労働衛生コンサルタント試験 2023年 労働衛生関係法令 問02

定期自主検査の対象と頻度




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 このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2023年度(令和5年度) 問02 難易度 定期自主検査は2017年以来の出題。内容は基本的なもの。学習をどれだけしたかで差がつく問題。
定期自主検査

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問2 労働安全衛生法令に基づき定期自主検査を行わなければならない機械等とその実施頻度に関する下表(表は箇条書きに略す)のイ~ニの組合せについて、労働安全衛生法令上、正しいもののみを挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

ただし、透過写真撮影用ガンマ線照射装置については、線源容器の遮蔽能力の異常の有無についての検査ではないものとする。

また、有機溶剤中毒予防規則及び特定化学物質障害予防規則に基づく設備の特例や適用の除外はないものとする。

定期自主検査を行わなければならない機械等 実施頻度
第二種有機溶剤等を用いて有機溶剤業務を行う作業場所に設けた局所排気装置 6か月以内ごとに1回
特定化学設備 1年以内ごとに1回
透過写真撮影用ガンマ線照射装置 1か月以内ごとに1回
シアン化ナトリウムを含有する排液の排液処理装置 1年以内ごとに1回

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)ロ   ハ

(4)ロ   ニ

(5)ハ   ニ

正答(5)

【解説】

問2試験結果

試験解答状況
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定期自主検査の対象となる機械等は、安衛令第 15 条第1項によって定められている。そして、本肢のイ及びニは同項第9号に定められており、ロは第 10 号、ハは第 11 号にそれぞれ定められている。

このうち、同項第9号は「局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの」とされており、ここにいう厚生労働省令には下記イ~ニで説明しているものなどがある。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの

 特定化学設備及びその附属設備

十一 ガンマ線照射装置で、透過写真の撮影に用いられるもの

 (略)

イ 誤り。まず、定期自主検査の対象になるかについては、有機則第20条に「令第15条第1項第9号の厚生労働省令で定める局所排気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第5条又は第6条の規定により設ける局所排気装置とする」と定められている。そして、有機則第5条には「事業者は、屋内作業場等において、・・(中略)・・第二種有機溶剤等・・(中略)・・に係る有機溶剤業務・・(中略)・・に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、・・(中略)・・局所排気装置・・(中略)・・を設けなければならない」と定められている。従って本肢の「第二種有機溶剤等を用いて有機溶剤業務を行う作業場所に設けた局所排気装置」は安衛令第15条第1項の定期自主検査を要する機械等に該当する。

しかし、有機則第 20 条第2項は、定期自主検査の頻度について「一年以内ごとに一回」と定める。従って、6か月以内ごとに1回とする本肢は誤りである。

【有機溶剤中毒予防規則】

(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)

第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(局所排気装置の定期自主検査)

第20条 令第15条第1項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第5条又は第6条の規定により設ける局所排気装置とする。

 事業者は、前項の局所排気装置については、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~七 (略)

 (略)

ロ 誤り。まず、定期自主検査の対象になるかについては、安衛令第15条第1項に、定期自主検査を行うべき機械等が定められているが、その第10号に「特定化学設備及びその附属設備」が定められている。従って本肢の特定化学設備は定期に自主検査を行わなければならないものに該当する。

しかし、特化則第 31 条第1項は、定期自主検査の頻度について「二年以内ごとに一回」と定める。従って、1年以内ごとに1回とする本肢は誤りである。

【特定化学物質障害予防規則】

第31条 事業者は、特定化学設備又はその附属設備については、2年以内ごとに1回、定期に、次の各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、2年を超える期間使用しない特定化学設備又はその附属設備の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一及び二 (略)

 (略)

ハ 正しい。まず、定期自主検査の対象になるかについては、安衛令第15条第1項の定期自主検査を行うべき機械等の第 11 号に「ガンマ線照射装置で、透過写真の撮影に用いられるもの」が定められている。従って本肢の透過写真撮影用ガンマ線照射装置は定期に自主検査を行わなければならないものに該当する。

また、電離則第 18 条の5第1項は、定期自主検査の頻度について「一月以内ごとに一回」と定める。従って、本肢は正しい。

【電離放射線障害防止規則】

(定期自主検査)

第18条の5 事業者は、透過写真撮影用ガンマ線照射装置については、1月以内ごとに1回、定期に、次に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1月を超える期間使用しない当該装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~四 (略)

 (略)

ニ 正しい。まず、定期自主検査の対象になるかについては、特化則第29条には「令第15条第1項第9号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置(特定化学物質(特別有機溶剤等を除く。)その他この省令に規定する物に係るものに限る。)は、次のとおりとする」とあり、その第五号に「第 11 条第1項の規定により、又は第 50 条第1項第十号(第 50 条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定に基づき設けられる排液処理装置」が定められている。そして、特化則第 11 条第1項にはシアン化ナトリウムの廃液処理装置が定められている。。

また、特化則第 30 条第1項は、定期自主検査の頻度について「一年以内ごとに一回」と定める。従って、本肢は正しい。

【特定化学物質障害予防規則】

(排液処理)

第11条 事業者は、次の表の上欄に掲げる物を含有する排液(第一類物質を製造する設備からの排液を除く。)については、同表の下欄に掲げるいずれかの処理方式による排液処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する排液処理装置を設けなければならない。

処理方式
(略) (略)
シアン化ナトリウム 酸化・還元方式活性汚でい方式
(略) (略)

2及び3 (略)

(定期自主検査を行うべき機械等)

第29条 令第15条第1項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置(特定化学物質(特別有機溶剤等を除く。)その他この省令に規定する物に係るものに限る。)は、次のとおりとする。

一~四 (略)

 第11条第1項の規定により、又は第50条第1項第十号(第50条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定に基づき設けられる排液処理装置

(定期自主検査)

第30条 事業者は、前条各号に掲げる装置については、1年以内ごとに1回、定期に、次の各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~三 (略)

 (略)

2023年11月26日執筆