労働衛生コンサルタント試験 2021年 労働衛生一般 問27

労働衛生管理に用いられる統計指標




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 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年度(令和3年度) 問27 難易度 労働衛生統計に用いられる指標等についてのやや高度な知識問題。過去問もあり正答しておきたい。
労働衛生の統計指標

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問27 労働衛生管理統計に関する次のイ~ホの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 健康管理統計において、「一定期開に有所見等が発生した人数の割合」を発生率といい、このデータを静態データという。

ロ 疾病休業統計における「病休度数率」は、在籍労働者の100万延べ実労働時間当たりの疾病休業件数である。

ハ 健康診断における検査のスクリーニングレべルを低く設定すると、偽陽性率は低くなる。

ニ 疾病の診断における検査の敏感度は、有疾病者数の中の陽性者数の割合である。

ホ 二つの健藤事象の間に相関がみられる場合は、この二つの健康事象の間には常に因果関係が認められる。

(1)イ  ロ  ハ

(2)イ  ロ  ニ

(3)ロ  ニ

(4)ハ  ホ

(5)ニ  ホ

正答(3)

【解説】

問27試験結果

試験解答状況
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本問は、過去問に類例は少ないが、同種問題が2016年問1で出題されている。この問題の解説を読み込んでおけば正答できた問題である。

イ 誤り。受験者の解答は、本肢で正誤が分かれた。2016年問1の(1)の解説にも示したが、動態データとは、発生率や出生率、死亡率など、ある期間における変化を示すデータのことである。逆に、静態データとは、有所見率や疾病率などの、ある時点における状態を示すデータのことを指す用語である。

ロ 正しい。労働災害統計で用いられる「度数率」の「労働災害による死傷者数」を「疾病休業」に置き換えた概念だと思えばよい。

ハ 誤り。2016年問1の(5)の解説にも示したが、検査のスクリーニングレべルを低く設定するのは、本来陽性であるにもかかわらず陰性となるものを減らすためである。そのため、偽陽性率は高くなってしまう。

ニ 正しい。敏感度とは、罹患している者を陽性(又は異常)と判定する確率である。

ホ 誤り。2016年問1の(4)の解説にも示したが、これは当然であろう。相関があるからといって、因果関係があるとは限らない。

2021年11月27日執筆