労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生関係法令 問07

安衛則の衛生基準全般




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 このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2022年度(令和4年度) 問07 難易度 安衛則の衛生基準に関するごく基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
安衛則の衛生基準

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問7 労働安全衛生規則の衛生基準に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)事業者は、酸素濃度が18パーセントに満たない場所又は硫化水素濃度が100万分の10を超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

(2)事業者は、炭酸ガスが停滞し、又は停滞するおそれのある坑内の作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、炭酸ガス濃度を測定しなければならない。

(3)事業者は、有害物が皮膚から吸収されて健康障害を起こすおそれのある業務に従事する労働者に使用させるため、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋又は履物等適切な保護具を備えなければならない。

(4)事業者は、強烈な騒音を発する場所における業務に従事する労働者に耳栓等の保護具の使用を命じたときは、遅滞なく、当該保護具を使用しなければならない旨を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示しなければならない。

(5)有害な光線にさらされる業務その他有害な業務に従事する労働者は、事業者から当該業務に必要な保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなければならない。

正答(2)

【解説】

問7試験結果

試験解答状況
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(1)正しい。安衛則第585条第1項(第四号)により、酸素濃度が18パーセントに満たない場所又は硫化水素濃度が100万分の10を超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

【労働安全衛生規則】

(立入禁止等)

第585条 事業者は、次の場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

一~三 (略)

 炭酸ガス濃度が一・五パーセントを超える場所、酸素濃度が十八パーセントに満たない場所又は硫化水素濃度が百万分の十を超える場所

五~七 (略)

 (略)

(2)誤り。安衛則第592条(及び同規則第589条(第一号))により、事業者は、炭酸ガスが停滞し、又は停滞するおそれのある坑内の作業場について、1か月以内ごとに1回、定期に、炭酸ガス濃度を測定しなければならない。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~三 (略)

 坑内の作業場で、厚生労働省令で定めるもの

五~十 (略)

【労働安全衛生規則】

(立入禁止等)

第589条 令第二十一条第四号の厚生労働省令で定める坑内の作業場は、次のとおりとする。

 炭酸ガスが停滞し、又は停滞するおそれのある坑内の作業場

二及び三 (略)

(坑内の炭酸ガス濃度の測定等)

第592条  事業者は、第五百八十九条第一号の坑内の作業場について、一月以内ごとに一回、定期に、炭酸ガス濃度を測定しなければならない。

 (略)

(3)正しい。安衛則第594条により、有害物が皮膚から吸収されて健康障害を起こすおそれのある業務に従事する労働者に使用させるため、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋又は履物等適切な保護具を備えなければならない。

【労働安全衛生規則】

(皮膚障害等防止用の保護具)

第594条 事業者は、皮膚に障害を与える物を取り扱う業務又は有害物が皮膚から吸収され、若しくは侵入して、健康障害若しくは感染をおこすおそれのある業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋又ははき物等適切な保護具を備えなければならない。

(4)正しい。安衛則第595条第2項により、強烈な騒音を発する場所における業務に従事する労働者に耳栓等の保護具の使用を命じたときは、遅滞なく、当該保護具を使用しなければならない旨を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示しなければならない。

【労働安全衛生規則】

(騒音障害防止用の保護具)

第595条 事業者は、強烈な騒音を発する場所における業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、耳栓その他の保護具を備えなければならない。

 (略)

 事業者は、前項の業務に従事する労働者に耳栓その他の保護具の使用を命じたときは、遅滞なく、当該保護具を使用しなければならない旨を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示しなければならない。

 (略)

(5)安衛則第597条(及び同規則第593条)により、有害な光線にさらされる業務その他有害な業務に従事する労働者は、事業者から当該業務に必要な保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなければならない。

なお、安衛則第597条の根拠条文は、安衛法第26条であり、これは罰則(50万円以下の罰金)がついている。

【労働安全衛生法】

第22条 事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害

 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害

 計器監視、精密工作等の作業による健康障害

 排気、排液又は残さい物による健康障害

第26条 労働者は、事業者が第二十条から第二十五条まで及び前条第一項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。

【労働安全衛生規則】

(呼吸用保護具等)

第593条 事業者は、著しく暑熱又は寒冷な場所における業務、多量の高熱物体、低温物体又は有害物を取り扱う業務、有害な光線にさらされる業務、ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所における業務、病原体による汚染のおそれの著しい業務その他有害な業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を備えなければならない。

 (略)

(労働者の使用義務)

第597条 第五百九十三条から第五百九十五条までに規定する業務に従事する労働者は、事業者から当該業務に必要な保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなければならない。

2022年11月27日執筆