労働衛生コンサルタント試験 2020年 労働衛生一般 問14

人体の免疫




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和2年度) 問14 難易度 労働生理の出題は広い範囲から2~3問程度。免疫は2014年以来の出題。医師でないとやや難問か。
人体の免疫

問14 人体の免疫に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)免疫は白血球を中心とした生体防御のしくみである。

(2)リンパ球は体液性免疫と細胞性免疫の両方に関係する。

(3)細胞性免疫では産生された抗体が病原体を攻撃する。

(4)抗体は免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質である。

(5)アレルギーは免疫が通常以上に反応することによって起こる。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。免疫とは、体外からの細菌やウイルスなどの侵入に対して、生体を防御するためのシステムである。この免疫の中心となるのが「免疫細胞」と呼ばれる白血球である。

白血球の代表的なものに単球や好中球がある。病原体が侵入すると、単球はマクロファージに分化し、病原体を飲み込んで分解する。一方、好中球などの補体は外部から病原体などに取り付いて破壊する。

(2)正しい。体液性免疫(液性免疫)とは体液中に抗体を産生して抗原を排除する仕組みであり、細胞性免疫とは細胞が直接抗原を排除する仕組みである。

外部から病原体などが侵入すると、リンパ球であるヘルパーT細胞が活性化し、サイトカインを産生して、体液性免疫と細胞性免疫の両方の働きを引き起こす。なお、体液性免疫と細胞性免疫はいずれも獲得免疫である。

(3)誤り。細胞性免疫では、マクロファージが抗原を排撃し、キラーT細胞やNK細胞が感染細胞やがん細胞などを直接攻撃する。本肢は体液性免疫を念頭においたものであろう。

体液性免疫では、サイトカインによってB細胞が増殖し、これが抗体を産生する。抗体は、食細胞を活性化したり、異物の毒性や感染力を失わせたりする。一方、細胞性免疫では、サイトカインによって、マクロファージが集合すると共にキラーT細胞やNK細胞が活性化し、これらが病原体などを攻撃する。

(4)正しい。抗体は免疫グロブリン(Immunoglobulin / Ig)と呼ばれるタンパク質で、IgG、IgA、IgM、IgD及びIgEの5種類がある。

(5)正しい。アレルギーはIgE抗体が、花粉などの生体に影響を与えないものに対して反応することによって起きる。

2020年11月28日執筆