労働衛生コンサルタント試験 2023年 労働衛生関係法令 問05

作業環境測定の対象、測定事項、実施頻度等、測定すべき者




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 このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2023年度(令和5年度) 問05 難易度 内容的には基本的なレベルで正答率も高い。直前の学習によって差がつく問題。
作業環境測定

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問5 労働安全衛生法令に基づき作業環境測定を行わなければならない作業場及び測定事項、実施頻度又は測定時期並びに測定を実施すべき者に関する下表イ~ホの組合せについて、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

ただし、ロ及びハについては、化学物質管理の水準が一定以上の事業場におる関係規定の適用除外はないものとする。

作業場及び測定事項 実施頻度又
は測定時期
測定を実施すべき者
放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分における外部放射線による線量当量率又は線量当量 1か月以内ごとに1回 作業環境測定士
常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場における空気中の粉じんの濃度 6か月以内ごとに1回 作業環境測定士
鉛ライニングの業務を行う屋内作業場における空気中の鉛の濃度 6か月以内ごとに1回 作業環境測定士
酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場における空気中の酸素の濃度 その日の作業を開始する前 酸素欠乏危険作業特別教育を受講した者
中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるものにおける一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率 2か月以内ごとに1回 測定実施者の要件に関する規定なし

(1)イ   ロ   ニ

(2)イ   ハ

(3)イ   ホ

(4)ロ   ハ   ニ

(5)ロ   ホ

正答(5)

【解説】

問5試験結果

試験解答状況
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作業環境測定士等が測定を行わなければならない作業場は、「指定作業場」と呼ばれる。これについては「作業環境測定法の指定作業場とは」を参照されたい。

イ 誤り。放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分は、作業環境測定基則第1条で指定されておらず、指定作業場ではない。従って、作業環境測定士によることを要しない。

なお、本肢の作業場における外部放射線による線量当量率又は線量当量の測定は、電離則第 54 条の規定により、1月以内ごとに1回測定すべきことは正しい。

Ⅰ 測定の対象、測定頻度等

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~五 (略)

 別表第二に掲げる放射線業務を行う作業場で、厚生労働省令で定めるもの

七~十 (略)

【電離放射線障害防止規則】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第53条 令第二十一条第六号の厚生労働省令で定める作業場は、次のとおりとする。

 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分

二~三 (略)

(線量当量率等の測定等)

第54条 事業者は、前条第一号の管理区域について、一月以内(放射線装置を固定して使用する場合において使用の方法及び遮蔽物の位置が一定しているとき、又は三・七ギガベクレル以下の放射性物質を装備している機器を使用するときは、六月以内)ごとに一回、定期に、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定し、その都度、次の事項を記録し、これを五年間保存しなければならない。

一~八 (略)

2~4 (略)

Ⅱ 指定作業場(作業環境測定士等による測定)

【作業環境測定法】

(定義)

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一及び二 (略)

 指定作業場 労働安全衛生法第六十五条第一項の作業場のうち政令で定める作業場をいう

四~七 (略)

(作業環境測定の実施)

第3条 事業者は、労働安全衛生法第六十五条第一項の規定により、指定作業場について作業環境測定を行うときは、厚生労働省令で定めるところにより、その使用する作業環境測定士にこれを実施させなければならない

 事業者は、前項の規定による作業環境測定を行うことができないときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業環境測定を作業環境測定機関に委託しなければならない。ただし、国又は地方公共団体の機関その他の機関で、厚生労働大臣が指定するものに委託するときは、この限りでない。

【作業環境測定法施行令】

(指定作業場)

第1条 作業環境測定法(以下「法」という。)第二条第三号の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 (略)

 労働安全衛生法施行令第二十一条第六号に掲げる作業場のうち厚生労働省令で定める作業場

【作業環境測定法施行規則】

(令第一条第二号の厚生労働省令で定める作業場))

第1条 作業環境測定法施行令(以下「令」という。)第一条第二号の厚生労働省令で定める作業場は、電離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号)第五十三条第二号又は第二号の二に掲げる作業場とする。

【電離放射線障害防止規則】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第53条 令第二十一条第六号の厚生労働省令で定める作業場は、次のとおりとする。

 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分

 放射性物質取扱作業室

二の二 事故由来廃棄物等取扱施設

 令別表第二第七号に掲げる業務を行う作業場

ロ 正しい。常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場における空気中の粉じんの濃度の測定は、粉じん則第 26 条第1項により6月以内ごとに1回実施する必要がある。また、作業環境測定令第1条第一号により、指定作業場となる。

Ⅰ 測定の対象、測定頻度等

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

二~十 (略)

【粉じん障害防止規則】

(作業環境測定を行うべき屋内作業場)

第25条 令第二十一条第一号の厚生労働省令で定める土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場は、常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場とする。

(粉じん濃度の測定等)

第26条 事業者は、前条の屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。

2~8 (略)

Ⅱ 指定作業場(作業環境測定士等による測定)

【作業環境測定法施行令】

(指定作業場)

第1条 作業環境測定法(以下「法」という。)第二条第三号の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第二十一条第一号、第七号、第八号及び第十号に掲げる作業場

 (略)

ハ 誤り。鉛ライニングの業務を行う屋内作業場における空気中の鉛の濃度は、鉛中毒予防規則第52条第1項により、1年以内ごとに1回である。また、作業環境測定令第1条第一号により、指定作業場となる。

Ⅰ 測定の対象、測定頻度等

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~七 (略)

 別表第四第一号から第八号まで、第十号又は第十六号に掲げる鉛業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。)を行う屋内作業場

九及び十 (略)

別表第四 鉛業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~六 (略)

 鉛ライニングの業務(仕上げの業務を含む。)

八~十八 (略)

【鉛中毒予防規則】

(測定)

第52条 事業者は、令第二十一条第八号に掲げる屋内作業場について、一年以内ごとに一回、定期に、空気中における鉛の濃度を測定しなければならない。

 (略)

Ⅱ 指定作業場(作業環境測定士等による測定)

【作業環境測定法施行令】

(指定作業場)

第1条 作業環境測定法(以下「法」という。)第二条第三号の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第二十一条第一号、第七号、第八号及び第十号に掲げる作業場

 (略)

ニ 誤り。酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場における空気中の酸素の濃度を測定するときに、空気中の酸素の濃度の測定を酸素欠乏危険作業特別教育を受講した者が行わなければならないとする規定はない。その日の作業を開始する前に、作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を測定しなければならないことは正しい。

なお、酸欠則第 11 条第2項第二号により、酸素欠乏危険作業主任者に、その日の作業を開始する前などに作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を測定させなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場

 (略)

【酸素欠乏症等防止規則】

(作業環境測定等)

第3条 事業者は、令第二十一条第九号に掲げる作業場について、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素(第二種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあつては、酸素及び硫化水素)の濃度を測定しなければならない。

 (略)

(作業主任者)

第11条 (第1項 略)

 事業者は、第一種酸素欠乏危険作業に係る酸素欠乏危険作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。

 (略)

 その日の作業を開始する前、作業に従事するすべての労働者が作業を行う場所を離れた後再び作業を開始する前及び労働者の身体、換気装置等に異常があつたときに、作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を測定すること。

三及び四 (略)

 (略)

ホ 正しい。事務所則第7条第1項により、中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるものにおける一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率の測定は2月以内ごとに行わなければならない。

また、測定する者に関する記述はない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~四 (略)

 中央管理方式の空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。)を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるもの

六~十 (略)

【事務所衛生基準規則】

(作業環境測定等)

第7条 事業者は、労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第二十一条第五号の室について、二月以内ごとに一回、定期に、次の事項を測定しなければならない。ただし、当該測定を行おうとする日の属する年の前年一年間において、当該室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下である状況が継続し、かつ、当該測定を行おうとする日の属する一年間において、引き続き当該状況が継続しないおそれがない場合には、第二号及び第三号に掲げる事項については、三月から五月までの期間又は九月から十一月までの期間、六月から八月までの期間及び十二月から二月までの期間ごとに一回の測定とすることができる。

一~三 (略)

 (略)

2023年11月30日執筆