問4 じん肺に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ じん肺とは粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。
ロ じん肺の大部分は職業性の無機粉じんばく露が原因となっている。
ハ 滑石肺の原困物質はアルミニウムである。
ニ 近年のじん肺健康診断の有所見率は5%を超えている。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ
(5)ハ ニ
このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年度(令和3年度) | 問04 | 難易度 | じん肺に関する基本的な知識問題である。正答率も高い。 |
---|---|---|---|
じん肺防止対策 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問4 じん肺に関する次のイ~ニの記述について、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ じん肺とは粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。
ロ じん肺の大部分は職業性の無機粉じんばく露が原因となっている。
ハ 滑石肺の原困物質はアルミニウムである。
ニ 近年のじん肺健康診断の有所見率は5%を超えている。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ
(5)ハ ニ
正答(1)
【解説】
じん肺対策は、毎年出題されるというわけではないが、労働衛生行政の重要課題であることに変わりはない。口述試験の対策としても、本問の内容は理解しておきたい。
イ 正しい。じん肺法第2条第1項第一号の定義の通りであり、じん肺とは粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。これは覚えておく必要がある。
【じん肺法】
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 じん肺 粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。
二~五 (略)
2 (以下略)
ロ 正しい。じん肺の大部分は職業性の無機粉じん曝露が原因である(※1)。非職業性のじん肺もないわけではないが、あまり多くはない。また、有機粉じん(高分子化合物を主成分とする粉状物質)に高濃度でばく露した労働者で、肺の繊維化や間質性肺炎等の肺疾患が生じている事例もある(※2)が、特殊なケースである。
※1 労災疾病等医学研究普及サイト「原因物質と職種」などを参照されたい。
※2 厚生労働省報道発表資料「有機粉じんによる肺疾患の防止について関係労働局に指示しました」の別添1「樹脂等を製造する化学工場における肺疾患事案について」
ハ 誤り。滑石肺はけい酸化合物が原因であり、アルミニウムが原因であればアルミニウム肺である。なお、滑石とはタルクのことで、軟滑石は含水ケイ酸アルミニウムを主成分とはしているが・・・。
ニ 誤り。当サイトの「労働衛生(産業保健)最新統計」を参照して頂きたいが、じん肺健康診断の有所見率は1%を下回っている。