労働衛生コンサルタント試験 2020年 労働衛生一般 問19

局所排気装置




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 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和2年度) 問19 難易度 局所排気装置に関する基本的な知識問題。過去に類問も多く、確実に正答できなければならない。
局所排気装置

問19 局所排気装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)外付け式フードでは、熱による上昇気流がある場合などを除き、一般に、上方吸引型より下方吸引型の方が有効である。

(2)スロット型フードは、作業面を除き、周りが覆われているもので、囲い式フードに分類される。

(3)排風量一定の条件では、ダクトの断面積を大きくすると、圧力損失は小さくなるが搬送速度は遅くなる。

(4)ダクトの断面積が同じである場合、断面が長方形のダクトは円形のダクトに比べて圧力損失が大きい。

(5)空気清浄装置を付設する局所排気装置では、空気清浄装置は、フードに接続した吸引ダクトと排風機の間に設ける。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。外付け式フードには、「下方吸引型」、「側方吸引型」及び「上方吸引型」の3種類がある。上方吸引型は、熱などによる上昇気流がある場合には効果的である。しかし、有機溶剤などの蒸気や粉じんは空気より重いので、上昇気流がなければ上方へ有害物を吸い上げなければならず、フードの吸い込み量を大きくする必要がある。一般には、上方吸引型より下方吸引型の方が有効である。

(2)誤り。スロット型フードは、作業面の近くにスロット式のフードを有するもので、外付け式フードに分類される。なお、厚生労働省のリスクアセスメントの共通シート「換気」を参照されたい。

(3)正しい。これは説明するまでもあるまい。まず、排風量一定の条件で、ダクトの断面積を大きくすると搬送速度が遅くなることは当然であろう。また、断面積が大きくなれば壁に接する割合が小さくなるので、圧力損失は小さくなる。

なお、粉じん用の局所排気装置では、気流速度が遅くなると粉じんがダクト内に堆積するおそれがあるので、あまり気流を小さくすることはできないが、その心配がなければダクトが大きい方が圧力損失が小さくなるので効率が良い。

(4)正しい。ダクトの断面積が同じである場合、断面が長方形のダクトは4隅には気流が通りにくくなるので、円形のダクトに比べて実質的な断面積が小さくなり、圧力損失が大きくなる。(過去問労働衛生一般2019年問19(1)に類問)

なお、長方形ダクトの2辺がa及びbであるダクトと同じ効率の円形ダクトの半径(相当直径)Deは、次のようになる。

De=1.3ab0.625a+b0.25

(5)正しい。空気清浄装置を付設する局所排気装置では、空気清浄装置は、フードに接続した吸引ダクトと排風機の間に設けないと、排風機に粉じんや有害物質が直接吸い込まれるため、故障の原因になるのである。

2020年11月29日執筆