労働衛生コンサルタント試験 2019年 労働衛生一般 問16

化学物質による健康障害




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 このページは、2019年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問16 難易度 化学物質による健康影響は、必ず出題される。効率的に得点できる分野である。
化学物質による健康影響

問16 化学物質とそれによる健康障害との次の組合せのうち、誤っているものはどれか。

(1) マンガン及びその化合物 ・・・ 神経障害
(2) クロム及びその化合物 ・・・ 皮膚障害
(3) ニッケル及びその化合物 ・・・ 皮膚障害
(4) 鉛及びその化合物  ・・・  造血器障害
(5) ベリリウム及びその化合物 ・・・ 肝障害

正答(5)

【解説】

(1)正しい。マンガン及びその化合物による健康影響としては、長期又は反復ばく露による神経系、呼吸器の障害が認められる。

(2)誤りとは言えない。金属クロム、クロム合金、クロムメッキは固体の状態では感作性は認められないが、湿気により溶解してクロムイオンのばく露を受けて皮膚感作性を示す可能性がある。また、アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれがある。

(3)正しい。ニッケル及びその化合物には、接触皮膚炎の報告がある。また、皮膚感作性物質である。

近年、へそ出しルックが流行してベルトのバックルのニッケルメッキで皮膚感作性を起こしたという事例がある。なお、床屋のハサミのニッケルメッキによる皮膚感作性の有無を調査した例があるが、職業性疾病の事例は見つからなかった。

(4)正しい。長期又は反復ばく露により、造血系、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、心血管系、免疫系の障害をもたらす。

(5)誤り。ベリリウム及びその化合物は肺がんを引き起こす。しかし、肝機能に障害をもたらすという報告はない。

2019年12月07日執筆