とくに法令や、ガイドライン類で禁止されているわけではないが、刃物であるハムスライサの食材当て板及びスライササポートを、道具を使用せずにスライサから取り外すことは危険である。

そもそも、「道具を使用しない」という考え方は、原則として安全の基本に逆行する行為であると考えるべきである。

(5)適切である。JIS B 9652:2005「製菓機械の安全及び衛生に関する設計基準」によれば、「4.6 もちつき機」の安全要求事項として「きね(杵)部には,インタロック装置を備えた保護ガード(JIS B 9700-2 の 5.3 参照)を設ける」とされている。

2021年12月15日執筆